山さんは刑事中の刑事なのだ!~太陽にほえろ!
見まくり『太陽にほえろ!』
昨日より『太陽にほえろ!』のビデオを見まくっています。
レンタルショップから5本ほど『太陽にほえろ!』に登場する各刑事の名作集を借りて、息子と一緒に観ていました。
息子は、やっぱり松田優作の「ジーパン刑事」に惹き付けられているようで、「すっげー」「カッコいい」「俺もあんなに脚長くなりたいぜ」「強ぇ~」を連発していました。
しかし私は、といえば、今も昔も山さんです。
渋い。カッコいい。
山さんのない『太陽にほえろ!』は、クリープを入れないコーヒーどころか、トニーの抜けた黄金のマイルス・クインテットのようなもの。
トニーがいなくても、ショーター、ハンコック、ロン、そしてボスのマイルスと個性的な面々はもちろんいますが、サウンドキャラクターやムードを決定させる重要な役どころがいなければ、どんなに素晴らしい演奏でも「いまひとつパンチが足りないよなぁ、何かが足りないよなぁ」な結果になってしまいます。
『太陽にほえろ!』が名刑事ドラマたりえたのは、山さんこそ露口茂が脇を渋く固めていたからです。
小学生の頃から、私は山さん、大好きでした。
もちろん、ジーパン、テキサス、ボン、ロッキーのような若手刑事も嫌いじゃありませんでしたが、彼らの若さや早とちりは、ベテラン刑事山さんを引き立てるために存在するだけ、だと思ってましたし、ゴリさんや殿下のような中堅的存在も山さんの存在感をより一層引き立てる存在という見方でした。
なにせ、山さん、渋い。カッコいい。
刑事の知り合いはいないので、現実の刑事はどんなものか知らないけれども、ものすごく刑事っぽい(笑)。
「テレビ局から出てきた露口茂(山さん)の後をこっそり尾行したら、いつのまにか、まかれてしまった」
という都市伝説も生まれるほどですから、おそらく私以外にも多くに人が山さんこそが刑事中の刑事だと思っているのでしょう。
全力疾走で走ったり、銃を打ったり、派手な大立ち回りをしたり。
これも刑事ドラマには欠かせない要素かもしれませんが、特撮ファンとしては、アクションに関してはウルトラマンや仮面ライダーでも味わえる要素なので、別になくてもいいのです。
むしろ、推理や丹念な操作を描いて欲しい。
刑事といえば、やっぱり山さん
小学校の頃、松本清張の『砂の器』を読んで、作品にものすごく引き込まれてしまった理由は、今西刑事がいたからです。
今西刑事は、地味だけれども、一歩一歩、丹念に丁寧に地道に操作を進めていき、少しずつ、少しずつ、犯人に近づいてゆくのですね。ああ、刑事っていいなぁ、俺も将来こういう刑事になりたい、と思いつつ、刑事じゃありません(笑)。
私にとっての刑事像は、銃をぶっ放したり、格闘が強かったりではないのです。地味に地道にコツコツなのです。
だから、今西刑事や山さんのような刑事こそが、刑事中の刑事なのです。
『太陽にほえろ!』以降の刑事ドラマも、「山さん的」か「非山さん的」かどうかが、登場する刑事を見る大きな基準になってしまったほど、私の刑事感は偏ってます(笑)。
昨日は、若い桃井かおりが殺人犯として登場する話を含めジーパン活躍話を4話、テキサス刑事の名作2話、そして殿下(小野寺昭)活躍名作を2話観ました。
特に、いまだマニアの間では根強い人気を誇る、殿下が麻薬中毒になってのたうちまわる「鶴が飛んだ日」が良かったですね。
これ、一応、殿下が主役の話ではありますが、本当の主役は山さん。
自分と殿下に手錠をはめ、殿下のコールドターキー(麻薬断ち)につきあう山さん。絶叫し、咆哮し、暴れる殿下を最後まで見守る山さん。
なんて優しく、我慢強く、強い刑事なんだろう。
この話の山さん、私、大好きです(涙)。
殿下の麻薬禁断症状がひと段落して、煙草をうまそうに吸う山さんの表情といったら!
ああ、やっぱり山さんです。刑事といえば、私は、山さんです(笑)。
で、深夜、アナログシンセでピアノとオーケストラを混ぜた音を作って「太陽にほえろ!」のメインテーマを弾いたら泣けてきた(笑)。
記:2006/12/03(from「趣味?ジャズと子育てです」)