水曜ドラマ『正義のセ』観ながらメモ

      2021/02/23

第1話

え?!吉高が検事?!

キムタクの『ヒーロー』以上にエキセントリックじゃん!?

なんて思いながら軽い気持ちで観たんだけど、予想と先入観はあっさり裏切られ、なかなか面白いじゃんコレ!?って状態に陥ってしまいましたですよ。

面白いというのは、リアリティがあって興味深く面白いという意味ではなく、むしろその逆で、現実にはありえないんだろうけど、まあドラマとしては軽い気持ちで見れて、ヘンに後に残らない面白さという意味での面白さ。

検事が足を使って真相を追究しまくる検事らしからぬスタイルは、キムタクが検事を演じた『HERO』と同じで、どちらもリアリティのかけらもないといえば、「はいそれまでよ」なんだけど、そこのところは大らかになって見れば、べつだんムキになって「そんな荒唐無稽な話、ありえん!」などと頭ごなしに否定する必要もなかんべよと思うんだけどね。

だって、キムタクや吉高が検事という設定自体が、そもそもリアリティないんだからさ。

キムタクが「英雄(ヒーロー)」なら、吉高由里子は「正義の味方」。
それでいいじゃん?!って思いましたね。

一部では「検事らしくない」と叩かれている主役の吉高由里子の演技に関してですが、べつにそんな目くじら立てんでも……。
ドラマなんだから。

少なくともガリレオの時の吉高さんより、今回のほうが私は好感持てるけどね、個人的には(特に、映画版の『真夏の方程式』のアイシャドー濃すぎなメイクの吉高には「らしくないな~」とドン引きしましたよ)。

それに、少し前の『東京タラレバ娘』の頃から顕著に現れてはじめてきているような気がするのですが、吉高さん、困った時や窮した時ほど、困った感じの笑顔になるじゃないですか。
あの表情、わりと好きなんですよね。

かわぐちかいじの漫画の登場人物も、「ムッ」とした時や、気張った表情をするときほど、ニヤッとした口元のように口角が上に上がりますが、それと同じような感じですね。

ところで、ラストソングの福山雅治の歌声とメロディは頭の中には入ってこず、なぜか、PSY'Sの《サイレント・ソング》が勝手に脳内置換されて流れていた。

このドラマのテイストには、ほんの3gほどヘヴィかもしれないけど、なんて思いながら、物語の内容を反芻する私の頭の中は、なぜかチャカのクリアでパワフルな歌声を味わえるPSY'Sの《サイレント・ソング》が流れまくってましたよ。

いい曲です。
なんだか懐かしいですな。

ドラマと歌詞の内容は、まったく無関係だけれども、まあ「そんな荒唐無稽な選曲、ありえん!」などと頭ごなしに否定する必要もなかんべよ、俺の脳の中身の話なんだから、と思ってました。

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そういえば、今回、石黒賢にパワハラ&暴行を受け被害者を出して大手ゼネコン社員の浅利陽介の妻の役に森カンナが出ていたけれども、ラストのクレジットには「森矢カンナ」と表記されていましたね。
いつの間にか芸名を変えていたんだね。

第2話

夫からDVを絶えず受け続けていたため、夫を殺害してしまった犯人役を演じたのは財前直見。

やつれて疲れた主婦の雰囲気を醸し出す役作りと演技は大したもの。

しかし、どうにも彼女のほうれい線が終始気になり続けた回でもありました。

第3話

今回は結婚詐欺師ネタ。

結婚詐欺話って個人的には好きなんですよ。
なぜかというと、結婚詐欺師を演じる俳優がどういう演技をするかが興味あるから。

個人的には、ずいぶん昔に放送された『赤詐欺』の佐野史郎が演じる結婚詐欺師がリアリティあって印象に残ってます。

もっとも、リアリティといっても、身近にそういう詐欺師な人っていないので、想像上の中のリアルだけれども、あくまで。

あと、WOWドラマの『結婚詐欺師』で刑事の内村光良から嫉妬されまくっていた加藤雅也の赤詐欺っぷりも良かったけど、いかんせんイケメン過ぎたかな。

ディーン・フジオカが女性編集者と共謀して複数の女性に結婚詐欺を働く映画『結婚』も同じ理由で、ちょっとイケメン過ぎっしょ?な感じ。

なんとなく、結婚詐欺師ってイケメンよりも一見「フツーっぽそうな人」のほうが多いという話を聞いたことがあるのですが、その点でいえば、今回の『正義のセ』に登場した三浦貴大は、「っぽい感じ」を醸し出していたと思う。
ま、彼もイケメンではありますが、どことなく漂う「フツーっぽさ」を役作りしたのでしょうね。

