味わい深い旧キット~プロトタイプドム
2019/07/18
旧キットの「ドム作り」の楽しみ
MG(マスターグレード)や、HGUC(ハイグレード・ユニバーサルセンチュリー)のドムは、胴体と顔は別パーツになっています。
ところが、昔の旧キットは、1/144スケール、1/100スケールともに、胴体と顔は一体化しているんですね。
なので、顔と身体が一体化している前面のパーツと、背面のパーツを前後張り合わせをする作りになっています。
張り合わせる際は、腕のユニット(肩のパーツ)を挟み込むという感じで、かなり大雑把といえば、大雑把に感じます。
最近のガンプラに作りなれている身としては。
ただ、旧キットが発売当時、リアルタイムで作っていた頃は、それが当たり前のガンプラ作りの流れだったんですね。
特に、ゾックなんかは、前後のボディのパーツに腕部と脚部を挟みこんで接着する際はドキドキしたものです。
で、接着したら、部品が大きいもんですから、きちんと張り合わさるように、接着剤が乾くまでは、輪ゴムで固定したり、セロハンテープでしたものです。
今となっては、かなり雑な作りで、手足を分割して、各部位をそれぞれ塗装するなんてことはできませんでした。
でも、そのかわり、パーツの数も少ないので、ペーパーがけや、隙間のパテ埋めなんかを考えなければ、わりとサクッとすぐに作れてしまった記憶があります。
そのかわり、丁寧に作ろうとすると、やっぱり、各部位をきちんと接着しては乾かし、乾いてからペーパーがけをしてパーティングラインを消して、きちんと合わせ目を消してから、それを新たなパーツで挟み込むという段取りの繰り返しなので、けっこう時間がかりましたね。
そうこうしているうちに、だんだん飽きてくるし、新しいキットが発売されたら、そちらのほうに目移りして、結局、未完成のままのガンプラの手足が部屋中に転がっているという事態にも……。
バラバラ殺人の現場かよってな感じでありました、当時の私の部屋は。
とはいえ、HGやMGに慣れた身体に、たまに目にする旧キットは懐かしい。
特に、1/100のドムは、通常のドム(たしか\800だった)のほか、トロピカルドムとかプロトタイプドムなどのバリエーションが出ていましたが、¥1000前後の廉価で買えたのが嬉しかったですね。
しかも、同じ1/100スケールのMGのドムのドデカい箱の大きさに見慣れてしまった私からしてみれば、旧キットの1/100スケールのドムの箱は、なんともコンパクトに小さくまとまっていることよ。
特に、プロトタイプドムの箱なんて、あきらかにランナーを重ねると、箱の天地を数ミリ程度ですがハミ出してしまうにもかかわらず、強引に、エイッ!と蓋をしちゃうところが好きでした。
もちろんMGのように部品点数が少ないからなんですがね。
このプロトタイプドムのランナーを見てみると、部品点数が多そうに見えますが、一つひとつのパーツは大きいので、それほどでもないのです。
それに比べると、MGのドムは、部品点数多いですからね。
だから、必然的に箱がデカくなっちゃうわけです。
指一本一本までが別パーツになっていて、手の表情を自在につけることが出来るくらいですから。
もっともすぐに指先ポロリですが。
手といえば、旧キットのドムのゲンコツなんかは、かなり大雑把ではあるのですが、このまるでジャイアンのゲンコツのような大きく丸っこく荒っぽいカタチが、なんともレトロな感じでそそられるんですね。
「むかしのロボット!」って感じで。
それでも、これが発売された当時は、鉄人28号やマジンガーZなどに比べると、かなりリアルな別世界のメカに感じたものです。
なにしろ、ガンダムの世界の「世界観」が、架空の世界でありながらも、なんだかリアルで実感こもって感じることが出来たんですね。
それは、キットの取り扱い説明書(組み立て設計図)の解説には、ジオンのMSの系譜や、開発の経緯などが図説されていたりしたことも大きいでしょう。
アニメの本編には登場こそしなかったけれども、ホワイトベースが戦っている以外の場所では、こういうメカたちが開発されたり、戦場を駆け抜けていたのだという、アニメで得た「世界観」を心地よく拡張してくれたものです。
それに、プロトタイプドムのキットには、デカールのほかに紙のシールまでもがはいっているというサービスっぷりが嬉しかったですね。
右上の白いシールが、所属部隊のエンブレムのシールです。なんだか、そのサービス感覚が、ちょっと嬉しかったですね。
デカールも、お腹のところに張る鳥が羽を広げているようなマークも、なんだかよくわからないけれども、異様な迫力のようなものを感じたものです。
これを最後の仕上げに貼りたいがために、我慢して合わせ目にヤスリがけをしたり、スカートの裏側を黒鉄色などのメタリック系の色で丁寧に塗るわけですよ。
あと、ドムの場合は、肩の装甲や、脚部のホバーユニットの内側は赤系で塗装されているので、そのような「ちらりと見える箇所」の塗装も、ぬかりなくするわけですよ。
そして、本体を塗装して、いよいよ「羽を広げた鳥シール」を貼るときの嬉しさといったら。
この過程にいたるまで、いったい自分はどれくらいの手数を、このプロトタイプドムに要したんだ?と思うと、ちょっと感無量。
で、貼った後は、しばらくは机の上に飾ったドムの腹のところのシール、しげしげと眺めて、ニヤニヤしているという。
こういう楽しみが旧キットにはありましたね。
記:2014/03/06