なめこおろし蕎麦
2018/01/14
なめこおろし蕎麦は、なるべく、外では食べない。
自宅で喰う。
椀によそう蕎麦の量の加減は、必ず自分の好みでないといけないからだ。
大根オロシ、ナメコ、麺つゆ、カツオ節、ネギやワサビや白ゴマなど。
これだけ用意できれば、十分に楽しめる。
あとは、自分で蕎麦を茹でるだけ。
お手軽だし、なにより、うまい。
自分好みの、トッピングを施し、かつ味わう愉しみがある。蕎麦屋で、デーン!!と盛られたトッピング、必ずしも自分好みのトッピングとは限らないではないか。
だから、出来るだけ、自宅で、自分でトッピングをしながら食べたほうが、おいしさも楽しみも倍加するのだ。
蕎麦は、少し多めに茹でる。そして、少量ずつ椀に盛り付けて食べるのがコツ。
一気に大量に盛り付けてはいけない。
ドンブリの中に「ドン!」と盛り付けてしまうと、「さぁ、目の前に鎮座おわします、この立体物の内に集積された食物群をこれから綺麗に片付け、消化しなくてはいけないのだぞ」という強迫観念がうっすらと沸いてきてしまい、喰うこと、箸を往復させること、蕎麦をかき込むことが、心と動作のメインになってしまうのだ。
それは、いかん。
なめこおろし蕎麦は、ゆっくりと時間をかけながら、少しずつ楽しみたい。
傍らに冷や酒があれば、最高。しかし、ビールも悪くない。
しかし、発泡酒は不可。
個人的には発泡酒という名前の液体が大嫌いなこともあるのだが、あの独特な「草臭さ」は、蕎麦の香りを殺すことはあっても活かすことはありえない。蕎麦と発泡酒は決定的に相性が悪いと思う。鼻が敏感じゃない人にとっては、その限りではないかもしれないが……。
ちびり、ちびりとアルコールをやりながら、会話に花を咲かせる。
時々、蕎麦をずるっとやる。
最初の一杯を空けた人には、自由に台所で盛り付けをさせる。
好みの量の蕎麦を椀に盛らせ、ネギ、カツオ節、ナメコ、大根オロシも好みの量を盛り付けさせる。
そして、つゆを椀を一周するようにさらっとかけて、再び食卓に戻る。
また、会話と酒を楽しみつつ、たまに蕎麦をパクッとやる。ズルッといく。
なんて充実した、豊かな時間なのだろう!
ちょっと贅沢をして、十割蕎麦を茹でてみるのもオツだ。
十割蕎麦の蕎麦湯はすごい。粘土を溶かしたようなドロドロ状な液体になる。
なので、蕎麦湯の愉しみも大きくふくらむ。
そして、少量しか食べていなかったつもりのなめこおろし蕎麦も、蕎麦湯を飲むころは、丁度良い案配で、腹が膨れてくることだろう。
記:2002/03/12