ヅダ、アンバランスな魅力を持つMSを陸戦風に作ってみた

   

ザクの競合機

ヅダは『MSイグルー』という3DCGで描かれる『機動戦士ガンダム』の一年戦争のエピソードを見た時から気になるモビルスーツ(以下MS)でした。

後付けの設定ではあるのだけれども、ザクの競合機だったんですね。

つまり、ジオン軍は、メインの兵器としてMSを量産する際に、候補となるジオニック社のザクと、ツィマッド社のヅダをコンペにかけたわけです。

そして、結局は汎用性に優れ、コストを安く抑えられるザクが採用されるわけですが、その背景には様々な政治的な裏があったり、試験運転中に空中分解をおこしてしまったりして、ヅダは欠陥機という不幸な烙印を押されてしまったというような設定だったと思いました。

そんなヅダの事情は連邦軍にも知れ渡っていたようで、『イグルー』では、前線で戦うジムのパイロットたちも知っていたほど有名な話だったようですね。

ヅダが登場した際、ジムのパイロットたちからは欠陥機、ポンコツみたいなことを言われて揶揄されていましたから。

しかし……!

ヅダは強ぇ~、というか速ぇ~!ぜんぜん欠陥機じゃないもんねぇ!というのが『イグルー』のストーリーですが、これを観てしまったら、ヅダのプラモ、誰もが作りたくなることでしょう(俺だけ?)。

ジオニック社とツィマッド社

ガンダム好き、というかガンダムの宇宙世紀ものの設定好きの皆さんは周知のことですが、1年戦争時、ジオン軍のMSを生産する会社は2社ありました。

先述したジオニック社とツィマッド社ですね。

ジオニック社はザク、グフ、ゲルググ。
ツィマッド社はドム、ギャン。
そしてヅダ。

さて、この2つの違いといえば、ジオニック社のMSのほうがバランスが取れている感じがしますね。

コスパが高い感じ。
装備を変えれば、様々なシチュエーションに適応できそうな機体だと思います。

たとえば、デザートザク、グフ飛行試験型、ゲルググキャノンなどなど。

その一方で、ツィマッド社のMSは特化型というか、何か一つのことを極端に追求している感じがありますね。

バイク乗りの間では「技術のホンダ・芸術のヤマハ・漢カワサキ・変態のスズキ」というフレーズが流通していますが、さしずめジオン系のMSでいえば、「技術のジオニック・変態のツィマッド」といったところでしょうか。

ホンダのバイクは、誰が乗ってもある程度は上手に操縦することが出来、しかも壊れにくい上に、燃費、乗り心地、利便性などなど、様々な面においてバランスが取れている。

さらには、白バイや教習所(CB400SF)などでも幅広く採用されている汎用性の高さが特徴です。

まるでザクじゃないですか。

ザクも汎用性が高く、様々なバリエーションに改造されて使用されていますからね。

また、燃費においても、競合したヅダはザクよりも燃費効率が悪かったことを考えると、まるでザクを作ったジオニック社という設定はホンダをモデルにしているのではないかと思ってしまうほどです。

その一方で、かつては暴走好きな方々から熱狂的な指示を受けていたカワサキは、まさにツィマッド社。

暴走。

そう、土星エンジンを積んだヅダは速いよぉ。
これについてこれる連邦のMSはいないよぉ(ガンダムはどうだかわからないけど)。
『イグルー』では、ジムのパイロットからは「こいつ化け物か」と言われていましたから。

それにドムも速いよぉ。
あのズングリムックリした身体で、地上でのホバー走行では200km/h以上も出るようですから。

ツィマッド社のMSは、どうも一つのことに過剰に特化しており、汎用性はあまり高くなさそうです。

ギャンにしたって、格闘戦に特化した機体で、流体パルスアクセラレーターを導入したため、実際かなりの運動性はあったのですが、それに反して、ライフルやマシンガン、バルカン砲のような中距離用の武装がありませんからね。
ま、ミサイルが内蔵された危なっかしい盾を持ってはいますが。

