超時空メルヘン「ババジ君」第8話
第8話のつづきです。
「早く、映して!」
周りが急かします。
「ハイ、ハイ、あんたらに言われなくても、とっととモニターしますよ。」
アヤナギノ・サワヤミコは文字盤に指を置き、着信された電文をモニターに映し出しました。
画面には、このような文字が現れました。
「鬼糸由十木予上穴田変五口臣又糸不日虫寺田工共主目里木」
「?!」
何て書いてあるんでしょう。一体どういう意味なんでしょう。
神武型の周りに群がった女性操作員たちは一様に首を捻っています。
「あなたたちね、ユニワにうつつを抜かしている暇があったらね、もうちょっと勉強したらどうなの?」
アヤナギノ・サワヤミコです。
「じゃぁアヤナギ、あなたは分かるのね?」
「ええ、多分ね。」
アヤナギノ・サワヤミコは余裕の表情を浮かべています。
「これはきっとアナグラム(文字を並べ替える暗号)だわ。」
と言うや否や、神武型の文字盤をカタカタと入力しました。
「でも、単純にアナグラムだとすると、26文字という文字量は多すぎるわね。組み合わせの可能性は...え~と、100兆以上はあるだろうから、文字の部位を細かく分解しているものと過程して...」
と、また文字盤をカタカタを入力しはじめました。
画面には、
「魔空卑変螺時緊上異吾着急不野」
という文字が現れました。
もう周囲は、アヤナギノ・サワヤミコがやろうとしていることが飲み込めてきたようです。
「これを並べ替えるだけでも多分80億通り以上の組み合わせがあるけれど、文字と現在の状況から推察するに、“上空”“緊急”“卑魔螺野”という単語が含まれていることは確実だから・・・」
アヤナギノ・サワヤミコはカタカタと文字盤を打ちながら、
「これで、約1000通りの組み合わせに減ったわね。」
神武型は一瞬にして、1000通りの組み合わせを作成、文字の配列の中で最も可能性の高い文章を画面に映し出しました。
「卑魔螺野上空異変吾緊急不時着」
恐らく、こんな意味でしょう。
「卑魔螺野(ノ)上空(ニテ)異変(アリ)吾(、)緊急不時着(ス)。」
周囲がざわめきました。
つづく
⇒第9話