よく聞く、または特別な思い入れのある5曲/ミュージカル・バトン
ミュージカルバトン
私のところにまわってきたミュージカルバトンの回答です。
【Total volume of music files on my computer 】
今パソコンに入っている音楽ファイルの容量
外付けハードディスクに12.9GB。
【The last CD I bought】
最後に買ったCD
『チャーリー・クリスチャン vol.2 1939』
【Song playing right now 】
今聴いている曲
ブッカー・リトルの《Life's A Little Blue》
タイム盤の『ブッカー・リトル』より。
これを書こうとしたら、ちょうと、iTuneがシャッフルでこの曲を選んだ。奇しくも、このタイトルは、私が好きな言葉なんだよ。
【Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me】
よく聞く、または特別な思い入れのある5曲
~序文~
高校生の時分の私は、彼女(や他の女性)のことばかり考えて、勉強に手がつかなくなる日が続き、大切な親友を大喧嘩で傷つけあった末に失い、自分の音楽やプラモデルの表現力のなさに失望し、憧れの女性が、大学生の金持ち坊ちゃん野郎の車の助手席でしなだれかかりながら瞳を潤ませている姿を見て激しい殺意をいだき、予備校の屋上でレイプしかけた女性が交通事故に遭い、カッコつけて歌舞伎町のバーに女の子とはいったら、法外な金額を請求され、金を払えない自分に対して自己嫌悪に陥り、伝言ダイヤルで待ち合わせの場所に行ったら、完全な冷やかしで、頭にきて、街中の電信柱を蹴飛ばして歩き、挙句のはてには、近所のコンビニの前の木をのこぎりで切ろうとして、周囲から猛烈に止められ、押さえつけられ、オンナの部屋での男同士の鉢合わせといった、まるでドラマのようなシチュエーションを体験し、彼女にフラれた直後に一人入った喫茶店では、岡田有希子飛び降り自殺のニュースが流れ、勉強してないから当たり前なんだけど、加速度的に下降線を描く学校の成績と漠然とした未来への不安に怯え、
と、
ま、青春(性春?)の多感な時期には色々なことがあり、そのときも、とてもたくさんの音楽を聴いていましたが、そのときの思い出が音になってよみがえってくる曲を女性モノに限定して5曲選んでみました。
こういう多感な時期に聞いた音は、今はあまり聴かないにしても、ある種、心の中に出来た「染み」です。
この「染み」は、おそらく一生消えないことでしょう。
もちろん、消そうとは思わないし、当時は恥ずかしかった出来事の連続も、今では笑って語れるようになってきている。
さらに、なんだか最近「ジャズな人」になってきている自分自身を再確認する意味でも。
ジャズを聴き始めたのは、あるいはベースを弾きはじめたのは、この時期よりもっともっと後のこと。
本能や衝動をなんとか飼いならせるぐらい、精神的にはもう少し大人になってからの出来事なのです。
「君が思っていたよりも、もう少し遠くの地点にいるよ」>過去の俺へ
《水の春》斉藤由貴
アルバム『Chime』のB面の2曲目。当時流行った《青空のかけら》の次の曲。もちろん《青空のかけら》も好きだったが、《水の春》のアレンジに当時はゾッコンだった。突っ込み気味の打ち込みドラムにのって、勢いよく展開される音世界に胸をワクワクさせていた。
《ハンカチとサングラス》原田知世
正直、それほど好きな歌手でも女優でもないが、坂本龍一、大貫妙子、松任谷由美などと、彼女が関わったミュージシャンは一流だった。3枚目のアルバム『Pavane』。
当時ヒットした《早春物語》が目玉のアルバムだが、私は断然、B面のラストから2番目の《ハンカチとサングラス》が好きだった。アルバムの流れにおいては、ラストの《続けて》の前に配された、良い意味での雰囲気チェンジの曲。地味だが、味わい深い。イントロの印象的なフレットレスベース、アンニュイな心理&情景描写の歌詞が良い。
《Back Door Night》中森明菜
中森明菜自身がプロデュースしたアルバム『不思議』。
私は中森明菜のファンではなかったし、まったく関心のない歌手の一人だったが、『不思議』と次作の『Crimson』、この2枚に限っていえば、特別な思い入れのあるアルバムだ。
おそらくこの2枚は、彼女自身がプロデューサーになっているところがポイントなのだろう。
己の歌唱に対しての眼差しが違う。
「ソング」としてではなく、完全に自分の歌唱を「サウンド」と捉えた上で、大胆に鉈を振り下ろしている。
『不思議』はトータルにつながっているアルバムだと思うので、1曲単位で切り取るのは難しい。どれも素晴らしい曲とミキシングだからだ。
しかし、敢えて1曲を挙げるとしたら、やはり、「不思議ワールド」の入り口のこの曲を選ぶ。
《僕の魔法》飯島真理
トータルなアルバムの完成度は、坂本龍一プロデュースの『Rose』、吉田美奈子プロデュースの『blanche』には一歩譲るが、飯島真理の3rdアルバム『midori』の世界観は、そっくりそのまま、当時の高校の音楽室だ。
私は毎朝、授業の始まる40分前に学校に到着し、音楽室のグランドピアノをとりとめもなく弾いていたのだ。
『midori』のラストのインスト、《もののかたち-maron-》もよく弾いたが、このアルバムの導入部の《僕の魔法》を聴くたびに、当時の青臭過ぎる女々しい自分を思い出し、恥ずかしくなる。
この曲の展開は、じつは、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を模していることを知ったのはずいぶん後のこと。知らなくて良かったと思う。
当時の私は、ビートルズが、いや、ビートルズ好きを標榜している人間は、燃やしてしまいたいほど大嫌いだったのだ。
《恋のコリーダ》戸川純
たくさんの音楽を聴いてきたつもりだが、いまだに、戸川純以上の歌うたいを私は知らない。
こればっかりは、美空ひばりやビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルドが束になっても敵わないのだ。
エキセントリックな歌唱の中から見え隠れするのは、噎せ返るほどの甘くて饐えた香りのする女の情念と、爽やかですらある不思議な諦観。
「レインボー戦隊ロビン」のテーマをこんなふうに替え歌しちゃうのは彼女だけだろう。 あと、ゲルニカでの彼女の歌はすべて好きです。
……以上で、おしまい!
最後まで読んでくれた方がいらっしゃれば、長々とつき合わせちゃってゴメンね。お疲れさまでした。
で、えーと、これ、5人に回すんだよね?
んじゃ、奄美大島のファンクでクールでジェットなバンド「irico」さんのメンバー5人にバトンを渡したいと思います!
記:2005/06/25
加筆修整:2008/05/27