ある日、突然/試写レポート

      2019/08/29

aruhi

様々な制約は、センスでカバー

粒子の粗いモノクロ画面全体から漂う、適度にスカスカな映像テイストと、全体を包み込む静謐さが、不思議とお洒落な雰囲気を醸し出している。

なるほど、やはり、低予算で作られた映画なのだそうだ。

撮影中にアルゼンチンの経済が破綻し、撮影続行が不可能と思われたなか、なんとか最後まで作り上げた作品なのだそうだ。

出演者、スタッフは平日は仕事があるので、休日を利用して撮影したのだそうだ。

予算、時間など様々な制約は、センスでカバー。

いくつもの日常とはかけ離れたちょっとしたことが、タイトル通り“ある日突然”起こるが、新人監督ディエゴ・レルマンのセンスと眼差しゆえに、淡々と進行してゆく映像の中では、それらのことは違和感を抱かさせず、とても当たり前な日常のひとコマのように見えてしまう。

手作り感覚と、ロード・ムービー的な雰囲気が、モノクロの映像も手伝って、妙にそそられるテイストを醸し出し、まずは内容以前に強烈に画面に惹きつけられた。

観た日:2004/05/20
記:2004/08/09

movie data

製作年 : 2002年
製作国 : アルゼンチン
監督 : ディエゴ・レルマン
出演 : タチアナ・サフィル、カルラ・クレスポ、ベロニカ・ハサン ほか
配給 : ザジフィルムズ&ブルーバックフィルムズ
公開 : 2004/08/07公開 (渋谷シネ・アミューズにてレイトロードショー)

 - 映画