『全裸監督』を彩る凄みのある3人

      2020/03/11

Netflix (ネットフリックス)独自配信の『全裸監督』。

伝説のAV監督・村西とおるを演じる主役の山田孝之も、ある種いかがわしい濃さを醸し出していて良いのだが、個人的には、刑事役のリリー・フランキー、ヤクザの親分・國村隼人、アダルトビデオショップ店長のピエール・瀧の3人に凄みと魅力を感じる。

やさぐれた風情を漂わすリリー・フランキーは、『野火』や『マジすか5』を彷彿させる得体のしれない不気味さを醸し出している。

國村隼人は、決して声を荒げず終始穏やかな口調で話す親分だが、かえってその中に凄みが宿っていて魅力的。

世の裏と、醜く滑稽なヒトの欲望の隅から隅までを知り尽くしたかのようなピエール瀧が時折みせる鋭い表情が、タテマエと権力への憎悪が感じられ、厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部に麻薬取締法違反容疑で逮捕された経験もムダにはなっていなかったのではないかと感じる。

ストーリーは、英会話教材のセールスマンから始まり、黒木香がスターダムにのし上がるまで、山あり谷ありながらもわりと一直線に進んでいく中、彼ら3人の中年オヤジたちが絶妙にコクと陰影を与えており、べつに村西監督に興味がない人でも、面白く観れるのではないかと思う。

記:2020/03/10

 - ドラマ