ゴジラ FINAL WARS/鑑賞レポート
2018/01/10
近年のゴジラはハズレが多いが、というよりもハズレばかりだが、今回の『ゴジラ FINAL WARS』も例に漏れず、といった感じだった。
この作品をもってしてゴジラ50年の幕を閉じるのかと思うと、腰砕け。
というか、また数年後に復活するんじゃないの?
もちろん、これで最後なんだから、もしかしたら面白いかもしれないと期待した私も悪いといえば悪い。
それにしていも、ちょっと今回は、なんというかヒド過ぎる。
どこがどうヒドいのかをいちいち指摘するとキリがなさ過ぎるので、なるべく全体的なことを書こうと思う。
とにかく、どこがどうというよりも、全体的にとても粗い印象が第一。
最後なのだからという気負いと、過剰なサービス精神がすべて裏目に出ている。
あれだけの怪獣を登場させるのだから、シナリオがもうちょっと練れていなければいけないし、練られていないシナリオからくる破綻がストーリーのいたるところに生じているのだ。
しかし、逆に言えば、これまでの歴代ゴジラ怪獣が数多く登場する上に(轟天号も登場するよ)、新しい怪獣も登場するので、とにかくたくさんの怪獣と闘うゴジラを見てみたい人にとっては嬉しい内容かもしれない。 ま、たくさん出てくるだけに有難みも薄いけれど。
おそらくゴジラを観に映画館まで足を運ぶ人の多くは、暴れるゴジラ・闘うゴジラを見にくるのだろうから、ストーリー云々というのは野暮な気がしないでもない。
唯一面白かったというか、笑えたのが、ハリウッド版のゴジラをコケにしている点。
過去の作品でも「ニューヨークに現われた怪獣をゴジラと向こうでは呼んでいるが、我々はゴジラと認めない」といったセリフが出てきているあたりから、ゴジラスタッフは、ローランド・エメリッヒ監督のハリウッド版ゴジラを認めていな(そりゃそうだ)ことは周知の上だが、今回は、その意思表示が露骨で笑えた。
すなわち、ハリウッド版ゴジラ(劇中では“ジラ”と呼ばれていた)とゴジラが対決するシーンがあるのだが、ものの数秒であっさりとやられてしまうのだ。“瞬殺”とは、まさにこのことなりといった感じで。
そのときのX星人に扮する北村一輝のセリフが良い。
「マグロばっかり食ってるやつじゃダメか。ハイ!じゃあ次の怪獣!」
言うまでもなくハリウッド版ゴジラはマグロが好物の怪獣(というか恐竜)。ハリウッド版を観た人にとっては、ニヤリとさせられるシーンとセリフだ。
でも、面白かったところは、これぐらいかな。
そういえば、次から次へと怪獣を送り込むX星人役の北村一輝のコミカルなナルシストっぷりは面白いといえば面白かった。
ストーリー以外のところにも不満はある。
とにかく、映像が汚い。音も悪い。
シーンの多くは青みがかって粒子の粗い映像が多かった上に、劇中のほとんどの音が人間のセリフもふくめて音が割れまくっていた。
私はこの映画、楽天地の「シネマ7」で観たが、これは映画館の設備の問題なのだろうか?
それとも、これが監督が意図した映像と音? 謎だ。
さて、ゴジラマニアにとっては気になる今回のゴジラの造形について。
今回のゴジラのフォルムは全体的に精悍さが増している。
特に顔。
横から見るとかなりシャープな造形になっている。そのぶん、正面や斜めからみると口の部分の厚みがなく、むしろ薄っぺらで、つぶれたように見える。
“キンゴジ”が好きなボリューム派からしてみれば、ちょっとシャープすぎるんじゃない?という顔の形だ。正面から見ると、なんとなく田畑智子に似ている(笑)。
あと、特筆すべきは耳。
尖った耳が立っているので、かなり目立っている。これは初代のゴジラを意識してのことと思われる。
最後に不満をもう一つだけ。
オルガンが素っ頓狂なメロディを奏でるエンディングの音楽も最悪だった。
すごく安っぽい。
重厚感まるで無し。
太鼓やティンパニーなどの打楽器の低音部の“ドン・ドン”で重厚感を出そうとしているだけ。しかも、安っぽいメロディのこれでもかといわんばかりのリフレイン攻撃。
しかも映画館のスピーカーのせいかもしれないが、音も割れまくっている。
なんじゃこりゃ?なエンディングに、脳のヒューズが飛んだ。
ちなみに、この映画は、息子と映画をハシゴした日に観た。
『ULTRAMAN』を観た後にこれを観たのだが、その後、『ULTRAMAN』については、息子は感想を饒舌に語りまくっているが、『ゴジラ FINAL WARS』については、ただの一度も言及をしていない。
観た日:2004/12/29
movie data
監督:北村龍平
製作国 : 日本
製作年 : 2004年
出演:松岡昌宏、菊川怜、宝田明、ドン・フライ、水野真紀、北村一輝、ケイン・コスギ、宝田明、水野久美、佐野健二、船木誠勝、長澤まさみ、大塚ちひろ、泉谷しげる、須賀健太、伊武雅刀、國村隼、喜多川務 ほか
記:2005/01/04