ブルーノート1500番台との100日
2017/04/15
昨年末、発行しているジャズのメルマガが1500号に達したので、1500にちなんだ特集を試みてみた。
「1500」という数字にピンときたあなたは、立派なジャズマニア。
そう、ジャズの名門レーベル・ブルーノートのレコード番号なのです。
ブルーノート 1500番台
マイルス・デイヴィス、セロニアス・モンク、バド・パウエルらのジャズ・ジャイアンツのリーダー作を筆頭に、ホレス・シルヴァーやハンク・モブレイ、ジミー・スミスなど、当時のブルーノートのいわば「顔」となるミュージシャンたちのリーダーアルバムが目白押しなのが、ブルーノートの1500番台。
この1500番台には2枚の欠番があるが、この2枚を除いた98枚のレビューを、メルマガの号数とリンクさせて配信すると面白いかなと思いたったわけだ。
さいわいブルーノート1500番台のアルバムのレビューの3分の2近くはホームページにアップしている。これらの記事に関しては、対象となるアルバムを聴き直し、加筆や修正をほどこせばいい。また、まだ書いていない残り3分の1のレビューに関しては、時間のあるときに感想を書きため、メルマガの番号と同じ番号のアルバムを紹介してゆこう。
そう思い立ち、早速1501号は、レコード番号1501番の『マイルス・デイヴィス・オールスターズvol.1』からスタートし、1600号は1600番のザ・スリー・サウンズの『イントロデューシング』を配信し、この企画を無事終了させることが出来た。
優れた音・表現に古いも新しいもないのだ
メルマガの発行ナンバー1500から1600までのおよそ100日の間は、1日も休まず配信することが出来たことからも、個人的にはとても楽しく充実した期間だった。
なぜかというと、1500番台をまとめて聴き直せたから。
やはり、自分にとってのジャズというのは、「このあたり」であり、自分が好むジャズというのは「このテイスト」なんだなということを再確認することが出来たのだ。
たしかにブルーノートのこれらの作品が吹き込まれた時代には、まだ私は生まれていなかった。というより、私が生まれた時はすでにモダンジャズ的な表現のジャズは、世の中の音楽の主流ではない上に、既に古いスタイルとされていた。
しかし、自分が生まれる前の音にもかかわらず、そして当時のジャズマンたちの演奏を目の当たりにしていないにもかかわらず、ブルーノートのアルバムに封じ込められている音には、とてもリアルな音の鼓動と躍動の集積が感じられるのだ。
21世紀になった今日でさえ、およそ半世紀前の1950年代に録音された優れたジャズ表現が、CDの再生スイッチを押すと同時に、当時の脈打つ音の鼓動が、瞬間解凍され、部屋の空気を包み込む。
優れた表現に古いも新しいもないのだ。
いやむしろ、私の場合、その時代の空気を吸っていないからこそ、妙な懐かしさやノスタルジーなどといった個人的思い出や感傷などにおぼれることなく、優れた音は優れた音として、良い演奏は良い演奏としてピュアな状態で受け止めることが出来たのかもしれない。
普遍的な音楽というのは、きっと存在はしないのだろう。
しかし、優れたジャズ表現が封じ込められたブルーノートのアルバムの音は、おそらく100年後に生まれた人が聴いたとしても、私が受けた感動と同種の感動を彼らに与えるに違いない。
もし、現在発行しているジャズのメルマガが4000号にまで達したら、次はブルーノートの4000番台の特集をやってみようかと思っている。
1日1号ずつメルマガをコンスタントに配信したとすると、4000に届くのは6~7年後というところか。少し先の話にも感じるが、メルマガを既に10年以上続けていることを考えれば、そんなに遠い未来でもないようにも思えてくる。
とにもかくにも、ブルーノートは逃げない。こちらもゆっくりとマイペースでジャズを聴き続け、感想をメモに書き綴り、レビューを書き、メルマガを発行していきたいと思っている。
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記:2011/03/26