大日本キュベレイ! 零戦好きなので、キュベレイを日本機風に塗装してみました。
2019/09/17
永野護デザインのMS
『機動戦士ゼータガンダム』をリアルタイムで観ていた世代からしてみれば、ハンブラビやキュベレイなど永野護氏がデザインしたモビルスーツ(以下MS)が登場したときは、かなりの衝撃を受けました。
ロボット、メカと言うよりはまるで魚類のようなフォルム。
この大胆な曲線のラインがなかなか新鮮で、高校時代のクラスメイトの中には、「あんなんモビルスーツじゃないぜ!」と言い放っている輩もいましたね。
私の場合は、『ゼータガンダム』の前番組のロボットアニメ『重戦機エルガイム』も鑑ていましたので、永野氏がデザインしたエルガイムをはじめとするヘヴィメタルのデザインに慣れていたというか、永野護独特の世界観を理解していたつもりなので、ハンブラビやキュベレイのデザインは、最初は抵抗感があったものの(メカとしてはファーストガンダム時代のMSとは異質な系譜を感じたため)、画面でこれらのメカが活躍するのを見るに付け、すぐに馴染んでしまいました。
といより、『Ζ(ゼータ)』の世界は、変形する主役メカのΖガンダムやアッシマーを始め、小林誠氏デザインのバウンドドッグやガザC、そして、今見てもかっこいいんだかカッコ悪いんだか微妙なルックスをしたボリノーク・サマーンなど、どこか異質なテイストを感じるMSも、この番組そのものが新しいモビルスーツの実験場なのだと思ってみれば、それはそれで楽しめたものです。
個人的にはパプティマス・シロッコが開発したメッサーラやパラスアテネ、ジオなどの兵器が好きでしたね(ボリノーク・サマーンは除く)。
HGUCのキュベレイ
プラモの方は?といえば、まだこの時期のバンダイにはHGUCなるシリーズがなく、ガンプラの主流スケールである1/144や1/100スケールのゼータに登場するMSガンプラが少しずつ発売され、私もリック・ディアスやマラサイ、パラスアテネなどを買っては作っていたものです(メッサーラは1/220だったけど)。
その中で、なかなか発売されなかったキットにキュベレイとジオがありました。
他のMSと比較すると大きめなサイズだったこともあるのかもしれませんが、私はとにかく魅力的なルックスのこれらのMSを自分自身の手で作り飾ってみたかった。
早く発売されないかなぁと思っていた折に、『モデル・グラフィックス』誌上で、フルスクラッチのジオやキュベレイの作例が掲載されたので、それらは食い入るように眺めたものです。
特にキュベレイは、あの独特な肩の羽のようなバインダーの局面が美しく立体化されており、また、両生類の指のようなマニュピュレーターがインパクトある造形で再現されていたので、スゲェなぁと思ったものです。
それからだいぶ後になって、バンダイからHGUCのシリーズとして1/144スケールのキュベレイが発売されたのですが、うーむ、いまいちでしたね。
HGUC No.004 1/144 AMX-004 キュべレイ
なにしろ、指の形が全くキュベレイではない。
しかも小さい。
ビームサーベルを握るゲンコの形状は明らかにキュベレイではなく、一般のモビルスーツのようなカタチで、宇宙生物か悪魔のような指の形をしていないことと、そのゲンコが握るビームサーベルも妙に短いこと、そして白いボディに生えるピンクの模様がシールであったことも個人的には今ひとつな評価でした。
キュベレイ・リヴァイヴ
それからさらに10年ぐらい年月が経過します。
リヴァイヴシリーズとしてリニューアルされたキュベレイが発売されました。
顔が極端に小さいとか、足が長すぎて、こんなのMSではないと一部のオールドファンからは不評なリヴァイヴシリーズ。
たしかに多くのモデラーから酷評されている陸戦型ジムの足は長い気はします。
HGUC 機動戦士ガンダム 第08MS小隊 陸戦型ジム 1/144(Revive)
しかし、ことキュベレイに関しては、HGUCに比べれば、格段の進化を見せていると思います。
パーツはシンプルで作りやすいし、帯のような模様もパーツ別として色分けされている親切設計なのであります。
そして、どうせ作るのであれば零戦風というか、日本の海軍機風の塗装で作ってみようと思い立ち、購入し、製作してみました。
零戦風キュベレイ
肩のバインダー(羽)のところの2つの大きな円を日の丸に見立て、オリジナルではピンクのラインとなる箇所を日本機の識別帯の色(黄橙色)で塗り、本体を濃緑色で塗れば、もはや旧帝国海軍機ではありませぬか。
胸の板のパーツや、ふくらはぎのパーツを日本機プロペラ色の赤褐色で塗装すれば、日本機のテイストがムンムン。
というか、そう見えるのは私だけ?
