タミヤ M26パーシング 1/35制作記

      2022/03/25

典型的なフツーの戦車なシルエット

何の変哲もない「いわゆる戦車」なカタチをした戦車といえば、私の中では、戦後まもない頃のアメリカ戦車なんですね。

ウォーカーブルドッグしかり、パーシングしかり。

そもそもは、第二次大戦中のドイツの重戦車に対抗するために開発されたのがパーシングですが、投入されたのは、大戦末期。その後、朝鮮戦争に投入されたパーシングは、まさに私が思い描く「いわゆる戦車なカタチをした戦後っぽい雰囲気を漂わせた戦車」なのです。

キャタピラの車両の上に、砲塔と砲身がついていて、もうこれは誰もが戦車と認めざるをえない典型的な戦車としか言いようがないでしょ?!な戦車。

ゴジラなどの特撮ものに「やられ役」としてふさわしいカタチともいえましょう。

私にとってのM26パーシングという戦車は、そのような「あまり魅力のないフツーの戦車」以上でも以下でもない存在だったんですね。

でも、まあソビエト戦車やロシア戦車ばかり作っていてもそろそろツマラナイよねぇ、という気持ちもあり。
もちろん、たまにはアメリカ軍の車両も作るのですが、現用車輛かシャーマンばかりなので、もう少し、それ以外のアメリカ車輛も作ろうということで、M26パーシングを作ってみました。

それに、パーシングはわりと最近のタミヤのプラモなので、昔よりもさらにディティールに凝っている上に作りやすそうなのではないかという先入観も働いたことも作ろうと思った大きな理由の一つです。

タミヤのキット

というわけで、箱。

まさに、「戦後のアメリカ戦車」のイメージそのものなイラストです。

箱の中です。

最近のキットらしく、履帯(キャタピラ)は焼き止めではなく、接着式となっていますね。

パーツ類を並べたところ。

なにやら、小さなネジがたくさん入っていますぞ。

というわけで、ぐいぐいと組み立てていきました。

塗装

数日かけて組み立てが完了したところです。

砲身の箇所だけ、パーティングラインを消して、合わせ目をチェックする関係上、サーフェイサーを吹いています。

つや消しブラックとマホガニーのスプレーで下地を作ったところ。

今回は戦車兵のフィギュアも黒塗りです。
いつもは、サーフェイサーを吹いてから基本色を重ねているのですが、今回は実験的に「黒立ち上げ」。

そして、完成。

下地を乾かしたら、ラッカー系塗料(クレオス)の暗緑色を吹き付け、それが半乾きの状態の上に、タミヤのラッカー系塗料のオリーブドラブを薄く吹き重ねました。

左側の前から3つ目の転輪が少し浮かんで見えるのは、作っている最中に転輪を通す支柱のようなパーツをバキッと折ってしまったため、瞬間接着剤で止めたら、こんな感じになっちゃいました。

もっと丁寧に作らないとね。

デカールは組み立て説明書の指示を無視して、目についたカッコ良さげなものをペタペタ貼っています。

木箱などの備品類は、タミヤのスミ入れ塗料のブラウン系を何色か塗り重ねています。

転輪のゴムも同様に、エナメル系で伸びの良い墨入れ塗料のブラックやブラウン系の色を何度か塗り重ねて労力と時間をショートカットしています。

車輛後部のワイヤーも、墨入れ塗料の重ね塗りですね。

ハッチの裏も、スミ入れ塗料のライトグレイで塗っています。

汚しは、油彩です。
チューブ入りの油絵具では、バーントシェンナとピーチブラックを使用し、足回りの汚しは、クレオス・ウェザリング塗料のサンディウオッシュやグレイッシュブラウンを薄めて塗り付けました。

車輛の上に行くほど、明るめの色を多めに塗り付け、拭き取っています。

そして、仕上げはモールドが浮き上がって見えるように、アイヴォリーホワイトでドライブラシ。

フィギュアは、タミヤアクリルの「水溶きアクリル」塗装です。
2回だけ重ねりをして、あとは、窪みに黒の油彩を流し込み、デッパリには白の油彩でドライブラシをかけました。

完成して、様々な角度で眺めているうちに気が付いたのですが、パーシングの形状って「大人になったシャーマン」ですな。

コロコロとして丸っこいシャーマンが大きくなってボリューミーなボディになると、きっとこうなるだろうという形をしています。

そして、車体前方の装甲の盛り上がりやヘコみなどの立体感がけっこう複雑な形状をしていて面白い。

作って気が付いたことですが、「いわゆるフツーのなんの変哲のないカタチの戦車」とは言えなくなってきましたな。

そして、この丸っこい重装甲な感じがその後、M48パットンに流れていくのがよく分かるシルエットだということも、作りながら納得しました。

これが「未来目線」だとすると、「過去目線」で見ると、なんとなく、ソビエト戦車のスターリン(JS-3ではなくJS-2のほうのスターリン)や、T-34/85に似ていないこともない。

なんだか、国籍や時代を超えて、繋がっている要素もあるんじゃないかと考えていました。パーシングを作りながら。

記:2022/03/17

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