『赤詐欺』の佐野史郎もそうだったけれども、完璧過ぎず、どこか隙や情けないところがあったほうが良いんでしょうね。
「まさかあの人がそんなことするわけない」と長く思わせ続けることが出来ますから。

面白いのが、『赤詐欺』のラストシーン。

結局、佐野史郎は逮捕されるんだけど、刑務所(留置所だったっけ?)に、被害にあった女性が一人ひとり訪ねてくるんだけど、彼は各女性に同じセリフを言うんですよ。

「いろいろな女性を騙してきたけれども、“君だけ”は真剣だったんだ、信じてくれよ~」

この言葉に、どの女性もまんざらじゃない表情をして刑務所(留置所だったっけ?)を後にするんですよ。

このスペシャル感漂い、自分だけは特別なんだと思わせることが出来る「君だけ」の「だけ」という言葉は強力なんだな~と思ったものです。

第4話

豆腐屋の朝は早い。

しかし、豆腐屋の娘は意外と朝寝坊である。

仕方ない、寝る時間が違うからね。

早起きして豆腐を作る家族(生瀬勝久、宮崎美子、広瀬アリス)は夜9時には消灯。
そして、朝3時には起床するわけだから。

家族が寝た後も夕食の続きを食べ続けることが多く、ついでにお酒も飲み続け、おそらく吉高由里子の場合は12時頃に消灯しているんだろうね。

このドラマに限らずだけど、吉高由里子は本当においしそうにお酒を飲むね。
東京タラレバ娘の時も、大島優子の実家の居酒屋のシーンが多かっただけに酎ハイなどを飲むシーンが多く、それがまたいちいち美味そうに飲んでるんだな、こりゃこりゃ。

こういう子と飲みに行くと楽しいだろうね。
実際、リアルの吉高由里子は下ネタ大好きのキス魔らしいけど。

でも、少食(偏食)・無口・下戸な女性は、どんなに美人だったりスタイルが良かったり可愛かったりしても、食事や飲みに行くのは個人的にはパス。
元気で明るく、モリモリ食って、ガブガブ飲む健康的な子がいいよなぁ、飲みに行くならやっぱり(でもデブはパス)。

第5話

三浦翔平ってもしかして今回の設定はDT?!

第6話

以前のエピソードにもチラリと出てきたけど、吉高由里子と同期の女性弁護士2人って検事というよりは普通のOLみたいですね。

チャラチャラしているというわけではないけれど、吉高由里子と3人でおいしそうにお酒を飲んでいる姿は、検事のイメージとはほど遠い、普通の合コンが楽しみなOLのように見えてしまいますな。

あ、ドラマだから、そういうの全然OK。
リアルではありえないなんて野暮なツッコミは致しませんです、どんどん綺麗な女性をお堅い職業に出してください。

さらに今回は倉科カナが弁護士役として登場ですからね。

イケメン検事の三浦翔平に、美人弁護士の倉科カナと、なんて素敵な法曹界なのでありましょう。
いや、皮肉とかじゃありませんよ。
言葉どおり、そのままの意味です。

今回は親友でありながら、検事と弁護士と立場の異なる者同士が一つの事件を担当する話なんですが、吉高由里子と倉科カナの学生時代の回想シーンが何回か出てきます。

印象的だったのが、吉高の家のテーブルで(こたつだったっけ?)、吉高&倉科が一生懸命法律の勉強をしているシーン。

二人とも若作りをしているんですが、特に前髪を上げた吉高由里子が、まるで座敷童みたいで可愛かったですね。

いや、座敷「わらし」というよりは、座敷「ぼっこ」といったほうがシックリくるかも。
こういう座敷ぼっこが家に住み着いたら、さぞかし賑やかで楽しい家庭になるでしょうな。

