仮面ライダーアマゾン

      2016/01/31

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーアマゾンS.H.フィギュアーツ 仮面ライダーアマゾン

2歳になる息子に、仮面ライダーのシリーズを見せた。
レンタルショップからビデオを少しずつ借り、1号ライダーからクウガまで、数話ずつだが、一通り見せた。

そんな息子が、歴代ライダーの中で、一番最初に気に入ったライダーは、「アマゾン」だった。

アマゾンは、歴代仮面ライダーの中では、一番異色のライダーだと思う。

一言でいえば、一番原始的なライダーだ。

この異色さと、原始的な直截さが、子供心をくすぐったのかもしれない。

元はといえば単なる「バッタ人間」の仮面ライダーが、V3、Xとシリーズを経るにしたがって、いつのまにか洗練されてきたことに対しての、アンチテーゼ、そして原点回帰としてのライダーがアマゾンなのかもしれない。

とにかく、アマゾンは他のライダーとは違う。ルックスからして怪人みたいだ。

先日、バンドの練習に息子を連れて行った。

息子はアマゾンライダーのソフトビニール人形がお気に入りで、肌身離さず持ち歩いていたほどなので、バンドのメンバーの女の子にアマゾンの人形を得意げに見せびらかした。

彼女らと私は年がかなり離れている。

少なくとも彼女らは、リアルタイムではアマゾンを見ていない世代だ。

そんな彼女たちの反応、そして第一声が、「これ、何ていう“怪人”?」
彼女たちは、その特異なルックスから、正義の味方ではなく、怪人を想像したようだ。

アマゾンライダーは怪人ではなく、正義の味方なんだよ、1号、2号、V3、ライダーマン、Xに続く、6人目の仮面ライダーなんだよと説明したら、「なんてサイケなライダーなんだろう!こんなのもライダーなんだ」と妙に感慨深げな表情をしていた。

たしかに、アマゾンライダーは、ライダーの仲間だという先入観を持たずに眺めれば、怪人と間違われかねないルックスをしている。

まず、色。

緑にオレンジ色のスジ。まるでジャングルの中のトカゲや蛇のように、どぎつい色のコントラストの迷彩色。

腕にはギザギザと尖った三角のノコギリ状の突起物がある。

指先には、鋭い爪。

背中には、半魚人のような背ビレがある。

今にも噛みつきそうな口。

これだけの要素が揃えば、悪役と思われても仕方が無いのかもしれない。

強いて、仮面ライダーっぽさを保っているのは、迷彩ボディに映える白いマフラーと、すべての仮面ライダーに共通するベルトぐらいなものか。

実際、劇中でも悪者扱いされたことが何度かある。

殺人犯を捕まえたのに、警察に逮捕されてしまったり、学校の生徒を救うために闘ったのに、子供の親たちから縄で縛られたりもした。

それは、アマゾンが日本語を喋れなかったことが大きい。

なぜなら、アマゾンは日本人でありながら、幼少時から20数年間、アマゾンのジャングルで育ったからだ。

悪の組織、ゲドンと闘うために、故郷の日本へ戻ってきたのだが、ジャングルで育ったアマゾンにとっての日本は、初めて訪れる外国のようなものだ。

ジャングルにいた時と同様、ほとんど裸同然の格好で街の中をウロウロし、「アマゾン、悪くない」「アマゾン、友達」といった、カタコトの日本語しか喋れないわけだから、不審人物だと思われても仕方が無いかもしれない。ちょっと可哀想だけど。

また、山本大介という本名がありながらも、変身前の人間の状態の時も、おやっさん(立花藤兵衛)や、アマゾンを慕う少年・マサヒコからも「アマゾン」と呼ばれているのも、なんだか日本人扱いされていないようで可哀想だ。もっとも彼らは親愛の気持ちを込めてそう呼んでいたのだろうけど……。

他のライダーは、ピンチになるとすぐに変身をするが、アマゾン(山本大介)は、なかなか変身をしない。裸の上半身が血まみれになるまで、生身の人間の状態でギリギリまで闘う。

