東京日和/鑑賞記
竹中直人監督の『東京日和』を観た。
2回観た。
レンタル屋で借りて観た。
写真家・荒木経惟&陽子夫婦の生き様をそのまま映画化したわけじゃなく、あくまで、彼ら夫婦からインスパイアされた全く別の夫婦の物語だった。
映像の色合いがとても綺麗だった。
とくに、ひまわりの花びらの黄色が深かった。
画面の構図が、どこを切り取っても一枚の写真になりそうだった。
竹中直人の演技がよかった。
「陽子、陽子」と奥さんを大事にしている姿、なんだか高村光太郎の『智恵子抄』を思い出してしまった。
ほんの少し狂った中山美穂が良かった。
ボートの上に横たわって寝ている中山美穂の姿と、写真が良かった。
広いテラスのあるマンションの部屋が良かった。
住んでみたいと思った。
テラスから望む風景、妻の死後は、赤い屋根の家が建っている、という時間の経過を風景でさり気なく描写しているのが良かった。
ベッドではなく、畳の部屋に布団を敷いて寝る生活スタイルが、我が家と同じなので嬉しかった。
浅野忠信の「普通の人っぷり」が良い味を出していた。
中島みゆきのバーのママっぷりもハマッていた。
松たか子は相変らずイモだなと思った。
グランドピアノのような型をした石が面白いと思った。
猫が可愛かった。
音楽が坂本龍一だった。
歌が大貫妙子だった。
淡々と綴られた、静かな夫婦の愛の一つのカタチ。
彼らの幸せって、ささやか過ぎて、とてもコジンマリとしていて、なんだか涙が出てきてしまう。
とっても緩く胸を締め付けられた感じ。
全体的にとても静かな感じだった。
……だけど、どうしてだろう、全体的には、なんかイマイチだった。
でも悪くはないんだけど。
切ないんだけど、切なさ過ぎきれてないからなのだろうか?(←ヘンな日本語)
記:2001/10/28