スパニッシュ・アパートメント/試写レポート
2018/01/09
アメリカ人とフランス人
私の英会話の先生はアメリカ人だが、フランス人に対する偏見がキツい。
昨年もニースに行くと言ったら、ニヤリと微笑みを浮かべて「フランス人の男はほとんどホモだから気をつけてねーん、グッド・ラック!」なんて大の男が裏声出して、私をからかった。
もちろん“仏男は全員ホモ”というのは彼なりのジョークだし、フランス人に対して、このような見方をするアメリカ人は少数なのかもしれないが。
しかし、『スパニッシュ・アパートメント』を観ると、フランス人が抱くアメリカ人に対しての偏見のようなものが垣間見れてなかなか面白い。
「頭は悪いけど、いいヤツ。マッチョで、セックスはタフ。面白いけど、バカというか能天気。でも良いやつ。もちろん遊び(肉体関係)だけで、本命じゃない(真剣につきあうに値しない)のは言わずもがなだけどね。」
と、まぁ言外には、こんなニュアンスが。
もっとも、“アメリカ人”と呼ばれているアメリカ人、彼は劇中では、チョイ役での登場なので、名前を覚えてもらえないのは仕方ないのかもしれないが、それにしても、他の登場人物はみんな名前で呼び合っているのに、アメリカ人だけは、“あのアメリカ人”という呼び方。明らかにヨーロッパ住人とは一線を引いた意思が込められているように感じるのは穿ちすぎか?
フランス人とアメリカ人は仲が悪いとは、よく言われることだが、この呼び方一つとってもフランス人がアメリカ人に抱くちょっとした偏見のようなものが感じられて興味深かった。
フランス、イタリア、ドイツ、イギリス、スペイン、デンマーク、ベルギー。
言葉も習慣も違う7カ国の学生がスペインはバルセロナの一つのアパートメントに部屋をシェアして住む。そこで起きるおきるドタバタ、恋、挫折、友情……。
『スパニッシュ・アパートメント』の原題は『L'auberge espagnol』といい、二通りの意味があるのだそうだ。
直訳だと“スペインの宿”だが、フランス語のスラングでは“ごちゃまぜ”という意味も持つ。
なるほど。たしかにエネルギッシュにごちゃまぜだ。
わいわい、がやがや楽しく賑やか。主人公の悩みもあまり悩みには感じられない。
個人的にはストーリーそのものよりも、映像のテンポの小気味良さが楽しめた作品だった。
『アメリ』のオドレイ・トゥトゥも出ているし。そうそう、『アメリ』が好きな人にはこの映画のテイストも楽しめるかもしれない。
関係ないけど、オドレイ・トゥトゥには赤がよく似合うよね。
あ、あと、アンヌ・ソフィが好きになりました(笑)。
映画データ
製作年 : 2001年
製作国 : フランス=スペイン
監督 :セドリック・クラピッシュ
出演 :ロマン・デュリス、ジュディット・ゴドレーシュ、オドレイ・トトゥ、セシル・ド・フランス、ケリー・ライリー、クリスティナ・ブロンド、フェデリコ・ダナ、バーナビー・メッチュラート、クリスチャン・パグ、ケヴィン・ビショップ、グザヴィエ・ド・ギユボン ほか
配給 : 20世紀フォックス映画
公開 : 2004/04/03~
観た日:2004/03/01
記:2004/04/08