それはそうと、眉を八の字にして、しかめっ面をする表情が絶妙な安田顕との相性というか歯車もだんだんとかみ合ってきていますね、吉高検事は。

第7話

保育園話ね。

いやはや悪どい園長だ。

日本はやれ少子化だ、もっと子どもを生まないとこのままでは云々かんぬんと言われてはいるけれども、待機児童問題など、子どもを預かってくれるところ不足だったり、結婚するとお金がかかり苦労が増える情報ばかりが先だって蔓延しちゃっているから、ますます若い人は結婚しなくなっちゃうんだろうな。
結婚せんほうがトクやん、みたいな損得勘定が働いてしまうのは仕方ないことだしね。

第8話

安田顕の右目から一瞬つつーっと流れる一筋の涙。

うまいね~。

というか、それって役者としては出来て当然の技術なのかな?

>第9話

まさか東幹久が痴漢の役とはねぇ。

しかも「ああ、こういうヤツいそうかもしれない」と思わせるところがリアルっすね(笑)。

いや、本当の痴漢には会ったことがないから、実際はどんな風貌なのかは分からないけれど。

で、被害者役が向井地美音。

ギリギリ女子高生です、が通じる年齢かもしれないけれども、向井地美音=女子高生というと、どうしても『マジスカ学園』の「ジセダイ」のイメージが強く、「なーにカマトトぶってるんすか、今さら」なんて思って観てたマジすか好きも少なくないはず。

『アンフェア』の時の言葉を喋れない篠原涼子の娘役のときは可愛かったですね。

>第10話

この手のドラマには1回くらいはあるであろう大物政治家の息子の不祥事もみ消しネタ。

最後はお涙頂戴で吉高の勝利。
まあこういうトーンの世界の中でなら、このような結果も有り得るでしょう。

吉高由里子と三浦翔平との仲はこれ以上進展が見られないままドラマ終了。

個人的には回を重ねるごとに味わいを増してゆく安田顕とのほうが、お似合いなのではと思えるようになってきた。

一度、豆腐屋さんの実家で、そのような描写があったけど(生瀬勝久にビール飲め呑めとイジられる安田顕)、一本気で一直線で危なっかしさも感じられる新米竹村凜々子検事を支えられるのは、あれくらい年の離れた男性のほうが包容力とモノゴトを俯瞰する目も持っているから、プライベートの領域でもペアとしてはお似合いなのではないかと思います。

というわけで、あっという間に最終回を迎えた『正義のセ』ですが、個人的には面白く見れました。

『HERO』のパクリじゃんとか、『HERO』の女版に過ぎないというような声もあるようですが、どうせ両方とも「ファンタジー」であることを前提とすれば、私は『HERO』よりも、『正義のセ』のほうが、ドラマを包む空気のトーンは好みでしたね。

シリアスになり過ぎず、疲れた夜にビールを呑みながらフライドチキンやピザをほおばりながら観て、今週もまあまあ面白かったねと腹7~8分目の満足感。

没入しすぎることなく、気軽に聴けてなおかつ安っぽくもない。
おそらく作り手が狙う落としどころも、そのあたりだったのではないかと思われます。

スウィートで多少大味なところもあるけれども、期待が裏切られることはまずないだろうという安心感を持って聴けるジャック・ウィルソンのピアノを聴いているような気分で観れたドラマでした。

あ、ジャック・ウィルソンのピアノは個人的にはベーシスト、アイク・アイザックスのアルバムで弾いているピアノが好きですね。

参考記事:アット・パイド・パイパー/アイク・アイザックス

マイルスやコルトレーンのような大物ジャズマンが音で問題提起をし、それを深刻に受け止めるというような感じではなく。
ジャック・ウィルソンのようなセンスの良いピアニストが奏でる洒落たピアノを楽しい気分で聴きながら、時折ハッとなる。

これと同じように「社会の巨悪に挑む一大スケール巨編!」といった大仰なテーマではないドラマなんだから、ビールや焼酎を片手にポテトチップスとか納豆巻とか枝豆をつまみに観るくらいの気持ちの温度で観るのがもっとも「おいしく」観れるドラマだったんじゃないでしょうか。

記:2013/06/14

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