テン・トゥ・フォー・アット・ザ・ファイヴ・スポット/ペッパー・アダムス
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ゴリゴリ迫ってくる迫力
高音域のトランペットと、低音域をカバーするバリトン・サックス。
この二つの音色のコンビネーションは、明確なコントラストがあり、気持ちが良いものだ。
バリトン・サックスのペッパー・アダムスと、トランペットのドナルド・バードの双頭コンボ。
この2人の共演は、ブルーノートの吹き込みに多い。
ただ、リーダーがドナルド・バードのものが多いためか、比較的アレンジ重視の知的にコントロールされた演奏が多かった。
ところが『10・トゥ・4・アット・ザ・5スポット』は、ジャムセッションに近いライブ演奏のため、細かなアレンジはすっ飛ばし、とにかくアドリヴ一本の直球勝負の演奏が繰り広げられている。
ブリブリとと押しまくるペッパーのバリトンの強引さも爽快だが(音色のおかげで、より一層、そう聴こえますね)、それに応酬するかのようなバードのトランペットも、いつになく熱い。
熱い2人をさらに盛り上げるドラムはエルヴィン・ジョーンズ。
若かりし日のエルヴィンの豪快なプレイも楽しめる。
特に冒頭の《ティス(テーマ)》の荒々しいドラミングは、早くもライヴの熱気を時代と場所を超えて運んできてくれる。
また、結構ゴリゴリとしたバッキングで、フロントの背中を押し続けるボビー・ティモンズのピアノもなかなかだ。
調律の狂ったピアノでバシンバシンとたたき出されるブロックコードは刺激がっぷり。
タイトル通り、夜中の10時から朝の4時まで、勢い全開の白熱ジャムセッションだ。
多少荒っぽいが、この荒っぽさも熱気を盛り上げる1つのファクターとして、充分に機能している。
ザクっとしたバリトンが持つ低音の魅力。
この低音が疾走する様を存分に堪能して欲しい。
記:2004/06/17
album data
10 To 4 AT THE 5-SPOT (Riverside)
- Pepper Adams
1.'Tis(Theme)
2.You're My Thrill
3.The Long Two/Four
4.Hastings Street Bounce
5.Yourna
Pepper Adams (bs)
Donald Byrd (tp)
Bobby Timmons (p)
Doug Watkins (b)
Elvin Jones (ds)
1958/04/15