『魍魎の匣』に《金魚の箱》
2018/01/09
京極夏彦の「京極堂シリーズ」の第2弾、『魍魎の匣』が映画化されたので、試写会に行ってきました。
あの分厚く、様々な要素が絡みに絡み、錯綜に錯綜を重ねるストーリーをよくもまぁ2時間13分にまとめたなぁという感心はありましたが、個人的にはやはり駆け足的に感じました。なんというか、京極堂役の堤真一以外の役者のセリフ回しのスピードとかも含めて、ね。
でも、まぁ、この作品が好きな人には見る価値があるんじゃないでしょうか。
というよりむしろ、未読の人は、この映画を観てから原作を読むと、世界にスッと抵抗感なく入ってゆけるかもしれない。
前作の『姑獲鳥の夏』とほぼ同じキャスティングではありますが、唯一、関口巽役が長瀬正敏から椎名桔平に代わっていた。
しかし、とくに違和感は感じなかったし、ちょっと桔平演じる関口は元気良すぎかな、とも思ったけれども、阿部ちゃんや堤真一とのかけ合いがリズミカルだったので、映画は映画でこのテイストもアリなんだろうなと思いましたですよ、うん。
で、一番驚いたのが、エンディングソングが東京事変なのね。
新作の『娯楽(バラエティ) 』に収録された《金魚の箱》。
娯楽(バラエティ)/東京事変
私、東京事変の新譜は、じつはあんまり好きじゃないんだよね。
というか、東京事変の他の作品も同様だけれども、やっぱり椎名林檎名義での作品のほうが好み。
バンドとしてのまとまり、メンバーの演奏能力の高さ、そういったことはさておいて、なんかグッとくるものが林檎名義の曲よりも圧倒的に少ない。なぜだろう。
それと、今度の新譜のバラエティもそうだけれども、特に『魍魎の匣』のエンディングの《金魚の箱》なんか顕著だけれども、歌詞が聴き取りづらい。歌詞カードみないとなかなか意味わからない。
別に歌詞を聴き取れない曲はダメだといっているわけではないよ。音作りがなんかアザとくてヤなんだよね。
ソリッドで、なんだかプラスチックな感じで、パキャパキャしている。かなりドンシャリ。
もう少し普通の音でミックスされていればまた違う印象になったのかもしれないけれども、このようなミックスの曲ばかりだとちょっと疲れる。年かな(笑)?
亀田誠司のベースは相変わらずカッコいい瞬間がいくつもあるのだけれども、これもミックス処理の結果なのでしょう、彼の奏法と連動したヌルリ!とした音色の要素が減退し、かわりに、高域をブーストしたパキッ!とした要素を強調した音作りになっていて、それもまた個人的にはポイント低いです。
チューブアンプで鳴らしたパンキッシュなベースの音色な感じで、それはそれでキライな音ではないんだけれども、せっかくの素晴らしい亀ちゃんプレイに、こんな陳腐な音色でいいの?なんだか勿体無い、フレーズと音色が微妙に合ってないんじゃない?と感じてしまうのです。
うーん、年かな?
ま、私は鈍感体質なので、2年ぐらい後に、「えー?、スッゲーいいじゃん!なんでダメだと思ってたんだろう!?オレのバカ!」って思ってるかもしれないけど(笑)。
記:2007/10/23