吸い殻の風景/さだまさし
男心にチクッとくる
《吸殻の風景》というさだまさしの歌がある。
まだ中学生だったの頃の私はこの曲を聴いて、その軽やかな曲調と、登場する女性のあっけらかんとした語り口に、なんて爽やかな曲なんだろう、と思った。
ところがところが、この年になって聴き返してみると、男にとってはなんて残酷な歌なんだろう、と思ってしまう。
「哀しい顔」して「自分のことをいじめ」ている男に向かって、「落ち着くとこに落ち着いた」女性が、「相変わらず元気そうで安心したわ」と余裕をかまし、「いつまでも気にしちゃいないでしょうね」、「いまになって考えれば、あなたはとても良い人だった」、「あの頃私子供だったから」と、実に屈託なく煙草をスパスパ吸いながら一方的に語る光景は、相変わらず“哀しい顔”して過去を引きずっている男に対しての、女性からの最大の復讐なのかもしれない。
しかも、煙草なんか吸いながら、軽やかにこんなこと言うわけだから、ね。
記:2000/11/22