全身が傷だらけのアマゾン(山本大介)。

傷から流れ落ちる血が川の水を赤く染めるまで闘ったりしたこともあったぐらいだから、なかなか根性があるというべきか、それとも単なる無謀なアホなのか……。

そして、ようやくギリギリの段階で変身をする。変身したはいいが、変身して最初にすることは、敵にガブガブと噛みついたり(笑)。

しかも、ジャングルのターザンのような雄叫びをあげながら闘う。

背ビレをピクピクさせて、敵を威嚇もする。

そして、必殺技は「大切断」。

他のライダーの必殺技はキックだ。仮面ライダーのキックを喰らった怪人は、爆発して一見落着だ。

ある意味、非常に綺麗なフィニッシュといえる。

しかし、アマゾンの場合は違う。

「大切断」とは、要するに、空手の瓦割りの要領で、腕で敵を真っ二つにする技だが、これを喰らった怪人は爆発しない。爆発しないかわりに、緑や青の血が、勢いよく「ぷしゅーっ!」と飛び散る。

怪人が断末魔を上げながら、大量の血を吹き出すシーンは、なかなかグロテスクだ。

他のライダーとは、あらゆる面で異質な仮面ライダーアマゾン。

洗練された格好良さとは対極の、泥臭くて原始的なヒーロー、アマゾン。

しかし、そういった泥臭さも慣れてくると、不思議と愛着が湧いてくるから不思議だ。

物語後半になればなるほど、アマゾンは日本語が喋れるようになってくるし、服も着用するようになったためか、物語前半に比べると、随分と洗練されてくる。

しかし、アマゾンの場合は、スマートになればなるほど、ヒーローっぽい立ち居振る舞いを身につければつけるほど、なんとなく面白くなくなってきた。

やっぱり、原始的な立ち振る舞いをしていた、前半の話のほうが個人的には面白いと思っている。

きっと、息子も同じことを感じていたに違いない。最初は「アマゾン、アマゾン」と熱中していたが、話が進み、少しずつ立ち振る舞いが洗練されてゆくにつれて、次第に興味が薄れてきたようで、アマゾンと並行して見ていたV3や、Xライダーの方に興味が少しずつスイッチしていったようだ。

ただ単に飽きただけなのかもしれないが。

余談だが、今では、V3やXライダーではもの足りないらしく、仮面ライダー2号、しかも旧2号がマイブームらしい(笑)。

1号ライダーは?と聞くと、「1号ライダーいらない」だそうだ。

子供なりのコダワリと区別があるのだろうけど、う~む、よく分からん。

なぜなら、私は旧1号派だから。

なんだ、親子揃ってライダーバカじゃん(笑)。

しかし、よく見ると、アマゾンのマスクは中々面白く複雑な形をしてますね。

ライダーのマスクの形の中では、一番造形的には複雑で微妙なラインをしているんじゃないかと思う。ほかのライダーの、いかにもかぶりものっぽい形に比べると、アマゾンライダーのマスクの造形はかなり精悍なフォルムだ。

私はかなり好きだ。

子供の頃は、グロテスクで、一風変わったライダーぐらいな認識しかなかったアマゾンライダーだが、大人になって改めて見返すと、新たな面白さと発見の連続。

「クウガ」や「龍騎」だけがライダーじゃないぞ。

まだアマゾンを観たことのないライダー好きは、アマゾンを観よう!

記:2002/04/17

追記

先日カラオケ屋へ行って、『仮面ライダーアマゾン』を歌った。

モニターには懐かしの映像が歌詞とともに現れた。

ほかのライダーやウルトラマンの歌は、すぐさま“変身後”の姿が現れて場を盛り上げるが、『アマゾン』の場合は、さすがというべきか、2番を歌い終わっても、まだ変身したアマゾンの姿は出てこず、変身前の山本大介が画面をところ狭しと暴れまわっていた(笑)。

そして、3番になってようやく変身したアマゾンの映像が流れ、ラストのシーンは「大切断!」でカニ獣人が青い血しぶきを上げている場面が映し出された。

ギリギリまで変身しないアマゾン。

あくまで人間のままの姿で頑張って戦う山本大介。

そして、派手でちょっとグロテスクな必殺技でキメるという流れは、番組の流れそのものだ。

このカラオケの映像を編集した人は、アマゾンのことをよく分かっているに違いない。

いや、それとも、もしかしたら、単純にアマゾンライダーが映っている映像が少ないゆえの苦肉の策だったのかもしれないが……

記:2002/12/15

 - 特撮