イスラエル国防軍 M51スーパーシャーマン(タミヤ1/35)制作記

      2021/12/07

アメリカ生まれのイスラエル戦車

イスラエルのM51スーパーシャーマンを作ります。

タミヤのキットです。

ザックリと説明すると、第二次大戦中に5万輌も生産されたシャーマンをフランス経由で購入したイスラエルが改造を施したものです。

とはいっても、国家として独立する前の第一次中東戦争のときなんかは、イギリスから盗んだシャーマンを使っていたりしていたイスラエル。切迫した国情がこういうエピソードからもわかります。

スーパーシャーマンの車輌は、アメリカからフランスに供与された車輌を改造したもの。
さらにフランス製の105ミリ砲を塔載して威力アップをはかると同時に、車輌のバランス上、長さを切り詰めています。また反動を抑えるためにマズルブレーキも塔載。シャーマンでありながらもシャーマンではない戦車へと変貌を遂げているわけです。

現場感漂う兵器

「魔改造」というと言いすぎかもしれませんが、スーパーシャーマンといえば、戦闘機のクフィルを思い出します。

フランスの戦闘機ミラージュに(それも盗み出した設計図をもとに作った機体に)アメリカのファントムのエンジンを積み、さらにカナード翼を付け足したイスラエルならではの戦闘機で、『エリア88』好きにとっては垂涎の機体の一つでもあります。

クフィルにしろ、スーパーシャーマンにしろ、政情の緊迫した中東の国・イスラエル独特の「現場感」が漂っており、そこがまた魅力の一つでもあります。

ちなみに、このスーパーシャーマンは80年代初頭まで現役で活躍していたそうで、ゴラン高原の戦いでは、ソビエトのT55などと交戦して撃破しているそうなので、それはそれで凄いものですね。

パソコンでいえばWindows95時代のパソコンの筐体の中のマザーボードを取り替えて、最新のOSにアップグレードしたような感じでしょうか。

おいしい成型色

スーパーシャーマンのランナーを並べてみました。

なんともおいしそうなマンゴー色。
食欲、いや、制作欲が高まります。

シナイブルー、シナイグレーと呼ばれ、写真によって色合いがまったく異なるイスラエルの軍用車輌独特の「謎色」をどう塗装で表現しようか、いまからわくわくしながら思いをめぐらせています。

それ以前に、まずは組み立てないとね。

ストレスフリーで組み立て完了

スーパーシャーマンの組み立てが完了しました。

これを作る前は、イタリアのセモベンテ突撃砲や、イギリスのビショップ自走砲を作っていたんですが、それと比べると「えっ?!シャーマンってこんなにデカかったっけ?」と感じるほどのボリュームです。

ま、最後に作ったシャーマンが中学2年生の時でしたから、記憶もおぼろげだっただけなんですがね。

しかし、あいかわらずというか、さすがタミヤのプラモというか、とにかく組み立てやすいですね。

砲身と砲塔上下のパーツの合わせ目のパテ埋めは必要かも。

ま、モデラーさんによっては、両側にしっかりと液体接着剤を塗りたくって、むにゅむにゅっと押し付けるようにパーツをくっつけ、溶け出したプラが乾いたら削ったりヤスったりする方もいらっしゃるとは思いますが。

私が、ザクやグフのショルダーアーマーを組み立てるときによくやる手法ですね。

それ以外の箇所は、基本、ニッパーで切り取り、デザインナイフで切り取ったところをカンガがけみたいなことをして余分なプラスチックを取り去り、接着し~の繰り返し。

さくさくと組み立てが完了しました。

けっこう部品が多いといえば多いのだけれども、そして細かい部品も少なくはないのだけれども、そのへんは、さすがタミヤ、ほとんどストレスを感じずに作ることができましたね。

ただ、1mmの穴を砲塔や車輌本体に開ける箇所がいくつもあるので、ピンバイスは必要ですね。

私は長年タミヤの千円ちょっとのピンバイスを愛用しています。

いやぁ、それにしても砲身長いなぁ。

次は下塗りにとりかかりたいと思います。

いつもの(?)パープル下塗り

いよいよ下塗り、今回は筆塗りです。

いつもは缶サフ吹いて、すぐに終わるのですが、今回は手数を増やしたいなと考え、ラッカー系塗料の筆塗りにしてみました。

ま、目的は、その後に塗装するアクリル系塗料(タミヤアクリル)のノリをよくすることと、プラに厚みをつけて光の透過度を極力抑えることにあるので、別に色は何色でも良いのです。

