ライブレポート タフタフ with 桜子 in 六本木 2003/02/01

      2021/02/08

escalator

2003年の2月1日、六本木はアマンド横の芋洗い坂を下って数分のところにある小さなライブハウス、そして、平日はカラオケ飲み屋としても機能する「バックステージ」という店でタフタフのライブを行った。

今回はエレキベースで出た。

年末に1万4800円で買った黄色のプレシジョンベースだ。

>>激安ベース購入記~なんと、一万円台のベースを買ってみた。

もっとも、自分好みのセッティングにするために、いくつかパーツを取り替えるなどのカスタマイズを施してあるが。

ピックアップはセイモアダンカンのベースラインに変えているし、ブリッジもバダスに取り替えてある。

はい、すでにこのパーツ代だけでベース本体の値段を上回っていますね(笑)。

さらに、ヘッドに付いているテンションピンの高さが高すぎ、弦のテンションが甘かったので、350円で購入した低めのテンションピンに付け替えてある。

これだけの改造でも、ずいぶんと弾きやすくなった。

弾きやすいということは、良い音を出しやすい。

さらに、弾きやすいということは、リラックスして弾けるということなので、気持ち的な余裕も生まれる。

気持ち的な余裕が生まれるということは、良いノリやグルーヴを出しやすいということで、良いノリやグルーヴを出せれば、バンドの演奏もよくなる可能性が高くなるということだ。

だから、楽器のセッティングは大事なことなのだ。

しかし、気になる点もある。

このベース、新品で買ったがために、木の状態が安定していないように感じる。

私はここしばらく中古のベースしか使っていなかった。

中古のベースで状態の良いものは、まず例外なく木が良い具合に乾燥して落ち着いている。

状態の良いオールドは、数ヶ月放っぽりっぱなしでも、チューニングが狂わないこともあった。

ネックの状態が湿度や弦の張力に負けずに常に一定の状態だからだ。それだけしっかりとした木の状態なのだといえる。

私はベースの良し悪しの8割はネックで決まると思っている。

放ったらっかしにしても滅多なことではチューニングが狂わないほどネックが安定しているベースは、やっぱり音が良い。

それ以上に、ライブに臨む際は非常に心強い。

やっぱり、数曲弾いてだけで微妙にチューニングが変わるようでは不安だからね。

私は、ベースのトラブルの大半が電気系か、ネックの問題だと思っている。

あるベースのサイトに書いてあったことだが、あの高級ベースブランドのフォデラですら、100本に3本ぐらいは、ネックトラブルを抱えた楽器が出荷されているというから、やっぱり良いネックのベースにめぐり合うのは一つの縁ともいえるし、運の要素もあると思う。

同じモデルでも当たり・ハズレのある楽器なのだ。

私が新しいベースに対して抱いている一抹の不安は、先述したとおり、ネックの木の状態だ。
冬場の乾燥した気候なのに、微妙にチューニングが変わるのだ。

まだネックが弦になじんでいないだけなのかもしれないが、曲を数曲弾くたびに、微妙にチューニングが狂ってくるのは、やっぱりネックの木の材質やシーズニングの仕方が甘いのかもしれないし、もしかしたら、ペグの安定性が悪い可能性もある。

いずれにせよ、6月の高温多湿の時期を乗り越えて、真夏の酷暑の時期に屋外で弾いてみたりと、季節を通して色々な環境下で弾いてみれば、そのうちこのベースの木の特性も分かってくることだろう。

よって、最初は、このベースでライブすることには一抹の不安もあったが、まぁいいや、チューニングがヘンだったら弾くのをやめれば良いんだからと開き直った。

新しいものは、試してみたくなるものだ。

さて、次はエフェクターの話。

先日購入したベースに加え、その数日後にヴードゥ・ベースも購入した。

Roger Mayer ロジャー・メイヤー ディストーション Voodoo-Bass Classic 【国内正規輸入品】Roger Mayer ロジャー・メイヤー ディストーション Voodoo-Bass Classic

ロジャー・メイヤー製の、歪ませても音の太さが失われない、オーディオ的にも非常に優れた回路を誇るベース用のファズだ。

私は基本的にはノンエフェクト&アンプにシールド直結派だが、ソロでベースを弾くこともあるので、歪み系のエフェクターは、ギター用のものも含めて、かなりのタイプを試してみたし、実際たくさん持っていたこともあるが、個人的な趣味として、結局のところディストーションやオーバードライヴタイプのものよりも、ファズ系のエフェクトをかました歪みが好みだということがだんだん分かってきた。

もちろん、ファズ系は音がノッペリとした感じがする上に、ダイナミクスをつけずらいという難点もあるが、パッシブタイプのフレットレスをメインに使っていることもあり、フレットレスのサウンドには、ファズ系のエフェクトの“音のり”が一番良いんじゃないかというのがここのところの感触だ。

とにかくフレットが無いと、金属の倍音が出ない。

この倍音が無いと、ほとんどのエフェクターは“エフェクトのり”が悪いのだ。

ところが、どういうわけか、ファズタイプのエフェクターをかますと、面白いぐらい気持ちよく歪んだ音が出てくれるのだ。

年末には、ジミヘンドリックス・システムというオクターヴ・ファズをそのシンプルで骨太なデザインに惹かれて購入したが、これがまた良い具合に歪んでくれるのだ。

↓カタチは違うが、かかり方は、これに近い。
【 並行輸入品 】 Roger Mayer Octavia Octave FuzzRoger Mayer Octavia Octave Fuzz

