超時空メルヘン「ババジ君」第16話

   

babaji016

第15話の続きです。

ボクが入った途端に入り口が閉まった。ボクがこちらに向かっていることを知ってたんだな、あの女の子は。

わざと知らないフリをして、ボクをおびき寄せたのか。

てことは、ボクはワナにハマッたってこと?
冗談じゃない。痛い思いをするのはあっちさ。

僕は素手でも強いんだぞ。お父さんから教えてもらったインドカンガルーのブーメラン拳をお見舞いしてやる。

でも素手だけだと、正直ちょっと怖いな。一応武器も用意しておこう。そこらへんに何か落ちてないかな?探してみよう。殴り込みをかけるのは、それからでも遅くないもんね。

ババジ君は、武器になるようなものを探し始めました。

産土号の操縦室の一つ奥は、電算室です。

電算室には大きく分けて2つの部屋があります。

神武型とまではいきませんが、大小さまざまな“玉石”が配列されている部屋と、おびただしい機械類が配置されている部屋との二層構造になっています。

たまたま、ユニワノイナホが向かおうとしているエンジンルームへ向かうには“玉石”がたくさんある方の電算室を通り抜けます。玉石のたくさん配列された部屋を通り過ぎようとしたユニワノイナホ、部屋の奥を見てギョッとしました。

隊長は照り付ける陽射しの中、一人街に向かって歩いています。

盟神探湯号で快調に飛ばしてきた、田舎の小道といった趣きの一本道も次第に広がり、人通りが少しずつ増えてきました。

先ほどの大爆発のせいでしょうか、道行く人々は皆、心なしか沈鬱な表情をしています。行商人らしき背中に籠を背負った人々は、これじゃぁ商売あがったりだぜ、のようなことを話しています。

隊長は、ここらで通りすがりの街の人に声をかけてみようと思いました。

印度語の訓練、舌ならしです。

さきほど、すれ違った行商風の人をつかまえて、

「こんにちわ。何かあったんですか?」

と印度語で聞いてみました。

「あんた、よその人かい。街の真ん中の方へは行かない方がええぞ。こりゃまたすんげぇ爆発があってよう。」

「爆発?ですか。」

「あんた、来るのが遅くてよかったがな。もう収まったんだが、そりゃもうすげぇ爆発でよう、人は死ぬは、建物に火がつくわで、んもう、すげぇ騒ぎったらありゃしねえ。おいらの商売あがったりだ。」

「街のどの辺りで、そんなヒドイことがあったんですか?」

「そりゃ、あんた、簡単だべ。ここさ道ずっと真っ直ぐいきゃぁ、ものの10分もしねぇ。あんさん、行く気かい?よしたほうがええぞ。」

ああ、もうかんねぇ、もうかんねぇと言いながら行商の人は去って行きました。

隊長は問題の地点に向かって足を速めました。

つづく

第17話

画:赤っぴ

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