カラヤンとマイルス
2016/01/30
クラシックに詳しい人の話によると、ヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィルの関係は、もちろん冗談だが、ヒトラーとヒトラー・ユーゲントのそれに近いものがあるのだという。
とにかく、カラヤンは絶対君主。
ミスしようものなら、それこそ射殺も覚悟ぐらいの決意で楽団員たちは演奏に臨む。すべての楽団員が、カラヤンの指揮棒の動き、一挙一動に身じろぎもせず、凝視し、注目する。
カラヤンの頭の中には、演奏の山、谷、そしてクライマックスなど、精密な地図が出来上がっている。そして、絶対的な権力をもって、彼は楽団員たちを導くのだ。
寸分たりとも、コースからの逸脱は許されない。
この話を聞いて、マイルス・デイヴィスを思い出した。
特に、プレスティッジの後期、そしてCBSに移籍以降のマイルスに顕著なのだが、音楽全体を強力に統率しようという意思の力が強まってきている。プレイにおいては、メンバーに最大限自由の幅を与えつつも、結局はマイルスが描く壮大なストーリーの一構成員として機能させてしまう、巨大な支配力と統率力、そして演出とコーディネイトの妙。これが、多くのジャズマンと一線を画するジャズの帝王・マイルスならではの持ち味なのだ。
そういえば、帝王といえば、カラヤンも「帝王」と呼ばれていたな。
強力に音楽を統率しようとする目線の質は違うが、二人とも共通して目が怖い(笑)。
▼カラヤンではコレが好き♪
ワーグナー管弦楽曲集第2集-ニュルンベルクのマイスタージンガー第1幕への前奏曲 さまよえるオランダ人序曲 ローエングリン第3幕への前奏曲 他
▼マイルスではコレが好き♪
In a Silent Way
記:2002/02/09