空低音( ku-tei-on )~即興 ベースソ ロ live in 六本木 2001/07/01

      2016/03/24

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狭いライブハウスで、阿部 薫の『ライブ・アット・騒』よろしく、一人、ウッドベースを即興で弾くソロ・ライブは昔からの憧れだった。

だから、やらせてもらった。

ウッドベースを購入し、ウッドベース用のカラダ作りのリハビリを始めてから、まだ日が浅いというのに、よくまぁ、やる気になったものだ。と、自分でも呆れている。

場所は、六本木の「バックステージ」。

その日は、「メンズ・ヴォーカル・ナイト」というイベントだった。

ギターの弾き語りのお兄ちゃんたちが、約20~30分の持ち時間で、次々とステージで弾き語りをするイベントで、多いときは8人(グループ)も出演するイベントだが、それに私も混ぜてもらった。

イベント中盤に、歌無し、しかもベースだけ、しかも「曲」じゃなくて、即興「演奏」をする物好きなベース弾きが出演すれば、同じような人たちの出演が続くなか、良いメリハリとアクセントとなるだろうと考えたからだ。

ウッドベースをヨタヨトとよろけながらかつぎ、なんとか店に到着。

店には大学時代の後輩たちがいた。

彼らは既に先頭バッターとして、出演を済ませた後だった。

私の出番までには、まだまだ時間があるから、カウンターに座って酒を飲みながら、今回の即興演奏の漠然としたアプローチを考えながら、ステージから聴こえてくる弾き語りを聴くことなく聴いていた。

即興演奏とはいえ、タイトルやテーマのようなものをつければ、全く白紙の状態から即興をするよりかは、私の場合は、幾分か演奏をしやすくなる。

酒を飲みながら、思いついた言葉を紙の切れ端にどんどんメモしていった。

私の出番がやってきた。ウッド・ベースをかついでステージの上に上がった。

私のウッドベースには、ピックアップは取り付けていないので、ボディの鳴りを拾うよう、マイクを胴の近づけてセッティングをした。

まずは、《法廷画家の憂鬱》というタイトルを客席に告げ、即興を開始した。

Fmのダブルストップを基調とした、重苦しくて沈鬱な雰囲気を出そうとした。

テンポはかなり遅めに設定。前のステージで演奏していたギター兄ちゃんによる明るくはじけた雰囲気が、私のベースの鈍重な演奏で一気にかき消され、店の空気がガラッと変わった。

次の即興テーマは、《ブーゲンビル島上空にて敵戦闘機編隊と遭遇、機銃掃射を受け左翼エンジン被弾・炎上、肩肺飛行で基地へ帰投する一式陸攻》だ。

タイトルを覚えるのが大変だったので(←馬鹿)、また、様々なイメージが頭の中をかけめぐり過ぎたので、正直、なにをどう演奏したのか、まったく覚えていない(←馬鹿)。

10分ぐらい、出来うる限り様々なことを弾きまくったことぐらいしか覚えておらず、私の記憶の中の空白地帯となっている。

結局、覚えているのはタイトルだけという、とほほ……。

次は、気分を変えて、《ソナーが捉えた海底を高速移動中の未確認潜航物体》。

これは、一年以上前にもエレキベースのソロのライブでもやったことのある曲だ。
いや、「曲」というか、“「D」とか「A」を速く弾く”程度のことしか決めていないのだが……。

ウッドベースで高速テンポを維持しながら弾くのは、現段階の私の力量では、なかなかツライことなので、手が攣りそうになった段階で演奏終了。

最後の即興が、《いつもあなたに来て欲しいから、現金払いでやっています。トミー》。

トミーというのは、トミー・フラナガンのことではなく、この店のマスターのニックネームだ。

店のトイレに貼ってある紙に書かれていた言葉をそのまま即興の題材に使った。

1弦のハイポジションの弦を2~3回「ぺろん!」と弾いて、それでお終い。何故かウケた。

まだ時間が余っていたので、ドラマーとベーシストの後輩をステージに呼び、ベーシストの後輩にウッドベースを渡し、私はエレキベースに持ち替え、「先輩と後輩」と題した即興演奏をした。

これは、限りなく4ビートに近いリズムの上に乗っかって、2台のベースが自由に泳ぐというだけのもの。

とりとめもなく演奏が終了し、「空低音」と題したベースの即興ステージを終わった。

人前でウッドベースのソロを弾いたのは、今回がはじめての体験だったが、まだまだ力量の不足を痛感した。

なにしろ、途中から指や腕が痛くて、痛くて…。 もっと基礎力をつけてから臨まなければダメだなと、反省。

記:2001/11/17(from「ベース馬鹿見参!」)

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