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坂本龍一とビル・エヴァンスのハーモニー

坂本龍一とビル・エヴァンスのハーモニー

音色に魅せられ、やがてハーモニーへ

人が音楽に魅せられる要素は色々あると思う。

リズム、メロディ、そしてハーモニー。

私の場合はハーモニーだった。
いや、今でもハーモニー。

もちろん、リズムに魅せられている曲も多いし、メロディに魅力を感じているナンバーも少なくない。

しかし、やはり私の場合は、ハーモニー、いやもっと原始的に「音色」に魅せられる体質だった。

YMO、坂本龍一

そもそも、私が狂ったほどに音楽に熱中するようになったきっかけはYMO(当時はイエロー・マジック・オーケストラ)だった。


イエロー・マジック・オーケストラ

まずは、単純にシンセサイザーの音色。
そして、ゲームの音色。

なにしろ小学生だったからね。
単純に未来的かつSF的なピコピコ音に見せられた。

そう、私は単純に音色が好きなのだ。
だから、お年玉をためてシンセサイザーを買った。
小遣いをためてミキサーやエフェクターを買って、様々な音色を試行錯誤して作り、ラジカセ2台を駆使して多重録音をしていた。

とにかく、インパクトのある音色が大好きだったのだ。

だからこそ、最近では、音色や、その音色が発する媒体の空気の揺らぎを捉えた坂本龍一の『async』が大好きなのかもしれない。


async

中二の魂百まで?

話を元に戻して。

YMOで音色に魅せられた私だが、すぐにハーモニーの虜にもなった。

キャッチーな《テクノポリス》にも、けっこう複雑かつ魅惑的なハーモニーが潜んでいることを発見した。

これが収録されているアルバム『ソリッド・ステート・サヴァイヴァー』の
《キャスタリア》を形成しているハーモニーの動きに魅せられるようになった。


ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー(2018年リマスタリング)

いずれも教授(坂本龍一)の曲だ。

坂本龍一といえば、その頃の発売された『B-2 unit』の2曲目、《ザットネス・アンド・ゼアネス》のハーモニーにもはまった。


B-2 Unit

パーカッシヴでありながらもアナログシンセ特有の色気のただよう簡素なバッキングが形成するハーモニーにも魅せられた。

後に発表された『BGM』でもっとも攻撃的なナンバーのひとつ《音楽の計画》は、荒々しいシンセやドラムなどの奥からロマンティックな響きが聴こえた。


BGM

このように、私は一見シンセの音に魅了されると同時に、そのシンセたちが奏でる和音の響きにも魅せられるようになっていた。

和音、ハーモニーもひとつの音色と感じられ、様々な音の組み合わせの違いが、まるで異なる色彩を放射しているように感じた。

だから、ハーモニーに趣向が凝らされた音楽は、たとえメロディがいまひとつだったり、簡素なものだったりしても、音の響きで楽しめるような体質にいつの間にかなっていた。

だからこそ。

おそらく、私がジャズに興味を持ち、おそらく他の人よりも早くジャズに馴染めるようになったのは、ハーモニーのお陰だったのだと思う。

そして、これらの音楽は、14歳になる前に出会い、好きになっている。

音楽には当てはまらないのかもしれないが、SFの世界だと、「14歳までに出会った作品が、後々の人生、その人のSF観の基礎(基準)になる」といわれているそうだ。

「三つ子の魂百まで」に近い考え方かもしれないが、音楽の場合も、感受性の鋭い中二くらいまでの年齢に出会い好きになったものが、今後の人生の基準になるのかもしれない。

エヴァンスとの出会い

その後、20歳前後になるとジャズにも興味を持つようになるが、最初に聴いたのがビル・エヴァンスだったこともラッキーだったと思う。
『ポートレイト・イン・ジャズ』だ。


ポートレイト・イン・ジャズ+1

冒頭の《カム・レイン・オア・カム・シャイン》の数音の和音の響きでやられた。

この数個の和音で、異世界へといざなわれた。

ビル・エヴァンスのハーモニー感覚は、あのマイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』にも貢献しているほど、繊細かつ斬新なものだった。


カインド・オブ・ブルー+1

だからかもしれない。

ジャズに入門したての頃は、このアルバムのピアノ奏者がビル・エヴァンスだということを知らずに聴いていたのだが、デリケートな演奏を彩る繊細な和音の響きに心奪われたのだ。

そして、坂本龍一もビル・エヴァンスがもっとも好きなジャズピアニストだということも後で知った(好きというよりも注目していた、ってニュアンスかもしれないが)。

ハーモニーに興味を持ち、ハーモニーにしびれる体質だったからこそ、比較的短い時間にジャズに親しみを持つようになれたのかもしれない。

セロニアス・モンクをあっという間に好きになれたのも、「響き大好き体質」のなせるわざだったのだろう、今思い返せば。


セロニアス・ヒムセルフ+1

もちろん、ジャズならではのリズムやエネルギーに魅せられたことは言うまでもないが、エネルギーやリズムだけだったら、ジャズの世界の奥深くに踏み込まず、へヴィメタルやスラッシュメタルに還っていたかもしれない。

新主流派にしろ、ある種のフリージャズにしろ、ハーモニーの工夫だったり、ハーモニーとの葛藤だったりで音楽が形成されている。


処女航海


Cecil Taylor Unit

これらのジャズにも親しめるようになれたのも、面白いハーモニーに身体が反応するという体質だったからこそだったのかもしれない。

なので、その橋渡しになった坂本龍一の音楽と、ビル・エヴァンスが奏でた和音の響きには感謝してもしきれないのだ。

そして、私の場合はたまたま幼い頃から家ではクラシックのレコードが鳴っていたからという背景があったから、そのようなハーモニーに反応する体質になっていたのかもしれないが、そうではない人だっている、つまりバックグラウンドは人それぞれで、様々な人の音楽的背景も考慮に入れた上で音楽をススメないと、「自分が良くても人さっぱり」という現象を招きかねないことを注意しなければならないと常々考えている。

記:2019/05/29

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