このように、スピードだったり接近戦だったりと、何かひとつ秀でたところは徹底的に追求していくのがツィマッド社の姿勢なのでしょう。

だからこそ、ザクやゲルググとは違ったアンバランスな魅力がツィマッドのMSにはあり、ヅダがその先駆けと言っても良いでしょう。

アンバランスな魅力

バンダイから出ている1/144のヅダのキットを作れば、より一層ヅダの特徴を体感することが出来ます。

凝るところは凝っていて、そうでないところは、けっこう大雑把というアンバランスな造形の魅力があります。

たとえば、顔。

顔面は比較的大雑把です。

太い首の上のほうにモノアイが埋め込んであるだけ。
それを覆う顔の外装は、首回りとモノアイを守るヘルメットのようなものです。

ザクのようにパイプがあったり、クチバシのような形の先端に排気口があるわけであもありません。

しかし、その一方で、背中の土星エンジンだったり、肩の関節部分などを組み立てていると、なるほど、このあたりがツィマッド社のコダワリなのだなということがよく分かります。

このアンバランスさが精巧なようで大雑把なようで、しかし、それらの要素が危ういところでバランスが取れており、組み立てては眺め、組み立てては眺めを繰り返してしまうキットでした。

パテで表面を荒らす

組み立てたら塗装です。

今回は、塗装をする前にタミヤのラッカー系パテを指でパーツに塗り付け、表面をガザガザにしてから下塗り作業にはいりました。

ツルツルの表面よりも、ガザガザと荒れた表面のほうがヅダに似合うと思ったからです。

塗装は何色ものラッカー系塗料を筆塗り

下塗りは、紫、次いで蛍光オレンジを塗りました。

その前に、パテの地肌を消すために、艦底色、マホガニー、黒、濃緑色、赤褐色、ジャーマングレイなどをランダムに筆塗りしています。

蛍光オレンジの下塗りを終えた後に、少しずつ黄色に色を近づけてゆき、最終的にはイエローを薄く塗って黄色いボディにしました。

イメージとしては、過去に製作したヴァッフのような感じにしたかったのです。

しかし、イエローだけだと少し単調な感じがしたので、濃緑色を上から重ねて迷彩パターンっぽくしました。

あとは、コントラストがキツい黄色と緑を馴染ませるために、上からクリアイエローや、クリアオレンジなどのクリア系の色にグレーを混ぜて薄めたものを、幅の広い平筆で軽く塗ってみたり、影になりそうな窪みの箇所にはレッドブラウンを流し込んだりしているうちに、一言では何色と言えないような微妙な色彩になってくれました。

とにかく、私の場合、筆塗りするときは、かなり塗料を薄めて筆塗りをするのです。

全体を均一に塗ろうとはせず、ランダムに、出来るだけ前に塗った下地が透けて見えるような感じに筆を置いてゆくような感じで何度も何度も色々な色を塗り重ねていくうちに、色見に味わいが出てきてくれるのです。

仕上げは、焼鉄色と白をドライブラシ。
パテで荒らした表面がドライブラシによって際立ってくれました。

これで完成。

使用した塗料はすべてクレオスのラッカー系塗料です。

陸戦型ヅダ

行き当たりバッタリに塗っていったので、なんとはなしに黄色と緑の2色迷彩になりましたが、これってどう見ても陸戦型ですよね。

陸戦型?

もし、そのように改造されたとしたら、きっと背中のデカい土星エンジンは不要だろうな。

それに、スタイルは良いけれども、こんなに脚が長かったら、砂漠戦ではズッコけまくるだろうな。

なんて、見ているうちに、色々と細かなツッコミどころが浮かんできまくるのですが、まあまあ現実には存在しないメカなんだから、自由に楽しく作れれば良いでしょうということで。

実際、楽しんで作ることが出来たガンプラでした。

記:2017/05/15

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