超時空メルヘン「ババジ君」第10話
第9話の続きです。
「馬鹿者!! 急いで“すめらのみことⅡ世号”に探索させるのだ!!」
「ハ、ハイ。わ、分かりました。」
ユニワノイナホとお話するつもりで無線機に出たナカゴウノ・ミコですが、おっかない隊長に怒鳴られてしまって、シュンとしています。
「えーと、それから、電算班の主任操作員に代わってくれ。」
主任操作員とはアヤナギノ・サワヤミコのことです。
「はい、アヤナギです。隊長、ご無事ですか?」
「ああ、無事だ。ただ、電波妨害で予定のコースから大きく外れてしまい、現在軌道修正中だ。予定地にはヒトヨンフタマルに到着の予定だったが、ヒトゴーフタマルくらいになりそうだ。」
「了解です。すめらのみことⅡ世号からの誘導電波航法は回復したのですか?」
「うむ、つい先程回復した。ところで、アヤナギノ・サワヤミコに頼みがある。」
「ハイ、何でしょうか。」
「卑魔螺野を調査して欲しい。やはりあそこには何かが潜んでいる。ただし、単独で向かうのは危険だ。地質調査班も同行させるように。」
「阿蘇の地質調査班のことでしょうか?」
「ああ、そうだ。お前と、さっき出た操作員は誰だったっけ?え~と、」
「ナカゴウノ・ミコですね。」
「そうだ。彼女と2人で、まず、阿蘇の観測所に飛んで欲しい。そこで現地にいるサカグチと合流、阿蘇観測所の産土号を使って卑魔螺野に急行してくれ。」
「サカグチって、あのサカグチ博士ですか?」
「ああ、少々変わり者だがワシの古い友人だ。きっと何かの役に立つ。」
「はい、わかりました。」
「防寒装備は充実させるように。想像以上に極寒の地と聞く。それから、くれぐれも連絡は密にしろ。我々はあの付近で強力なジャミングにあっている。以上だ、健闘を祈る。」
隊長の声の後ろから、「じゃぁねぇ、ミコちゃん、今度遊ぼうね~」とユニワノイナホの声がかすかに聞こえ、隊長の「バカモン!任務中だぞ!」という怒号とユニワノイナホの「うへぇ」という声が聞こえて無線が切れました。
「というわけで、ミコちゃん、行こう」
明石観測所の地下の格納庫より、局地型戦闘機・埴輪号が地上に運ばれ、砦の奥にある滑走路より飛び立ちました。
つづく
⇒第11話
画:バビロン