さらに零戦の下部の明灰白色は、写真だと見えませんが、ファンネルを収納する背中から生えている甲羅のようなパーツの裏に塗り、カウルの黒となるカウリング色は、手と足先に塗れば、零戦を塗装する際の基本カラーをすべてバランスよくキュベレイに塗ることが出来る!
つまり以下の6色で塗れば、キュベレイの雰囲気は、一気に宇宙世紀から太平洋戦争の1940年代前半にタイムスリップできるわけです。
とりあえず、個人的妄想を把握するために、ザッと試し塗りをした状態が以下の画像です。
塗装
日本海軍機の緑色は、現在クレオスからは2種類の塗料が発売されており、濃い目の中島系の色と明るめの三菱系の色があるのですが、今回のキュベレイは中島系の色で塗りました。
以前、零戦を作ろうと思って購入したまま死蔵されていた濃緑色がようやく活きたって感じです。
マホガニー色のサーフェイサーを吹いた後、緑、赤、黄とメインとなる色を塗りました。
濃緑色と赤は筆塗りですが、黄色の箇所は筆塗りで鮮やかなイエローを出すのは、今の私では技術不足のために無理だと判断し、缶スプレーを吹いています。
濃緑色は、一度塗装した後に、マホガニーやパープル、それにレッドブラウンなどの色を微量に混ぜた色をうすめ液で薄め、何度か平筆で塗り重ねています。
赤に関しては、乾いた後に、鮮やかさを出すために、薄めたモンザレッドやオレンジなどを重ね塗りしています。
私の場合、納得いくまで、何度も何度も様々な薄めた色を筆で塗り重ねていく性分なのですが、キュベレイに関しては、あまり関係のない色を塗り重ねることで、当初イメージしていた「大日本感」から遠ざかることを恐れ、重ね塗りの回数は3~4回に抑えています。
筆塗りが楽しいキット
一通り色を塗り終えたら、水性の焼鉄色をスポンジでエッジを中心に叩きつけ、乾いた後に、赤茶色のパステルをスリスリと擦り付けました。
そして完成したのがコチラ。
塗料が剥げた感じを出す焼鉄色が濃緑色に映えますな。
この丸みに濃い緑は、サンダーバード2号のコンテナを彷彿とさせてくれるので、個人的にはかなりツボです。
肩の羽根(バインダー)を閉じても、なかなかカッコがよろしい。
リヴァイヴシリーズのキュベレイは、なかなかお手軽に作れる上に、見栄えの良いキットだと思いますよ。
羽根の面積が広いので、様々な色での塗装が楽しめると思います。
旧日本軍の戦車風の迷彩なんかも渋くていいかもしれませんね。
パーツ数少なく、すぐに組めてしまうので、あとは塗装に心を砕けば良し。
筆塗り心をくすぐるプラモです。
とにかく、肩のバインダーなど広いパーツの上に平筆を走らせると、とても脳が気持ち良いのです。
もちろんエアブラシ派の人にも、プシューと吹いて、パーツが意図した色にみるみる変化していく楽しみもあるでしょう。
キュベレイは女性のハマーンが駆る機体ということもあってか、パール塗装のように綺麗な仕上げを目指すモデラーさんも多いようですが、今回の大日本キュベレイのように、ミリタリー感ムンムンな色で塗装しても、これまた格別なムードを醸し出す好キットだと思います。
記:2017/04/06