毎日がクリスマスだったら/鈴木さえ子
2016/01/20
元旦那であるムーンライダースの鈴木慶一がプロデュースした、鈴木さえ子のファースト・ソロ、『毎日がクリスマスだったら(I Wish It Could Be Christmas Every Day)』。
このアルバムは発売されてからの半年間は狂ったように聞いていた。
1日に3回以上聴いていた日もある。
そして、今でも思い出したように聴いている。
単純素朴なメロディと歌が心地よいが、音の作り込みがスゴイ。
いや、作り込み、というよりは、ビブラートやサスティンを排したアナログシンセのサウンド群と、乾いたアコースティックサウンドとの音の距離感と配列の妙とでもいうべきか、簡素な音色同士の絶妙な組み合わせのセンスが、陳腐なサウンドになる一歩手前の箇所で危ういバランスを保ちつつ、一種独特なテイストを醸し出しているのだ。
最初は《フィラデルフィア》のようにノリの良いナンバーに惹かれていたが、だんだんと《バオバブ人》や《朝のマリンバ》などのナンバーに惹かれるようになってきた。
その数年後、スティーヴ・ライヒの《ドラミング》を初めて聴いたときは、本当に心地よくマリンバの音がスンナリと頭の中にはいってきたが、これは《朝のマリンバ》に親しんでいたお蔭なのだろう。
また、派手な音色に過剰なエフェクトやエコーをかけたシンセの音色をあまり好きじゃなくなったのも(もちろん曲やアレンジにもよるけど)、このアルバムの影響かもしれない。
あ、あと細野さんの『フィルハーモニー』の影響も大です。
記:2000/08/16