カフェモンマルトル

text:高野雲

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夕焼けワンダバダ〜帰ってきたウルトラマンには夕焼けが似合う

      2015/05/30

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yuuyake

「帰マン」といえば「夕焼け」。

夕焼けを背にして飛行するMATの戦闘機とBGMの「ワンダバダ」。

これが私の中にある『帰ってきたウルトラマン』の世界だ。

私が最初に出会ったウルトラマン、そしてリアルタイムで観ていたウルトラマンは『帰ってきたウルトラマン』だ。

TVで見たのは、まだ物心のつく前だったので、ディティールはほとんど覚えていない。しかし、ストーリーや怪獣はともかくとして、全体を支配する独特なトーン、そしてある種悲壮感漂う雰囲気は私の幼心に強烈に焼き付いている。

それを象徴するのが「夕焼け」であり「ワンダバダ」なのだ。

「帰マン」には夕焼けがよく似合う。

何故だろう?

昼間や夜の戦闘シーンも多いにもかかわらず、私の脳裏の「帰マン」とMATは常に夕焼けが背景にある。

それは絶望の夕焼けだ。

この夕焼けの後に来るものは夜ではない。底無しな深淵と闇と絶望、そして死のイメージだ。

これを阻止すべく、夕焼け空を背にMATは飛ぶ。

現場へ急行するマットアロー、マットジャイロ。

銀色の機体が、死のオレンジ色を反射して鈍く光る。

風雲急を告げる、ただならぬ殺気。

そしてBGMには「ワンダバダ」。

クーッ! たまらんぜ!

MATが頼もしく見えると同時に、ヤラレたらどうしようという一抹の不安もよぎる。だってヤラレたら本当に後が無いんだもん(と、幼い私は本気で思っていた)。

大丈夫だ、オレ達に任せたまえ!「ワンダバダ」が俺勇気づけてくれる。

人類最後の希望の部隊MAT。彼らの任務とプレッシャーは、あまりに大きい。

大丈夫か!?

心配いらない、大丈夫だ。

「ワンダバダ」が語りかけてくる。

よし、本当に頼むぞ!

ワンダバダ、ワンダバダ、ワンダバダ、ワンダバダ……

結局MATはやられちゃたりするわけなんだけど、人類の危機を救うべく、銀色の巨人がついに現われる!

この時にかかるBGMも結構好きなんだけど、まあそれはさておき、帰マンのカラータイマーがピコンピコンと鳴る。

残り時間はあと僅かだ。

早く!今のうちに怪獣を倒してしまわないと、俺たちは全員夕焼けの後にやってくる底なし虚無空間の世界に引きずりこまれてしまうんだ!

動物が死を恐れるように、もし帰マンが怪獣を倒せなかった次にやってくるであろう世界に幼い私は怯えた。

とても「がんばれ!ウルトラマン」と応援で声を張り上げる次元ではない。

「お願い、ホントにお願い!!」なのだ。

もっとも、咽はカラカラ、声は緊張して出せないのだけど……。

目だけはカッと見開いてブラウン管に釘付け。握りしめた拳は汗でベットリ。

トドメのスペシウム光線、あるいはウルトラブレスレットを決めてくれた時は「やったー!」と飛びあがるどころか、ぐったりと「ハーッ」と安堵の溜息。

「よかった、今週もなんとか生き残れた。」と心底思った。

幼い頃の私は、こんなことを毎週くり返していたのだ。

だから、ナックル星人とブラックキングに帰マンがやられた時は、正直心臓をペンチでつかまれるようなショックだった。

たしかその時もバックは夕焼けだったような気がする。

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深く、深く、血のように赤い邪悪な夕焼け。

そういえば、MATの制服もオレンジだった。

私が帰マンといえばオレンジを連想するのは、この制服のせいもあるのかもしれない。深い深い絶望のオレンジ。

『ウルトラマン』の科学特捜隊の制服も同じくオレンジだが、MATのオレンジとは対極のイメージだ。

科学特捜隊の制服のオレンジは夢と希望を象徴するオレンジなのだ。

さて、どうでもいいことだが、最近の絵本によると帰マンのことを「ウルトラマン・ジャック」というらしい。何だかしっくりこないのは私だけだろうか。

さらに、どうでもいいことpart2。

帰マンに夕焼けが似合うとすると、マンは青空、セブンは夜、エースは曇り空、タロウは真っ昼間が似合うと思う。

あくまで私観ですが。

記:1999/04/29

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