外国人労働者が働きたがる飲食店のヒミツ
2018/08/18
安くても働きたい飲食店
アルバイトに支払える交通費の上限が1000円までしか出せなくても、それでも働きたいという外国人が殺到している飲食店がある。
なぜ、失礼ながらもそれほど時給も労働条件も良いとはいえない店にそれほどまでに「働きたい」という外国人が殺到するのか?
給料は現金払い
ある関係者が話していたが、そのヒミツは「現金払い」にあるのだという。
この店舗は都内にもあるにもかかわらず、外国人の従業員は、千葉や埼玉から片道1時間半から2時間の時間をかけてアルバイトをしにやってくる外国人も少なくないのだという。
当然、距離があるので交通費がかかる。往復の交通費は千円をオーバーしてしまう外国人労働者もザラだ。
では彼らは不足分の交通費をどうしているのかというと、残額は「持ち出し」なのだという。
例えば、片道600円、往復1200円かかるとすると、支給される交通費千円から足が出る200円は「自腹」ということに。
それでも、アルバイトをしたいという外国人が多いのはなぜか?
理由は「現金払い」だから。
現金払いといっても、キャバクラのように、働いたその日に稼いだ額の半額をキャストに日払いし、残りを給料日というような支給の仕方ではなく(これでいきなりドロンされるリスクが減る)、給料日に銀行振込ではなく、現金手渡しにするのだそうだ。
不法就労がバレにくい
そうすると、銀行に給料の振込みが記帳されないので、所得から労働時間がバレることはない。
なぜかというとビザの「在留資格」によると、週28時間以内と定められているからだ。規定の時間以上に働いていることがバレると、「資格外活動・不法就労」とみなされてしまう。
しかし、それ以上の時間を働いて稼ぎたいという外国人労働者も少なくない。
だから外国人同士のネットワークで、「あそこの店は現金払いだぜ」という情報があっというまに広がり、多少交通費や通勤時間がかかってもいいから働かせてほしいという外国人が殺到するのだという。
それに、このような外国人労働者は、アルバイトを掛け持ちしていることが多い。一つは、マクドナルドのようにしっかりと銀行に振り込まれる職場で働く。シフトは午前中や午後に入れる。
そして、残りの夜の時間帯は、現金払いをしてくれる居酒屋などの夜の営業がメインの飲食店で働くと言うわけだ。
店で働く外国人がの人数が増えると、文化や習慣の違いで厨房内でのトラブルも絶えないようだが、日本人の大学生のように「すぐには辞めない」「ゼミやサークルを理由に急に休まない」というメリットもあるため、安い人件費と交通費で店舗が回るので、経営者としてはオイシイのだという。
外国人労働者の事情を知った上で、悪く言えば足元を見ているともいえるが、というよりも「不法就労者」を増長させかねない支払い形態ではあるが、利益少く、原価や人件費を1円でも多く削ることに腐心しながら「安さ」を売りにしている飲食店ならではの苦肉の索なのだろう。
記:2016/11/02