アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ/プリンス
2021/02/10
この時期のプリンスが一番好き
プリンスのアルバムは、ほぼ全部好きなので、その日の気分によって好きなアルバムは変わるんですが、数あるプリンスのアルバムの中から一枚だけ好きなものを選ぶとしたら、さんざん迷った挙げ句に、『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』を選ぶ日が多いかもしれない。
ま、正直言っちゃうと『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』から『ラヴ・セクシー』に至るまでのプリンスのアルバムは本当に大好きで甲乙つけがたいんだけどね……。
地味なテイスト。だが、
『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』は、おそらくプリンスの作品の中では、もっとも人気のないアルバムかもしれない。
キャッチーな曲、あるにはあるけれども、アルバム全体のトーンが、なんとなく地味だから。
しかし、様々な要素をごった煮状態にしたサウンドは、不思議と耳触りが良く、なおかつ平易で明解。
まぁ、これはプリンスのどの作品にも言えることなのだが。
アルバム全体を支配する全体のトーンの肌触りの不思議さと謎、そして深さは発表してから15年経った今でも色褪せることが全くない。
ポップ・ライフ
私が好きにになったキッカケは、《ポップ・ライフ》という曲だった。
ベースのスラップには時代を感じてしまうものの、この切ないメロディと歌詞はいつ聴いても涙腺を刺激するのだ。
曲の後半、いったん演奏が中断し、喧噪のSEが挿入されるところなど、非常に効果的で、ベタではあるが、この曲の「物語性」をよりいっそう高めているように感じる。
音色、ベースなどは、これから時代が進むとともに、「昔の古き良きサウンド」になってしまう可能性は高いが、この曲が持つ独特のムードや魅力は、色褪せることなく聞き継がれていくのではないだろうか。
記:2000/07/09