喜び勇んで「ボスタング」というユニットのライブにソロベース用のエフェクトとして使ってみたりもした。

しかし、さすがにソロで弾く分には良いかもしれないが、低音を主体としたベースラインを弾くには、ちょっと音がエグすぎるので、ベースラインを歪ませて弾いても、アンサンブルを邪魔しない程度の歪みのエフェクターが欲しくなった。

少し前までは、サンズ・アンプのベースドライヴァーも持っていたが、あまりにアクティブ臭いヌメッとした歪みが気に入らずに、売ってしまっていた。もっと暖かみを感じる、アナログ的な歪みが欲しかったからだ。

何度か楽器屋に足を運び、試奏を繰り返し、結局たどり着いたのがヴードゥ・ベース。

ほとんどの楽器屋の店員は、軽く歪ませる程度だったらベース専用のオーヴァードライブが良いですよと勧めてくれたが、個人的には先述したとおり、ファズ系の音色のほうが好きだったので、結局、消去法でヴードゥ・ベースということになった。

これもファズ系のエフェクターで回路を作ったエンジニアは、ジミ・ヘンドリックス・システムと同一人物なのだという。

購入の際は、例の1万4800円のベースを持参して、これにヴードゥ・ベースをかまして試奏してみたが、すごくナチュラルに、気持ちよく歪んでくれる。

サンズアンプのような電池臭さが感じない上に、驚いたことに低音の音痩せがまったくない。
むしろ、セッティング次第では、ヴードゥをかましていたほうが、ライン直結の音よりも太い低音が出るので、大いに気に入り、即刻購入した。

もっとも、帰宅してフレットレスにかましてみたら、期待していたほどの心地よい歪みは得られなかったが…。

まあいいさ、ヴードゥ・ベースはフレット付きのベース用にすれば良いだけのことだから。

とにもかくにも、ヴードゥ・ベースを購入した私。

そして、早速このステージにも使用してみた。

いつもはウッドベースのアルコで弾いているベースソロの部分だが、エレキをヴードゥ歪ませた音で弾くと、かなり良い雰囲気が出るので、曲のほんの一部だけだが、使用することにした。

穴があると差し込んでみたくなるのもだ。

このヴードゥ・ベースにはアウトプットの出力用の穴が2つ開いている。

バックステージにはベースアンプが二つある。だったら、繋いじゃえ!ということで、今回はヴードゥ・ベースを介して、二台のベースアンプに繋げるセッティングにしてみた。

ベースアンプは、ステージの両脇にある。

これで、ベースの音量と聞こえやすさは確保することが出来た。

さて、演った曲は以下の通り。

1.遠くへ行きたい
2.ティアズ・イン・ヘヴン
3.渚にまつわるエトセトラ
4.ホワッツ・ゴーイン・オン
5.エルパソの歌
6.スタンド・バイ・ミー

といった感じだ。

今回、特筆すべきは、私がやっているもう一つのバンド、ぱぴヨンズのヴォーカル・桜子ちゃんがスペシャル・ゲストとして参加してくれたこと。

彼女の特技は、初めて聴く曲でも、聴いた瞬間にメロディをハモれること。そして、天性の声と節回し、そして聴き手を和ませるほとんど天然とでも言うべき脱力系なキャラクター。

もちろんバンドコンテストで優勝したほどの実力の持ち主だが、彼女の面白いところは、巧い・ヘタといったレベルを超えて、自然に自分の世界を作っちゃうこと。

暖かくて、ほんわりとした空間が、彼女が歌いはじめると自然と形成されるのだ。

これは、彼女が生まれ持った素晴らしい特質だろう。

一方、タフタフの相棒は、一言で言えば、とても努力家だ。

彼女の場合は、一段ずつ階段を踏みしめながらレベルアップをはかるタイプだし、実際かなりのレベルに達している人だと思う。

亀淵友香の元でゴスペルを学び、ギターを習い、ステージの十数分前からは全身のストレッチを欠かさない。

非常にストイックで真面目に音楽を探求している人だ。

あらゆる意味で、対照的な二人。

そんな二人がステージ上でぶつかると、どのような化学変化が起きるのだろう、というのが私の最大の関心だった。

役どころとしては、桜子ちゃんはコーラスとしての参加だが、1曲だけpuffyの曲をメインヴォーカルで歌った。

いつもタフタフをやっていて思うのだが、キチッキチッとし過ぎるところがあり、それはそれで良いんだけど、ちょっとストイック過ぎるかなぁと思うこともないわけではない。

もうちょっと“遊び”や“余裕”や“ほぐれ”があるともっと面白くなるんだろうなぁ、と思っていたところで、桜子ちゃんがステージに立っただけで、モノトーンの世界が一気に暖色系のパステル色で彩られた。

桜子ちゃんの天才的な(天然的な)パフォーマンスが、非常に良い形で、華やぎと色彩を与えてくれたとステージになったと思う。

なお、この組み合わせはあくまで臨時なので、この編成でのレギュラーな活動はしないつもりだ。

記:2003/10/22(from「ベース馬鹿見参!」)

追記

その後、結局、1万4800円のベースは売っちゃいました。かわりに、フェンダーのオールドのプレシジョンを買いました。

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