ロゼ/飯島真理

      2017/05/30

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ROSEROSE

やっぱり『ロゼ』が最高

飯島真理のアルバムは、ほぼ全てを持っています。
好きなものもあれば、そうでないものもあります。

しかし、好きなもの中でも、聴く頻度は、季節や気分によってもかなり変わります。

たとえば、秋が深まると『midori』が聴きたくなったり、新年度はじまった4月から5月にかけては『Coquetish Blue』かな?とか。

ギターのバッキングとソロが素晴らし過ぎる《瞳はエンジェル》(『Kimono Stereo』収録)は1曲限定で12月に聴くと哀しすぎるっしょ、とか。

このような変動は、多少はあるにせよ、それでも「音楽的」なバランス、完成度、ハーモニーの立体感、さらに可愛らしい女の子っぽさを音で彩る音の色彩センスは、やっぱりファーストアルバムの『ロゼ』が最高だと思っています。



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教授のアレンジが冴える

プロデューサーとして参加した坂本龍一のアレンジは、時代を経てもまったく古びることなく、むしろ、今のアニソンの多くは、このあたりから、多くのエッセンスやアイディアを吸収しているのではないでしょうか。

さり気なく、そしてマイルドに色を添えるトロンボーンやトランペットのアレンジも秀逸だと思います。

名曲というか、彼女の代名詞ともなる代表的ナンバー《まりん》が明るくキャッチーで、この曲が大好きな人も多いと思うのですが、あ、もちろん私も発売当時はこの曲に夢中だったんですが、今となっては、《Love Sick》という曲が『Rose』の最高傑作なんじゃないかと思っております。

イントロのストリングスアレンジや、曲全体を貫くアンニュイなトーン、しかしながら暗くなりすぎずに絶妙な当時20歳の女子大生の揺れ動く気分を中空に見事なバランスで放出させるアレンジの妙。

坂本龍一の和声センスと音色選びのセンスがさりげなく輝いた小品だと思います。

サクサクと小気味良くミドルテンポで進行してゆくリズムも気持ちよく、特に浜口茂外也のウッディなパーカッションの音色がめちゃくちゃ気持ち良いですね。

そういえば、何の本、あるいは雑誌で読んだのかは思い出せないのですが、デビュー前の飯島真理が、坂本龍一の前でデモがてら、この《Love Sick》をピアノの弾き語りで披露した際、教授(坂本龍一)は前髪をかきあげながら、「わっからねぇなぁ~」と唸ったという逸話を思い出しました。

良い意味での「わっからねぇ」なのか、あるいは悪い意味での「わっからねぇ」なのかは分からないのですが、いずれにせよ良いアルバム全体を引き締める奥行きのある作品になっていることには間違いありません。

後半(LPでいうB面)の楽曲で素晴らしいのは《Shine Love》でしょうか。

これ聴くと「秋だな~」ってため息が出るんですよね。

空高い秋晴れの澄んだ空に投影される切ない気分を冒頭の20秒で表現しきってしまっているストリングスアレンジが見事です。

これが9月から10月の気分の秋だとすると、いよいよ秋深まる10月中旬から11月中旬にかけては3枚目のアルバム『midori』にバトンタッチされるのです。

そういえばB面には《ひまわり》という悲しい歌があるのですが、これは歌詞にもあるとおり「夏の盛り」に聴くのがベスト。

そう考えると、季節でいえば『Rose』は、8月から10月頃に聴くのがベストなんでしょうね。

ファーストアルバムということもあり、『マクロス』のリン・ミンメイのキャラを引きずったアイドルアイドルした歌唱が80%と、なかなかキラキラ度が高い作品で、2枚目の『blanche』では、厳しい吉田美奈子プロデュースということもあり、キラキラ度が40%以下に抑えられたストイックな歌唱や楽曲になってしまうのですが、少しモノトーン色が強すぎるのではないかと感じてしまう2枚目に比べると、まだ良い意味で「若い女の子っぷり」が嫌味なく放出された『Rose』。

このアルバムには、デビュー時のもっとも輝いていた飯島真理と、シャープで尖ったセンスを保有していた頃の坂本龍一の感性が封印された奇跡のメモリアルといっても過言ではないでしょう。(その後《黄土高原》のカバー《遥かなる微笑》の歌詞の内容がキッカケに両者が疎遠になってしまっただけに)

album data

ROSE (ビクターエンタテインメント)
- 飯島真理

1. ブルーベリー・ジャム
2. まりん
3. マイ・ベスト・フレンド
4. ラヴ・シック
5. シークレット・タイム
6. きっと言える
7. シャイン・ラヴ
8. ガラスのこびん
9. ひまわり
10. ひみつの扉
11. おでこにKiss

記:2012/10/16

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>>秋は『midori』の季節なのだ〜飯島真理の3枚目

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