白くまになりたかった子ども/試写レポート
『攻殻機動隊』や『アップルシード』といった精緻でリアルなアニメ描写、あるいは、『トイストーリー』や『ファインディング・ニモ』のようなCGが駆使されたリアルなゴム人形のような動きのアニメーションに見慣れた目にはとても新鮮な映像に感じた。
動く絵本ともいえる素朴な映像タッチの『白くまになりたかった子ども』の素晴らしさは、まずは何をさておいても、シンプルでぬくもりのある映像の美しさだ。
シンプルな筆のタッチを生かした水彩画。動きの一瞬一瞬がすでに立派なアート作品といっても過言ではないだろう。
内容は、北極ぐま(シロクマ)とイヌイット(エスキモー)のおとぎ話だ。
極北の厳しい自然の大地で力強く生きる心優しい生命体たちの物語。
ああ、俺もシロクマになりてぇ!と思って手元のパンフレット(絵本形式で素敵な作りだ)を見たら、「熊になりたい!これは人類が抱いた最古の夢の一つである」(中沢新一)なのだそうな。
なるほど、「人類・俺」としては、正しく最古の夢がこの映画によって覚醒されたというわけですね。
これは子どもと一緒に観ても、もちろん楽しめるのですが、大人が真剣に観ても楽しめるだけではなく、いくつもの教訓や学びを引き出せる映画だと思う。
movie data
原題 : L'ENF ANT QUI VOULAIT ENTRE UN OURS
製作年 : 2002年
製作国 : フランス・デンマーク合作
監督 : ヤニック・ハストラップ
2003年ベルリン映画祭キンダーフィルムフェスト準グランプリ受賞
配給 : ミラクルヴォイス
公開 : 2004年夏恵比寿ガーデンシネマにてモーニング&レイトショー
観た日 : 2004/04/21〕
記:2004/04/24