ベスチャル・クラスター/ミック・カーン
2016/06/18
『ベスチャル・クラスター』は、ミック・カーン待望の3作目。
いやはや、あいかわらず、変態的な唯一無二なベースは健在ですね。
いや、むしろサウンドやベースに骨太さが増し、パワーアップしていると思う。
ジャケ写で、顔を黒塗りにしている力強いミック・カーンの顔のように。
タイトル曲のパワフルなリフ(?)に眩暈を起こし、《バック・イン・ザ・ビギニング》の“にゅいんっ!!!”とネットリした反復ベースに口元をニヤリとなる。
《サッディ・マッディ》の重厚で気迫のこもったラインに唸りを上げ、《レバー・アンド・ラングス》の茫洋と全体を包む厚みにあるベースのサウンドに痙攣し、《ボーンズ・オブ・マッド》のベースを聴き、たまらず手元にあるフレットレスベースを取り出し、いそいそとコピーを始める……。
そんな聴き方をしております。
ほんと、あのフレットレスベースの「にゅるりん!」とした音は独特で、美味しい音で、脳内を刺激しまくってくれます。
私もフレットレスを弾くので、フレットレスにコーラスやフェイザーをかければ、似たような音色になることは確かなんだけれども、絶対にあのようなニュアンスは出せませんね。
本当に、唯一無二の存在感のあるベースと表現力です。
向かうところ敵なし!
というより、彼のあのような音楽には最初から敵はいないでしょうけれども、とにもかくにも縦横無尽なフレットレスベース。
このフレットレスを元気に引き倒しているミック・カーンの雄姿を拝めるパワフルなアルバムといえましょう。
そういえばデビッド・トーンが全面的に参加していますね。
うまーく、ミックが構築した世界に溶け込みつつ、個性を表出していると思います。
いずれにしても、このアルバムの超越したオリジナリティは相変わらず素晴らしい。
たぶん、今までのアルバムの中では、もっとも骨太なサウンドなんじゃないでしょうか?
全ベーシスト必聴!とは書きません。
だって、こういうスタイルのベースを弾きたいと思う人ってそんなに多いとは思わないから。
しかし、同じベースでもこんなに風景の違う低音があるんだという刺激は脳内にバシバシとくるので、やっぱり全ベーシスト必聴かな?
記:2004/03/02