『世界一難しい恋』の視聴率が好調な理由は「恋の季節」だからなのかもしれない
好視聴率
「嵐」の大野智が主演のドラマ『世界一難しい恋』(日本テレビ系)の視聴率が好調のようです。
第一話が12.8%、第2話が12.9%、第3話は13.1%と、じりじりと右肩上がりが続いている模様。
もちろん、トレンディドラマ全盛期の時の視聴率の数字と比較すれば、大した数字ではないのかもしれませんが、今クールに放送されている福山雅治主演の月9ドラマ『ラブソング』の視聴率が第一話を除けば、一桁台だということを考えれば、かなり健闘していると捉えても良いでしょう。
高視聴率の理由。
それは、もちろん主役の大野智や波瑠の魅力も大きいのですが、放送のタイミングも良かったのではないかと。
なんたって「波瑠」ではなくて「春」ですから。
4月は「恋」の季節
『世界一難しい恋』の主人公、大野智が演じる鮫島零治は、ホテル会社の敏腕経営者という設定です。
経営の腕は、傾きかけた実家の旅館を短期間で建て直した実績もあるほど優秀なのですが、冷徹な面もあり、従業員に対してはすぐに「クビ」を言い渡すワンマンな一面も持つ社長でした。
ところが、中途採用で入社してきた柴山美咲(波瑠)に恋した途端、従来のコワモテな面が陰をひそめていきます。
仕事に対しては「ターゲット・フルスピード・トゥーマンス(「目標に向かって、全速力でいく、2か月」)を標ぼうしていながらも、恋に関しては「フルスピード」というわけには行かず、かなりの奥手です。
そんな大野君が波瑠に「好き」とう一言が言えずに悶々としている姿。
さらに波瑠と交際することになっても、今度は「キス」をすることが出来ずに悶々としている姿。
この姿を自分とダブらせて見ている視聴者が多いのでは?
なんか「自分とシンクロするなぁ」、あるいは「もし恋人が出来たらこういう悩みがつきまとうのか」と興味を掻き立てるところも人気の理由の一つなのではないかと考えています。
しかも、番組が始まったのは「春」ですから。
そう、春といえば、新入学のシーズン。
あるいは新卒入社のシーズン。
あるいは、学校ではクラス換えのシーズン。
大学1年生、新入社員、あるいは新しい顔ぶれと知り合う機会がもっとも多い季節ではないでしょうか。
新しい環境、新しい出会い、新しい恋。
大学、サークル、会社などなど、それぞれのコミュニティでは新人が仲間入り。
そこで新しい出会いが生まれます。
中には、新たな出会いから恋に落ちる人だっていることでしょう。
恋に落ちたら?
「相手は自分のことをどう思っているのか」と悶々する人も出てくることでしょう。
「好き」という気持ちを相手に伝えられずに悶々する人も出てくることでしょう。
この「恋の悶々」に多くの人が陥るシーズンは、4月の前半から4月の後半にかけてが全国的にも多いのではないかと思われます。
ちょうど、ドラマの大野君(鮫島社長)の「悶々」とタイミングが一致していますね。
キスのタイミングと勇気
さて、勇気を出して告白!
⇒晴れて付き合うことになりました。
付き合うことになったはいいものの、今度は新たな悩みが生まれます。
いきなり手を握ったら引かれてしまう? 何回目のデートで、どのタイミングでキスをすべきか、もし拒まれたらメチャクチャ恥ずかしいしプライド傷つくし……などと、新たな悩みに葛藤する人も多いことでしょう。
まったく葛藤しないタイプの人もいますけど、まあそれは置いといて。
少なくとも『世界一難しい恋』の主人公の鮫島社長(大野智)は、キスをしたいけれども出来ないという問題に直面し、悶々とし、小細工を弄したりもしています。
ま、3回も女性を自宅にお泊りさせておいて、まったく「何もなし」というのは、いくらなんでも相手に対して失礼だと、私も思いますが。
で、このエピソードが放送されたのがちょうど先日。
時期的には5月の中下旬です。
4月に付き合い始めた恋人たちが思い悩む時期と微妙にシンクロしているのではないでしょうか。
もっとも、さっさと最後まで済ませちゃっている人も大勢いるでしょうけど、まあそれは置いといて。
恋のイベントとシンクロ率高し
このように、視聴者の多くが思い悩むであろう「恋のイベント」とドラマの進行が絶妙にシンクロしているところが人気(=高視聴率)の理由の1つなのではないかと思ってしまうわけです。
もちろん、個人的には、奄美大島在住の音のソムリエ・高良俊礼氏がご自身のブログに書かれているとおり、私の場合も、大野智の不機嫌な顔が好きなので、その表情見たさが見ている大きな理由ではありますが。
演技、というよりもあの不機嫌な猫みたいな「ブスッ」とした表情に何とも味があっていいんですよね。
「この人にはぜひ日本を代表する”苦い顔俳優”になってほしい」
というのがアタシのひそかな願いなんです
>>世界一難しい恋/奄美のCD屋サウンズパル
でも、こういう見方をしている人もいるにはいるでしょうが、恋のイベント、それも恋愛初心者に還ったかのようなワクワク感とドキドキ感を主人公とともに味わえることがこのドラマの醍醐味なんじゃないかと思います。
と同時に、大野智と波瑠の恋愛エピソードだけだと、なんだかタドタドしさが漂いまくるので、同時進行で、北村一輝と小池栄子のアバンチュールな香りが漂う(といっても、ホテルのバーと部屋程度ですが)、「別種の恋愛」も絡めているところが、視聴者を飽きさせないアクセントとなっており、このバランスも、このドラマの面白さの一つなんじゃないかと思っています。
記:2016/05/27