教材や塾にお金かけることよりも、もっと大事なこと

      2015/05/23

paper coffee

先日書いた“辞書話”、多くの方からのご意見いただきありがとうございました。

●こちら
>>辞書に夢中です。~コピーライターになりたい!

江戸時代の寺子屋教育は、

「読み・書き・そろばん」が主軸だったことからも分かるように、学力の根底は、21世紀になった今においても、いや、21世紀になり価値も情報も多様化し複雑に入り乱れている今日だからこそ、とても大事なことなんだと思っています。

手を使ってページをめくって、
手を使って言葉を付箋に写しとり、
手を使って書いた付箋を辞書にペタッと貼る

たったこれだけのことですが、手を使って、という作業がとても大事なことだと思っています。

私は今でこそ、モノを書いたり仕事の多くのやりとりはPCを使っていますが、つまり、デジタルのツールがなくてはならない存在となっていますが、ほんの10年前までは、シゴトも、書くことも、アナログでした。

それは、きっと皆さんも同じだと思います。

シゴトもプライベートもデジタルなツールに囲まれることによって、われわれは多大な恩恵を受けています。

今までは3日かかっていた仕事量も、
ネット環境の発達、
PCの性能アップ、
便利なPCのアプリケーションなどによって

1日、あるいは半日で済んでしまうことすらあります。

これは凄いことですし、とてもありがたいことだと思っています。否定すべきことだとは思っていません。

もっとも、マイクロソフトのある社員は、友人に「また便利なツールを作ってからに。便利なことは有難いが、そのおかげで、仕事量がまた増えちゃうじゃないか!」と冗談めかした愚痴を言われた、と言ってましたね(笑)。

時間内の生産量が増えてくるわけです。

1つのことに今まで1時間を費やしていたことが、10分で終わってしまえば、1時間に6倍の量がこなせるようになります。

それによって、周囲の仕事に求める生産量、いわゆる“仕事観”がどんどん変わってきているんですね。

だから、求められる仕事の絶対量が、ツールの発達による仕事の省力化・時短化と反比例してきているのです。それもすごい速度で。

便利ではあるけれども、それが及ぼす弊害、心身的疲労感やストレスも無視できない問題ではありますが、このことについては別の機会に譲るとしますが、私自身の場合は、わりかし単純な人間なので、便利なことはイイことだ!と、まるで性能の良いおもちゃに喜ぶ子供のようです。

しかし、便利なことはいいことなんだけれども、それでも、優秀なコピーライターや企画屋さんは、入力はデジタルだけれども、アウトプットは必ず一度はアナログのプロセスを経ていますね。

つまり、思いついたこと、企画案、文章などは、パソコンで入力はするんだけれども、必ず紙にプリントアウトするというプロセスを経ている。

モニターで文字を見るのと、紙で文字を読むのとでは、感触がまったく違うのです。

だから、モニター上では良いと思っても、プリントアウトしたものを見ると「何じゃこりゃ?!」なことが多かったりする。

だから、プリントアウトしたものに赤ペンで修正をいれ、PCに再入力するというプロセスを必ず踏むそうです。

この手法は、じつは私も昔からやっていて、本の原稿、つまり、紙に印刷されることが前提の原稿に関しては、必ずプリントアウトをして手でチェックを入れるようにしています。

ホームページやメルマガはそのようなことはしてませんけど(笑)。

紙に印字された自分の文字を赤ペンでチェックする作業って、じつはすごく大事な作業で、いつも「オレってほんっっとに文章ヘタだよなぁ」とウンウン唸りながら紙を真っ赤っ赤にしています。

紙に触って、ペンを握って、手書きで直しを入れる作業はアナログ的作業です。

文章の入力や送信はデジタルなツールを使いますが、最終的な仕上げ、あるいは文章をそのものを書く前に行う、ノートにグダグダと意味不明の絵を描く作業はアナログ作業なのですね。

おそらく、技術が発達して、もっともっと仕事の効率がアップするようなツールやインフラが発達したとしても、このアナログ的作業はなくならないと思います。

昨年、マインドマップのソフトが発売されたときも、私はいちはやく飛びついて試してみましたが、やっぱり違うもんね。キーを叩いて入力するマインドマップは、手書きでぐちゃぐちゃに書くマインドマップのような自由奔放な発想が出てきませんもん。

だから、作業はデジタル、思考はアナログという当たり前な事実を見失わないようにしつづけたいと思うし、だからこそ、アナログ的手法の大切さを小さい頃から息子にはしみこませておいてあげたいと思うのです。

デジタルツールは、覚えようと思えば、すぐに覚えられることですが、アナログ的な習慣(手書き、手でページをめくる、手で本の文字を書き写す、手で発想を書き溜めるなど)は、一朝一夕では身につきません。

だからこそ、アナログの良さを子供に教え、アナログ的な作業を苦にしないだけの習慣を身につけさせることが、親としての大事な務めのひとつだと思っています。

デジタル的なスキルに関しては、子供は勝手に身に着けてくれるもんだと思うので、そのへんは、今のところ勝手に放ったらかしにしています。

辞書を引いて、調べた言葉を書き写すという習慣は、まさにアナログ的習慣を身につけさせるにはもってこいの方法だと思っています。

うれしそうに辞書をめくっている息子の姿を見ていると、べつに子供って大人が思うほど勉強が嫌いなわけじゃないんだなぁと感じます。勉強というよりは、好奇心を満たす行為ですからね。

高いお金を払って塾に通わせたり、教材を買うのもいいですが、その前に親としてしておかなければならない大事なことが、「アナログ作業」の習慣づけだと思います。

記:2007/04/04

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