カフェモンマルトル

text:高野雲

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ヒルズとお月様

      2015/05/03

いやはや、連日呑み三昧。

恵比寿、六本木、西麻布…。

旨い酒、旨いモノと、脳が刺激される会話は本当に楽しいのだが、こう連日続き、しかも、明け方近くまで飲んだくれると、さすがに健康のことも考えざるをえない。

自分の健康はもとより、財布の健康もね…(とほほ)。

先日の呑みの最終地点は西麻布。

美人ママがいる、看板も出ていないマンションの1室。

まるで秘密クラブのような狭いが落ち着くバーで飲み、飲み友達と別れた。

酔い醒ましもかねて、西麻布から、六本木、溜池まで一人でブラブラ歩いてみた。

空気が冷たく心地よかったので、酔い覚ましにはもってこいだった。

時間は、午前3時ごろかな。

まだ、このヒルズのフモトにある飲み屋は、店の外に溢れかえらんばかりのお客さんが。

ほとんどが外国人だけど、彼らは楽しそうに談笑している。

六本木ヒルズねぇ。

たまに足を運ぶ場所だ。

「吸血ビル」

六本木ヒルズのことを そう呼んで憚らない知り合いがいる。

彼は言う。

栄光、というよりも巨額な金をつかんだ一握りの人間と、彼らによって血を吸われた何万もの人間の血と怨念によってあのビルは出来ているのだ。

だから、そんなタテモノ、まともに直視できるわけがないじゃないか。

社会の縮図。

そう評している識者もいた。

ライブドアの堀江貴文社長をはじめ、日本のマネーゲームの頂点に立った一握りの人間から、彼らに使われる人間、さらにその彼らに使われる人間。

ビルに出入りする清掃などの業者の人間から、時給千円前後でアルバイトをする学生やフリーターまで。

様々な人間が出入りするこのビルだが、出入りする人間の、時間あたりで得られる賃金・所得の格差がこれほど激しいところもないだろう。

そんなことを思い出しながら、ぼんやりとヒルズを見上げたら、半分近くの窓ガラスは、まだ明かりが灯っていた。

気のせいか、威容と圧迫感をともなって私を見下ろすヒルズが、一瞬、バベルの塔に見えた。

伝説のバベルの塔が、まだ神の怒りに触れる前、雲を突き抜けるほどの高さと威容を誇っていたころも、この塔のテッペンに住む人間は当然いたんだろう。

彼らはどういう人だったのか。

また、空にそびえる巨大な塔を見上げる何万もの群集がいたのだろう。

彼らは何を考え見上げていたのだろう。

そんな陳腐な想像をめぐらせながら、

パシャリと写真を一枚。

隣には、小さく月が写っていた。

SANYO DIGITAL CAMERA

記:2005/04/23 

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