坂本龍一の《フロント・ライン》が大好きなんです。
極々私的名曲
時々、中毒的に聴きたくなる音源が、坂本龍一が昔、昔、シングルで出した《フロントライン》という曲。
プロフェット5を上手に、過激に使い倒していたころの坂本龍一こそが最高!だと思っている私にとっては、もうYMOの『BGM』や、ソロの『B-2 unit』と並び、最高!な音源なのであります。
歌はうまくないし、というか、むしろカッタルイんだけども歌詞がかっこいい。
音楽はマインドの戦い、だからボクは兵士
教授のくたびれたヴォーカルだからこそ(笑)、生きてくる歌詞ではあります。
ビジュアルかっこ良し
今は、YMOのメンバーのソロワークを納めたCDにしか収録されていないけれども、ドーナツ盤のジャケットビジュアルが最高でした。
さらに、ジャケットの裏側の教授のポートレイトも知的でセクシーなのよ(笑)。
坊主頭のヨノイ大尉もセクシーでしたが、坊主頭じゃないこの頃の教授ってとってもセクシーだった。
って、あ、特に私は「その気」はありませんが(笑)、この微妙~な青臭さにやられていた男子諸君も多かったんじゃないかなぁ。
ま、今の教授も、この時期とは違う知的な色香が漂い素敵ではありますが。
「音楽」三部作
音楽がどうで、音楽がこうで……。
「音楽」に関して、ああでもない、こうでもない、とウダウダしている歌詞の作品を教授の「音楽三部作」というようですが、その3つのうちのひとつが《フロント・ライン》なんですよ。
残りの2つは、YMOの『BGM』収録の《音楽の計画》と、YMOの『浮気なぼくら』収録の《音楽》。
《フロント・ライン》→《音楽の計画》→《音楽》という順番に聴いていくと、人間の成長過程がわかるような気がする。
《フロント・ライン》で、音楽に関して色々と悩んだり、葛藤したりして、《音楽の計画》で、ブチきれて暴力的になって破壊して、そして《音楽》は、破壊の後の再生(笑)。
開き直ったのか、成長したのか、一皮むけたのか、悟りを開いて童心に還ったのか、それとも気が狂ったのか(?!)、とにかく楽しげで幼稚園児や小学生が書いた詩のように無邪気で楽しげなのです。
ま、《音楽》という曲は、娘さんのシスターMこと、坂本美雨さんが小さい頃、彼女に作ってあげた曲だそうなので、明るく無邪気な曲調なのでしょうけど。
でも、明るく無邪気な曲調と書きましたが、実際のところ、コード進行や転調のセンスが、ぶっ飛んでいて、滅茶苦茶カッコいい曲でもあるんです。
イントロ、間奏など、歌以外の箇所の主旋律も涙腺を刺激するツボだらけだし、憑き物が落ちたかのように1983年のYMOが《君に、胸キュン。》している同時期に、教授は、こんなに素敵な曲を作っていたんですね。
「音楽三部作」の最後を飾る《音楽》の素敵な世界とは裏腹に、《フロント・ライン》は、贅肉を削ぎ落としたかのように、シンプルでストイック。
まだまだ葛藤に苛まされているかのような、若くて蒼き学徒兵のような教授の禁欲的なマインドのうねりを感じることが出来る《フロント・ライン》、私の中では、時代が変われど、色褪せることなく大好きな曲なのです。
ドーナツ盤のレコードではなく、CDで《フロント・ライン》を聴きたい方!
▼こちらのCDに収録されています!
記:2007/08/24