愛がなくちゃね。/矢野顕子

      2016/11/08

愛がなくちゃね。(紙ジャケット仕様)愛がなくちゃね。/矢野顕子

矢野顕子の最高傑作だと、個人的には思っている。

前作『ただいま』ではYMO色全開(というより教授色全開)だったことに対して、本作はJAPAN色が強くなっている。

それもそのはず、デヴィッド・シルヴィアン、ミック・カーン、スティーヴ・ジャンセンら、JAPANのメンバーが全面的に参加しているからね。

ラストの《グッドナイト》は、デヴィッド・シルヴィアンとのデュエットだしね。

カーン、ジャンセンのリズムセクションはそのままJAPANだから(すべての曲ではないけれども)、JAPANミーツアッコちゃんという趣が強くなるのは当然のことといえよう。

特に、タイトル曲の《愛がなくちゃね》、サビのベースを聴いてごらん。
かなーりヘンというか面白いから。
もうミック・カーンの変態フレットレスプレイが全開だ。
しかし、ちょっと切ない曲調とピッタリと合致しているところが、さすがミック・カーンの恐るべきセンス。

シンセで的確にあっこちゃんの歌を彩る教授の音色とメロディのセンスカッコイイ。
プロフェットを操っていた、もっともカッコいい尖った教授も大活躍!

サトウハチローの詩に曲をつけた《悲しくてやりきれない》、1975年に12歳で投身自殺をした少年が書いた詩に高橋悠治が曲をつけた《道でバッタリ》など、詩が染みてくる曲も多い。

《おいしい生活》や《どんなときも どんなときも どんなときも》の作詞は糸井重里。今聴くと、うまく当時の時代の「気分」を切り取っていたなぁと思う。

とにかくどの曲も、粒ぞろいの名曲、名アレンジ、名唱の集大成。

私はアコースティック路線の矢野顕子よりも、この時代の、時代の中で尖がっていた人たちに囲まれて。彼らが放つユニークな音と共に奔放に歌う、「トンガリなごみ」な矢野顕子が好き。

●収録曲
1. 愛がなくちゃね
2. 悲しくてやりきれない
3. What’s Got In Your Eyes?
5. みちでバッタリ
6. 女たちよ 男たちよ
7. あいするひとよ
8. Sleep On My Baby
9. Another Wedding Song
10. どんなときも どんなときも どんなときも
11. Good Night

記:2009/10/28

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