カフェモンマルトル

text:高野雲

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幽霊

      2016/09/20

hitokage

幽霊は見たことがないが、「見なかったこと」ならある。

学生時代の折、夕暮れどきの冬の雪山をバイト仲間8人が2台の車に分乗して移動中のときのこと。

私以外の7人が「夏の祭に着るときのような浴衣を着て提灯を持った幼い女の子」を目撃している。

2月の雪が降り積もった山の道路に、「夏の浴衣姿にマリ」っていうのもヘンだが、本当にその場に女の子がいて、私だけが見なかっただけなのかもしれないし、私を騙すために口裏を合わせたタチの悪い冗談なのかもしれない。

もっとも全員の「いたよね?!」「やっぱり見た?」と口々に言い合う青ざめた顔から察するに、冗談のようには思えなかったが……。

あるいは、私だけがハイウエイ・ヒプノシス(高速道路催眠現象)にかかっていなかった、ということも考えられなくもない。

だが、あれこれと理由を無理矢理ひねり出すよりも、「自分が"見なかった"のは幽霊だったのだ」と考えたほうが不思議と腑に落ちるし、スッキリと納得出来ることは確かだ。

ま、昔からその手の怪奇現象や心霊現象とはまったく無縁なんですが(とはいえ怖がりです)、追求すればするほど面白い世界ではあるんだけれどもね。

記:2000/07/27

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