オトナの土ドラ『いつまでも白い羽根』観ながらメモ

      2021/02/11

第1話

このドラマの登場人物の中では、主役の新川優愛よりも伊藤沙莉がいいね。

『その「おこだわり」、私にもくれよ!! 』を観て、魅力的なキャラだと思った。

クソがつくほど真面目で硬直した思考の持ち主を演じる(半ば以上「素」も出ていたと思うが)松岡茉優をうまくチャランポランでありながらも柔軟で臨機応変なキャラで引き立てていたと思う。

で、今回の看護師ドラマ『いつまでも白い羽根』では、「北風と太陽」でいえば、風のようなキツい性格の新川優愛を太陽のようにうまく引き立てていると思う。

かつては彼女が持つ独特な愛嬌は、きっとおばさんになったら良いキャラになるよなぁなんて思いながら『「おこだわり」、私にもくれよ!! 』を鑑ていたものが、なんだかこのドラマでは既にキャラがオバちゃんだよね。
いや、悪い意味ではなく。

オバちゃん的おせっかいなキャラは、このドラマの良いナレーション役になっているのではないかと。

でも、以前よりも太ったね。
だから「大仏」だなんて合コンで言われていて、ちょい可哀想。

もしかして、このドラマの役作りのために「増量」したとか?!

もっとも痩せていようが太っていようが、伊藤沙莉が持つレスポンスや表情もろもろを含めた「役者IQ」のようなものは、主役の新川優愛を遥かに上回るものがあるので、今後のエピソードでも上手に主役を引き立ててくれることだろう。

第2話

伊藤沙莉の父親・柳沢慎吾が営む店は、昭和の香り漂う、町の商店街の中には一軒くらいはありそうな中華料理店だ。

でも、最近は中華料理店もチェーン店が増えてきているので、テーブルの下に『少年マガジン』や『週刊実話』が置いてあるような、こういうタイプの中華料理店は減ってきているかもしれないね。

柳沢慎吾が店主をつとめる「昔ながらの中華料理店」は、チャーハンが店の目玉メニューで、これ目当ての常連さんも少なくないという設定だ。

たしかに、柳沢慎吾が手際よく中華鍋を振りながら作るチャーハンは旨そうで、このエピソードを観ている時は明太子パスタを食べていたのだけれど、チャーハンを猛烈に食べたくなってしまった。

よく見ると、このチャーハンには細かく刻んだカマボコが入っている。

カマボコ入りのチャーハンって、けっこう美味いんだよね。

自分でチャーハンを作るときは、細かく刻むのが面倒なので入れていないけれども、刻みカマボコ入りのチャーハンは好きだ。

だけど、この手の「昔ながらのチャーハン」を出す店が減ってきいるのが残念。

私がカマボコ入りのチャーハンを好きなのは、おそらく生まれ育った故郷・横浜の本牧にあった中華料理店のチャーハンが味覚の原体験の一つにあるからなのだろう。

昔はマイカル本牧、さらにその昔は駐留軍の米軍ハウスがズラ~っと立ち並んでいた「電車通り」と呼ばれていた(路面電車が走っていたからそう呼ばれていたらしい)メインストリート沿いの食堂、そしてそこから分岐している商店街の中華料理店は、たまに祖父や祖母に連れていってもらった記憶がある。

ここで食べるチャーハン、それとサンマーメンが好きだったな。

そうそう、サンマーメンも横浜名物のラーメンの一つなんだけれども、最近は横浜でもサンマーメンがメニューにないラーメン屋が多いのが残念すぎるほど残念なのだ。「家系」もいいけどさ~、横浜だったらサンマーメンも大事にしろよ~って感じ。

そういえば、藤田田氏の著作に書いてあったことだと思うけれど、「人間の味覚は5歳くらいで決まってしまう」という説には実体験からも同感。

私が生まれ故郷の横浜にいたのは5歳までだった。

そこで、ベーシックな味覚が形成された状態で名古屋(というより江南市だけど)に引っ越し、その後大阪(というより西宮市だけど)で暮らしたわけだけど、そして、それぞれの土地の名物であるきしめんや味噌煮込みうどん、お好み焼きや明石焼きも好きになったわけだけれども、もちろんどのメニューも大好きではあるが、やはり好きな順番でいえば、

たこ焼きなどの「粉もの」よりも、
きしめんなど名古屋の麺類。

名古屋名物・中村屋の味噌煮込みうどんよりも、
サンマーメンをはじめとした横浜の中華料理屋のメニューのほうが食べている時は細胞レベルで全身が歓ぶからね。

そんなことを思い起こさせてくれる第2話だった。

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第3話

「白い羽根」といえば、江戸川乱歩の『白い羽根の謎』を思い出す。

小学生の時、ポプラ社から出ている江戸川乱歩シリーズを夢中になって読んでいた。

確か全46冊。

そうのうち、前半の24巻目の『二十面相の呪い』までが、怪人二十面相対明智小五郎with少年探偵団の話で、最初から子供向けに書かれた内容。

アルセーヌ・ルパンが登場する25巻目の『黄金仮面』から46巻目の『三角館の恐怖』までは、江戸川乱歩が大人向けに書いた内容を子ども向けに書き直した内容だった。

最初は二十面相が登場する話のほうに夢中だったが(ロボットが登場する『電人M』など)、すぐにストーリーの展開とエンディングがワンパターンなことに気が付き、むしろ大人向けに書かれたものを少年少女向けにリライトされたほうの物語のほうに魅せられた。

