高倉健と倍賞千恵子、絵になる2人の『駅 -station-』
あの「2人」が再登場
いつか見ようと思いつつも、なんだかんだで先延ばしにしていた高倉健・主演の『駅 –station-』を見た。
これ、『北の国から』の脚本家である倉本聰が健さんのために書き下ろした脚本なのだという。
そのためか、舞台は北海道。
荒涼とした寒々しい描写は『北の国から』を彷彿させ(それ以上に荒んでいるかも)、田中邦衛もちょこっと出演したりで、なかなかニヤリとさせてくれるものがあったが、最大のニヤリは『幸福の黄色いハンカチ』で奥さん役を演じた倍賞千恵子も飲み屋「桐子」の女将として出演し、健さんと絡んでいたことだろう。
この2人が画面に映ると、本当、絵になるね。
リアルタイムで観ないで良かった
この映画は、リアルタイムで観ないで良かったと思っている。
81年の公開だから、私が中学1年生の頃だ。
まだオコチャマだった頃の私が観たら(そもそも当時の私は、観ようとは思わなかっただろうけど)、おそらく退屈極まりない内容に感じていたかもしれない。
もちろん、倍賞美津子の「そういうことね」の意味もわからなかったと思う。
しかし、子供が見たら、おそらくは「退屈」、「間延び」と感じてしまう、年末の飲み屋のカウンターのシーンこそ、年齢を重ねれば重ねるほど染みてくるのではないだろうか。
ま、一言でいえば、ありふれた演歌の歌詞にありがちなベタなシーンではあるけれども、演歌が苦手な私でも、演ずる人が魅力的であれば魅力的なシーンに見えるんですね。
私があのようなシーンが似合うようになるのは永遠に無理かもしれないけれども。
『ブラックレイン』での刑事役の健さんや、中日ドラゴンズの監督役の健さんも良いけれども(両方とも英語を話すインターナショナルな健さんね)、北海道を舞台に描かれる『駅』の健さんの方が健さんっぽい気がする。
健さんの遺作『あなたへ……』と同様、おそらく折に触れて何度も見たくなるような映画なんじゃないかと思う。
そして、10年後に再度観たら、また違う感想が生まれるんじゃないかなと思い、しばらくは鑑賞せずに寝かせてみることにしている。
記:2017/03/16