自分を奮い立たせる映画のシーン

      2018/01/09

yaruki

ずいぶん昔のことですが、椎名桜子のエッセイ、『それでもわたしは白い服がほしい』に興味深いことが書いてありました。

『ランボー3』のラストに近い場面。

おびただしい数のソ連の戦車を前に絶体絶命になったときに、ランボーが「Fuck off!(ぶっ放せ!)」と叫んで、立ち向かってゆくシーンを思い出すと勇気付けられるというようなことが書いてあったのですね。

私、ランボーは好きだけど、さすがに「3」は荒唐無稽な話なので、あまり好きではありません。

まさに、終盤近くの「ぶっ放せ!」と少数相手でソ連軍に立ち向かってゆき、その直後にアフガンのゲリラたちの応援がドドーッとくるところは、鑑賞中は、「おお~っ!」と興奮しますが、興奮が醒めると、「うーん、なんか漫画チックだよなぁ、そんなバカな…な話だよなぁ」と思ってしまいます。

しかし、自分が好きな映画のシーンを心の引き出しの中にストックしておき、自分を奮い立たせたいときに、そのシーンを思い出すという話は参考になりました。

私の場合は、長らく、『ファイヤーフォックス』でしたね(笑)。

クリント・イーストウッド演じるミッシェル・ガントが、ソ連の最新鋭機「ファイヤー・フォックス」を盗みだすシーンです。

母親がロシア人のアメリカ国籍の一流だがベトナム戦争のときのトラウマを抱えたパイロットが、モスクワ入りしてから、ビリヤルスクにあるファイヤーフォックスが格納されている基地に潜入するまでの、映画の中盤までは、ひたすら暗く、重圧感と、ジリジリした緊張感が覆いかぶさります。

しかし、見事、盗み出したファイヤーフォックスがビリヤルスクの滑走路を離陸した瞬間、いままでの重たい緊張感が解き放たれ、えもいわれぬカタルシスを感じます。

実際は、その後も、ソ連軍とのかけひきや、追撃に飛び立ったファイヤーフォックスの2号機との空戦もあるのですが、やはり、私にとっての「ファイヤーフォックス」は、盗み出された瞬間が、いちばんのカタルシスですね。

これを思い出すだけで、アドレナリンが脳からドバーッと分泌されて、やる気満々になったものです。

あと、映画版の『マクロス』(笑)。

『超時空要塞マクロス~愛おぼえてますか』のラストに近いところ。

ブリタイの、「リン・ミンメイの歌を聴くすべての者に告げる。我らの敵はただひとつ。

ボルグ・ボドルザーを倒し、我々に再び文化を取り戻すのだ。」のセリフあたりから、もうアドレナリンがドッバァ~と出まくり(笑)。

もう、公開から20年以上経っているけれども、当時の感動はいまだ薄れません。

DVDのオマケにはいっている予告編のコピー、「ミンメイ・最大戦速」も、秀逸(笑)。

心の戦闘態勢になったときに、「オレ様・最大戦速」と心の中で唱えると勇気がみなぎります(アホ)。

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あとは、短い言葉で「く~っ!」といえば、『ガンヘッド』のラストシーンで、大爆発したカイロン5の中から、ガンヘッドから届いたメッセージも良かったなぁ(笑)。

全体的には、そんなに面白い内容のものではなかったけれども、音楽とか、特撮のいくつかのシーンとか、ピンポイントでイイ部分もある侮れない映画ではあります。

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短い言葉といえば、映画版の『大空のサムライ』で、藤岡弘、がガダルカナル島上空で、眼下に広がる海に無数の米輸送艦隊を発見したときに、心の中で発するセリフにしびれた。

ウロ覚えなんだけれども、

「洋上を埋め尽くす夥しい敵輸送部隊。私はこれを見たとき、“戦争”は負けた!と思った。…しかし、“俺”は負けない!

たしか、このようなセリフ。

このセリフを暗記したくて、原作の『大空のサムライ』のページをパラパラめくって探したんだけども、うーむ、似たような心情は綴られていたのだけれども、このようなセリフはなかった。

映画ならではの、秀逸なセリフでしたねぇ。

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ちなみに、私は小学校のときに読んだ『大空のサムライ』に感動して、以来、第二次大戦撃墜王の一人、坂井三郎氏の著作はすべて読み、講演にも足を運び、握手もしてもらい、サインもたくさんもらいました(笑)。

その中でも、私の顔を見ながら、“百戦百勝”や“不撓不屈”という言葉は、今でも思い出すたびに、心の背筋がシャン!となる思いです。

と、余談が過ぎましたが、このように、映画の好きなシーンを心の引き出しにしまっておいて、何かあったときに取り出せるといいよ、みたいな話を先日、息子にしました。

「お前は、どんな映画のシーンを思い出して、自分を奮い立たせている?」と。

そうしたら、

昔は、『少林サッカー』のラストのシュートを決めるシーンだったようです(笑)。

それともう一つ。

「反応・反射・音速・光速!」

だそうです。

そう、『ピンポン』のペコのセリフですね。

強敵ドラゴン相手に苦戦を強いられている卓球の試合の後半、ヒザを痛めていたペコが突然、蝶のように舞い、蜂のように刺すようなプレイをしはじめ、試合は大逆転。

そのとき、いままでは、黙々とした静寂感に包まれた試合のバックに、スーパーカーの音楽が、ビックリするぐらい大ボリュームで流れ、試合の流れの圧倒的な変化を印象づけます。

「反応・反射・音速・光速!」

呪文のように、この言葉をペコはくり返しながら、みるみるうちに形勢を逆転してゆきますが、このシーンはたしかに、感動的ではあります。

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皆さんは、自分を奮い立たせるときには、どのような映画のシーンを思い浮かべますか?

そういば、「ピンポン」の“あのシーン”の感動は、スーパーカーの音楽の力によるところも大きいですよね。

記:2007/02/12

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