なので、手持ちのラッカー系塗料でカラーの残量が少なく、捨てる寸前の色を空ボトルにかきあつめてシンナーで薄めた「おつゆ」塗料を使用しました。

青竹色、ミドルストーン、タイヤブラック、オリーブドラブ、マホガニー、イエロー、レッドブラウンなどの混色なので、正直なんとも形容し難い色ではあるのですが、塗ってみると、オリーブドラブとフィールドグレーの中間色みたいな色になりますね。

ま、攪拌する前は、顔料が分離してボトルの中は複雑怪奇な色模様になっているのですが……。

で、このなんとなくグリーン系のラッカー系塗料を幅の広い平筆でエイヤッ!と一気に塗りたくります。

なんだか、1940年代に日本とドイツと戦っていた頃のM4シャーマンの雰囲気にタイムスリップといった感じですな。

かなり下のプラ地が露出しまくった状態ではありますが、乾いたら、今度は上から、タミヤアクリルのパープルを筆塗り。

げげげ、ドギツい。

しかし、これはこれで何となく面白い感じ。

これで下地塗り完了。

この上に、色々な水溶きアクリルを乗せていき、微妙な色合いを出していこうと思います。

水溶きアクリル

タミヤのアクリル塗料ミニのオーシャングレー2で、ベースカラーを塗装しました。

なぜに、砂漠地帯の戦車に「オーシャン」なグレーを?!
⇒余ってるからヽ(' ∇' )ノ

いや、いきなりデザートイエローやライトサンドやデザートイエローで塗るよりも、もっと複雑怪奇な色合いを出したかったので、実験的に絶対にありえないよね系カラーを塗ってみたかったのです。

このオーシャングレイを水で薄めて、マット感を強めて塗装しています。

水を混ぜれば混ぜるほど、アクリルミニはマット感が強くなりますね。

塗ってみたら、これはこれで良い感じの色なんじゃないかと思えてきました。

砲塔のキャンパスは、カーキで塗っています。

もう少し白かったら、冬季迷彩っぽくなりそうですね。

Mr.ウェザリングカラーで黄色っぽく

タミヤアクリルのオーシャングレーが乾いたら、今度はクレオスのMr.ウェザリングカラーを筆で塗っていきます。

使用する色は、フィルタ・リキッド イエロー。

これを白っぽいグレー地に重ねることで、奥行きのある黄色を生み出そうという目論みです。

以前、バナナゾックを塗ったときと同じ考えですね。

関連記事:バナナゾックに塗ってみる~HGUCゾック塗装記

根っこの部分から黄色ではなく、表面に黄色い薄い膜に覆われた色、そういうニュアンスを出したかったわけです。

もちろん実際の車輌は、そんな色はしていないとは思うのですが、あくまで自分の中のイメージ優先です。

もちろん隅から隅まで綿密に塗るわけではなく、かなり適当に塗っています。

そのことにより、以前に塗った色がチラリと見えたりするので、その「残色」が個人的にはツボだったりするわけです。

完成

複雑怪奇な黄色にした後は、油彩でウェザリングです。

油絵の具のバーントシェンナとアイボリーホワイトをドライブラシして、スーパーシャーマン、完成としました。

砲身、異様に長いですね。

そこがチャームポイントでもあります。

このゴチャゴチャ感もたまらない。

そうそう、フィギュアも乗っけてます。

かなり手抜きで、基本色を塗った後は、溶いた油絵の具を窪みに流し込んだり、ドライブラシをしただけなんですけど。

だから、ゾンビ……。

まあ、遠くから見れば、それほど気にならないから良しとします。

いやぁ、作っていて楽しかったですなぁ。
プラス、作った後の充実感もひとしお。

機会があったら、また作ってみたいキットです。
そのときは、ちゃんとモデルカステンのシナイ色の塗料を使ってみよう。

記:2019/10/09

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