雑想 2005年10月
2022/11/24
ジャン・ド・フルール グラント・グリーン
秋の夜長にグラント・グリーンの『アイドル・モーメンツ』。
2曲目の《ジャン・ド・フルール》が好きなんです。
まったりした1曲目もたしかにこのアルバムの目玉ですが、キビキビしていつつもどこか切ない2曲目もお忘れなく!
▼収録曲
1. Idle Moments
2. Jean De Fleur
3. Django
4. Nomad
5. Jean De Fleur (Alternate Version)
6. Django (Alternate Version)
ヒムセルフ サンフランシスコ
モンクのピアノソロ作品では、『セロニアス・ヒムセルフ』が最高傑作だと信じて疑わないし、個人的にも、一番大好きなアルバムではあります。
では、2番目に好きなのは?
となると、
やっぱり『アローン・イン・サンフランシスコ』かな。
この2枚は、いろいろな意味で両極をなしているんですよね。
ヒムセルフ⇒緊張
いや、緊張の極地だとすると、
サンフランシスコ⇒リラックス
なんですよ。
モンクのソロでは、いちばんリラックスしていて楽しげかもしれない。
それから、録音された場所も、
ヒムセルフ⇒ニューヨーク
サンフランシスコ⇒サンフランシスコ
だから、西と東の両端ですね。
あとは、ジャケットのモンクが「立ってる・座ってる」の違いや、グラサンを「かけてる・かけてない」の違いもあったり、ピアノの「間」や「タメ」に関しても、
ヒムセルフ⇒多い・大きい
サンフランシスコ⇒あまりない
という違いもあったりで、同じピアニストで同じスタイルでありながらも、ピアノから生み出される表情がまったく違うのです。
自分の中では、この2枚が振り子のように行き来し、今日はヒムセルフ、昨日はサンフランシスコ、
というように、無意識にバランスを取っているのかもしれません。
んで、切ない秋晴れの今日の気分は、もちろん『アローン・イン・サンフランシスコ』です。
▼収録曲
1. ブルー・モンク
2. ルビー、マイ・ディア
3. ラウンド・ライツ
4. エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー
5. 君は奪いぬわが心を
6. ブルーホーク
7. パノニカ
8. リメンバー
9. あなたの眼がこわいの(テイク2)
10. リフレクションズ
11. あなたの眼がこわいの(テイク1) (ボーナス・トラック)
チャーリー・クリスチャンがいなければ、クラプトンも、ジェフ・ベックもギターヒーローには成り得なかった!?
ジャズ界で、ギターでソロを取りはじめたジャズマンは、チャーリー・クリスチャンであることは周知の通り。
彼の卓越した技量は、『ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン』などで楽しむことが出来る。
クリスチャンが雄弁にギターソロを奏でらるようになった背景は、テクノロジーの発達と無関係ではない。
いや、クリスチャンのアイデア、音楽性が、新しい技術を生み出したというべいきなのかもしれない。
ベニー・グッドマン楽団に在団していた彼は、最初はアコースティック・ギターを弾いており、音量の大きな楽団のサウンドに埋没せぬよう、ギターの音をマイクで拾って増幅していた。
しかし、それに飽き足らないクリスチャンは、ギターにマイクを取りつけ、その音をアンプで増幅できないかと考え、電気に強い仲間にギターを改造させて演奏をするようになった。
やがてギターメーカーがクリスチャン専用のギターアンプを開発し、クリスチャンのみならず他のギタリストも使用するようになった。
これがやがて、ギターでソロを取るという発想が一般的になっていったのだ。
現在ではギターはソロ楽器として当り前のように認知されてはいるが、クリスチャンという突出した技量のギタリストと、彼の革新的なアイデアなくしては、ギターはソロ楽器にはなっていなかったかもしれないのだ。
ドキシー ソニー・ロリンズ
ソニー・ロリンズ作曲の《ドキシー》は、マイルスと演奏した初演が最高だと思っている。
『バグズ・グルーヴ』のB面ね。
簡潔な起承転結、かつ分かりやすい構造、そしてユーモラスさと、ほんの少しのブルーなテイストも配合されたきわめてバランスのとれたテーマと、それを元にインプロヴィゼーションに発展させやすい構造になっている。
マイルスもロリンズもシルヴァーも、この曲の構造を土台にきわめてすぐれたアドリブを繰り広げていると思う。
それなのに、それなのに、なんで、ドン・チェリーとやっている『アワ・マン・イン・ジャズ』では、こんなに崩しちゃうの? せっかく自分で作った良い曲を……
と、いつも勿体ない気分になっちゃうのは私だけ?
ディジー・ガレスピー 最期
トランペッター&バンドリーダーのディジー・ガレスピーは、1993年1月6日にニュージャージーの病院で息を引き取ったが、再起を信じていた彼は、亡くなるまで、病床ではトランペットを手放さなかったという。