街と仲間と音楽と
text:高良俊礼(Sounds Pal)
友人 音楽
商売柄「友人」といえば、圧倒的に音楽が好き、あるいは歌に演奏にDJに・・・と、何らかの形で表現活動をしている人が多い。
そういった「友人」達と、かなり突っ込んだ音楽の話をすることは楽しい。
互いに共通して好きな音楽をツマミに盛り上がるのは楽しいが、詳しく知らない分野の音について、新たな発見があったり、視野や興味が拡がる会話はもっと楽しい。
奄美 名瀬 音楽環境
奄美大島の名瀬という街は、規模そこそこ、人口そこそこの小都市だ。
都会のように、同じジャンルが好きな人“だけ”のコミュニティを成立させるのは、なかなか難しい。
必然的にイベント等では、違ったジャンルのアーティスト同士が共同で企画を行うことが多くなる。
一見不便に思えるこの環境こそが、実は奄美の音楽好き独特の感性を育んでいると、私は思っている。
異なる価値観を持つ人達が、イベントでの協力関係を通じて、互いの良い部分を認識し合いながら、負けずと腕を磨いて表現のクオリティを高めていく。
イベントを観に来るお客さんもまた、好みとは違うジャンルの音に触れ、それを自分の好みの音楽と比較対照させることで、好きな音楽への愛着を深め、あるいは未知のサウンドを素直に受け入れ、どんどん感受性を研ぎ澄ませていっている。
異文化 価値観
東京でライヴハウスのイベントを観た時、真剣に音を聴く、都会の音楽ファンの姿勢を素晴らしいと思ったが、同時に目当てのバンドの演奏が終わるとサーッと会場を離れて、全く別の客層でフロアが埋め尽くされる様子に、少し歯がゆさを覚えた。
都会には“ジャンル”という区分けが存在する。
逆に地方には“地域性”という小さな枠組みがある。
どっちに住んでも、人はそれぞれ異なった価値観を持っていて、他人から見たらどんなものであれ、それは異文化だ。
だからこそ異文化同士が外に出て、切磋琢磨される機会が多ければ多いほど、地域の文化は向上してゆく。
記:2014/10/04
text by
●高良俊礼(奄美のCD屋サウンズパル)
※『奄美新聞』2008年3月1日「音庫知新かわら版」記事を加筆修正