タフタフ live in 六本木Back Stage 2002/06/23

      2019/08/27

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渋い選曲

2002年、6月23日の日曜日、六本木にあるバックステージという平日は楽器の弾ける飲み屋、休日はライブハウスにもなる店で、ライブをやった。

「タフタフ」で出た。

昨年の11月も「タフタフ」のライブをバックステージで行ったが、その時は3人で出演した。

今回は、ギタリストが多忙ゆえ不参加、2人での出演だ。

ヴォーカルの女性がギターを兼任し、私がウッドベースという編成。

彼女と私のコンビが、すなわち「タフタフ」というユニットになるのだ、と言えなくもない。

将来的にはピアノやブルース・ハープにも参加してもらうことも考えているが、色々な楽器が参加しても、考え方としては、「タフタフ」の拡張版と考え、当然グループ名も、「タフタフ」でエントリーすることになるだろう。

しかし、ヴォーカルの女性が他のピアニストと組んでライブに出ても、「タフタフ」とは名乗らないはずだし、私が他のヴォーカルと組んでライブに出ても、「タフタフ」という呼称は使わない。

「タフタフ・サウンド」と言うべき微妙なテイストがあるからだと個人的には思っている。

「タフタフ・サウンド」とは、私のベースと、ヴォーカルの女性の歌が混ざったときのサウンドのことで、我々のサウンドが際だって特徴的というわけでもないが、基礎がしっかりとしていて、高まる感情を「グッ」と内に込めながら、決してオーバーな表現をせずに、じんみりと歌うヴォーカルと、私が弾くその場まかせのベースが、着かず離れず状態にブレンドされると、一種独特な雰囲気が生まれることはたしかだ。

というわけで、今回は、その最低基本単位の二人での出演だ。

演奏した曲は、以下の5曲。

・ダウン・バイ・ザ・リヴァー・サイド
・遠くへ行きたい
・サカナ
・黄昏のビギン
・オール・オブ・ミー

なかなか、渋いというか地味な選曲が光ってるな(笑)。

メンフィス・ミニーのブルースの《ダウン・バイ・ザ・リヴァー・サイド》。

もとより、「タフタフ」はメンフィス・ミニーのブルースを中心に練習してゆこうという趣旨で結成した経緯もあり、ミニーのブルースは、我々にとっては得意レパートリーだ。いつも軽く流すような気分で演奏している。

ただし、今回の曲は、初挑戦のブルース。原曲のGからDのキーに移調して演奏した。

《遠くへ行きたい》と《黄昏のビギン》は、永六輔と中村八大のコンビによる、黄金の昭和歌謡。

誰が歌った曲かは、忘れたが、両方とも、歌詞もメロディも素晴らしい曲。

この2曲は、歌詞やデリケートな歌唱を殺してはマズイので、私は、ひたすら堅実なバッキングを努めた。

弾いたノートも、ほとんどルートだけだったと思う。

ただし、2曲とも間奏にはベースソロをふられた。

曲の雰囲気を壊さないよう、ほぼ原曲通りのメロディをベースでなぞっただけ。

《サカナ》は、今回の選曲の中では唯一私の希望の曲。椎名林檎の名曲だ。

私はこの曲が好きだ。

歌詞も、メロディも、曲中に登場するミュートをかけた怪しげなトランペットも良いが、なんたってベースが大活躍の曲だから、弾いていてとても楽しいのだ。

サビの三連弾きまくりベースラインは、いつ聴いてもベース心をくすぐるアレンジだ。

以前は、エレキベースで随分この曲を演ったが、エレキでこの曲を弾いても当たり前すぎてだんだんとつまらなくなってきたので、最近はウッドベースで弾けるように練習を少しずつしていた。

その練習成果発表という意図もなかば含んだ私の選曲に、ヴォーカルはよくつきあってくれたと思う。

サビの部分は、ベースのみならず、ヴォーカルもかなり難しいらしく、歌っている最中に、いくつか歌詞が飛んでしまっているところがあった。

ライブ後、「あー、本番は歌詞が出てこなくて、悔しい!」と彼女は悔しがっていたが、でも、ベースだけの伴奏で、よくあれほど丁寧に綺麗に歌えたなと私は感心しているので、些末なミスなど、どうでもいいではないか、と思う。

最後の《オール・オブ・ミー》は、ジャズのスタンダード。

「タフタフ」では、過去に何度か人前で演奏したことのある曲なので、それこそ「いつもの感じ」で軽く流すように演奏出来た。

私は、この曲がとても好きなので、ベースを伴奏していても楽しい。

毎回、気分次第でベースラインやアクセントの置き方を変えて弾いている。

今回も楽しくなってきて、ついついたくさんの音符を弾いてしまった。

帰宅後、演奏風景をプレイバックしてみたら、案の定、調子に乗った私は、随分たくさんの余計な音を弾きまくっているな、と思った。

なんだかぶっ飛びまくった選曲かな、と当初は思っていたが、いざ通しで演奏してみると、妙な統一感で彩られていたので、これを「タフタフ流」のサウンドが確立されてるから、何をやっても「俺達龍」なのだ、と好意的に解釈をするか、技量不足で表現レンジの狭さゆえの似たり寄ったりの仕上がりにしかならないと、悲観的に解釈をするのかは、もう少し時間を置いてからにしたいと思う。

記:2002/06/29(from「ベース馬鹿見参!」)

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