米倉涼子主演のドラマ『黒革の手帖』の感想
2018/08/15
米倉涼子に似合いすぎ
米倉涼子主演のドラマ『黒革の手帖』。
まさに、彼女が持つキャラクターと物語と一致していた作品だったと思います。
ちょっと持ち上げ過ぎかもしれませんが、まるで彼女を想定して松本清張が書き上げた小説と錯覚すらしそうな感じでした。
もっとも、その前のバージョンの浅野ゆう子や大谷直子のバージョンは未見なので、今後、そちらの方を観たら、感想が変わってくるかもしれませんが……。
津川雅彦
『黒革の手帖』の登場人物で印象的なのは、やはり長谷川庄治でしょうね。
小説やドラマによって、経営者だったりフィクサーだったりと職業が違ってはきますが、まあ「大物」なオジサンということに変わりはありません。
今回のドラマにおいての長谷川氏は、津川雅彦。
ファッションが独特というか個性的ではあります。
オレンジ色のシャツにネクタイ
青色のシャツに青色のネクタイ
黄色いシャツに黄色のネクタイ
ピンクのシャツにピンクのネクタイ
派手だけど似合ってるね~。
ちょい悪オヤジを超えて、もはやワルおやじです。
一筋縄ではいかない権力者、って感じ?
とりあえず、というか、かなり「タダモノではない感」が醸し出ていてグーです。
そのワルおやじの津川雅彦に、米倉涼子が、力(権力・金)を持つ秘訣を尋ねるシーンがあります。
その時の津川雅彦の返答が「人を信じないこと。それを相手に感づかせないこと。」
とにかく「善人」じゃアカンということなのでしょう。
修羅場をくぐった人だからこそ言えるセリフなのかもしれない。
幼稚園や小学校の先生とは逆のことを言ってくれます。
釈由美子
ところで、山田波子役の釈ちゃん(釈由美子)は、大阪弁あまりうまくないですね。
キャラはいい感じで小悪魔してたけれど、原作の小説とはだいぶイメージが違う。
ま、違っても別に良いのだけれども。
ちょっと、若すぎて威勢が良いというよりは、元気が良すぎた?って感じかな。
真木よう子
改めて見返したら、そういえば、真木よう子、仲村トオルの婚約者として出ていたんだね。
今とまったく違うアカ抜けなさだけど、そして、セリフはほとんど無いけれど、まあ話の本筋とはあまり関係ない「政略結婚の相手」という存在として登場できれば、それで良かったのでしょう。
でも、それだけでも存在感はありましたね。
松本清張
ところで『黒川の手帖』の原作者で小説家の松本清張について。
この小説を執筆するにあたって、実際に、銀座のクラブを何軒か取材したそうです。
その際、メモは一切とらなかったとか。
すごい記憶力ですね。
ちなみに松本清張は口述筆記が多かったようです。
個人的には、代表作の『点と線』も、もちろん悪くはないのですが、初期の作品の『或る「小倉日記」伝』が好きですね。
推理小説作家というイメージの強い松本清張ではありますが、芥川龍之介に影響を受けているだけのことはあり、初期の文学作品にはピリリと引き締まった緊張感があって良いです。(ちなみにその作品で「芥川賞」を受賞している)
記:2004/11/23