『呪いの指紋』や『赤い妖虫』のような「復讐もの」などは面白くて何度も読み返したものだ。
逆にいまひとつピンとこなかった物語のひとつに『白い羽根の謎』があった。

しかし、大人になって子ども向けにリライトされる前の『化人幻戯(けにんげんぎ)』を読んだら、滅茶苦茶面白かった。

なるほどね。
エロティックなところが少年少女向けにカットされていたからストーリー的に中途半端なものになってしまったのねと合点がいった次第。

もちろん土ドラの『いつまでも白い羽根』には、エロティックな要素は微塵もない。

爽やかで健全過ぎるほど、現代の学生的ノリの延長線上の登場人物たちが繰り広げる成長物語だ。
しかしそれだけだと青臭くなり過ぎるからだろう、酒井美紀のような看護学校に通う主婦も登場させることによって人間像の幅を広げてバランスを取っているのだろう。

第4話

そりゃあなた、実習停止になるっしょ?!な話。

主人公は学生で、学生目線で描かれているから「善行」をしているかのように映ってしまうのはいたしかたなしではあるが、実習停止になるまで誰もがそのことに気が付かないのが不思議といえば不思議。

「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」の件や、患者さんの遺族の問題に一介の看護師(研修生)が立ち入ってはならないということぐらい、看護学校では教えているとは思うのだけれど。
そして、もし教えていたとすれば、優等生で理解力の早い主人公・新川優愛は「担当教員」に相談するという基本的な手順を踏んでいるはずだから、それではエピソードにはならないという計算もあったのだろう。

それ以前の問題として、研修生が医療現場で実習をする際に「実習承諾書」に目を通して同意をしなければならないのだが、その「実習承諾書」には患者さんの個人情報の取り扱いやプライバシー保護、秘密保持義務に関してはこと細かく記載されているはずだ。

優等生という設定である新川優愛がそれに目を通していないわけがない。
しかし、そのあたりのルールを踏まえた上で実習をソツなくこなしてしまうとエピソードの中でハプニングが起こらず、物語としてはつまらなくなるから、個人情報やプライバシーに関しての学校側からの説明や主人公の理解は無かったことにして物語は進められているんだろうね。

ま、そのあたりのことは新川優愛は先刻承知な上で、それでも最初は心を開いてくれない頑固クソじじぃな笹野高史が最後は心を開いてくれた嬉しさから「何かしなくては」という思いに駆られたという設定なのかもしれないが。

第5話

人の目線に敏感なさとうほなみ(笑)。

第5話に限らず、「私のこと見てたでしょ」「何睨んでたのよ」というように、新川優愛に喰ってかかる描写が多いような気がする。

人の視線の力恐るべし。
女の視線に気付き力恐るべし。

しかし、人間の視線の力って侮れないものがある。
よく心理学の本や雑誌の恋愛特集などに書かれている「合コンで彼を射止める最強テクニック」なんかのベスト3には必ずといっていいほど「意中のオトコを射止めるには、相手がこちらを見ていない時に視線を送り、相手がこちらを見たら視線を外す、これを何度も繰り返す」というテクが紹介されているからね。

しかし、オンナは視線に敏感かもしれないけど、オトコはどうだろ?
女性ほど敏感ではないかもしれない。
だから視線攻撃しても気が付かない鈍感オトコのほうが多いんじゃないかな?
いや、男が鈍感というよりも、私が鈍感なだけなのかもしれないけれど。
昔から「あの時は何でこっちの目線に気付いてくれないのよ?!」と肘鉄を喰らうことが多かったですから……。

第6話

チャリ~ン♪

何の音?

お金の音?

違います。

胸に響いた音。

最後の研修先の小児病棟で、新川優愛の胸に響いた音。

ここだっ!ってことを表現するSEとして「チャリーン♪」と使ったんでしょうけど、別に無理して音で表現する必要はなかったんじゃないかな?とは思うんだけど、もし彼女が将来小児病棟の看護師になるというストーリーなのであれば、将来を決定した大切な分岐点であることをアピールするためにどうしても音が必要だったという送り手側の判断なのかもしれません。

でも、音を使うにしても、お金の音以外他になかったのかな?

第7話

出た~、責任逃れの隠ぺい工作!

ラストシーンと、予告編の「あなた‟は”看護師になりなさい」というセリフからも、伊藤沙莉は看護師の道を断念するという流れになるんでしょうな。

こういうことって、リアル世界の病院では「あるある」な出来事?

それとも、医療フィクションものの世界でのみ「あるある」な出来事?

第8話/最終回

あらら、あっさり終わってしまいましたね。
あらら、あっさり加藤雅也とさとうほなみ、死んじゃいましたね。
あらら、あっさり看護学校も卒業。
あらら、重篤な症状だと思っていた小児病棟の住田萌乃もあっさり退院してしまっていたようです。

すべてが、なんだかゴールに向かって駆け足で収束していった感のある最終回でした。

ストーリー自体は悪くはないけれども、正直、看護師の実習生を演じるメインの3人の中で、ちゃんと「演技」をしていたのは、伊藤沙莉だけだったような。

残りの2人(新川優愛とさとうほなみ)は悪いけど、表情の起伏に乏しく、ドラマが終わった後に記憶を反芻すると、終始ブスッとした不機嫌顔しか思い出せないんだよな~。
ま、本業がモデルやバンドのドラマーだから、仕方ないといえば仕方ないのだけど、彼女たちがブスッとすればするほど、伊藤沙莉の存在感が光るドラマではありました。

記:2018/05/23

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