仮面ライダー555
『仮面ライダー龍騎』が終わり、先月より始まった新しい仮面ライダーは、『仮面ライダー555(ファイズ)』。
今度のライダーは、携帯電話で変身する。
携帯電話に「5」を3回入力し、エンターキーを押す。
「変身!」の掛け声とともに、携帯をベルトに装着して、変身完了。
最初は、この設定に「なーんか、チャッチィよなぁ、ライダーっぽくないよなぁ、イマドキっぽいよなぁ」と違和感を覚えた私。
しかし、慣れとは恐ろしいもので、3週続けに観ているうちに、何の違和感も覚えなくなってしまった。
それどころか、携帯電話に関しては、実にうまいところに目をつけたなと思っている。
言うまでもなく、子供番組の企画・制作は、スポンサーでもある玩具メーカーとの共同作業。
劇中に登場するメカやアイテムは、おもちゃ化したときに子供が欲しがるような魅力的なものにしなければならない。
子供の物欲を刺激するために、過去のヒーローやロボットものには様々な工夫がなされた。
新しいヒーローを番組中盤や後半に登場させる。
→おもちゃの種類が増える。
→子供の欲しいおもちゃが増える。
ヒーローの身体の色が変わる(最近は定番となった感がある)。
→色が変わった分だけ人形の種類が増える。
→子供の欲しいおもちゃが増える。
主人公メカを交代させる(『戦闘メカザブングル』以来の古典的な手法)
→おもちゃの種類が増える。
→子供の欲しいおもちゃが増える。
既存のメカがさらにパワーアップするための新しいアイテムや、ロボットを番組中盤や後半に登場させる(例:『忍風戦隊ハリケンジャー』の轟雷旋風神)
→新しいおもちゃが増える。
→新しいメカのおもちゃも子供が欲しくなる
→“戦隊モノのロボットは、一年に一回買ってあげれば子供は満足”という図式の崩壊。
子供が「変身ごっこ」をして遊べるような凝った変身アイテムを登場させる(例:古くは仮面ライダーの変身ベルト。
最近では、カードを差し込むと武器や技の名前を喋る「仮面ライダー龍騎」の“ドラグバイザー”)。
→子供が欲しがる。
さらにその変身アイテムをバージョンアップさせる(例:「仮面ライダー龍騎」の“ドラグバイザーツバイ”)。
→おニューを子供が欲しがる。
とにかく、親から一つのおもちゃを買ってもらえば、子供はそれで一年間遊べて満足という構図は既に過去の話。
年がら年中、番組中に新しいキャラクターや、様々な新アイテムを登場させて、子供、ときには私のような大人の物欲を刺激しまくるおもちゃ市場が形成されている。
毎年毎年、子供を飽きさせずに、つまりワンパターンにならずに新しい切り口を生み出してゆく番組制作陣や、おもちゃ会社の企画力には脱帽せざるを得ない。
そして、今度の『555』の変身アイテムの「携帯電話」は、まさにうまいところを突いたアイテムと言える。
なにせ、昔から子供は電話のオモチャを欲しがるものだからだ。
携帯電話の無い時代も、赤い色をした電話のオモチャは安定した売れ行きをキープしていたおもちゃ屋の定番商品だったし、携帯の時代になってからも、子供はおもちゃの携帯電話を欲しがっている。
大人のマネをしたがる子供にとって、電話というアイテムは、簡単に大人のマネが出来る手ごろなアイテムだからだ。
実際、私の息子も携帯電話が大好きだ。
渋谷のセンター街の携帯屋の店頭では、店頭のディスプレイで使用されたモックアップがいつも100円で投げ売りされていたので、私もよく息子みやげに買っていたものだ。
息子の友達も同じようなものらしい。
男の子にとっての携帯電話は、“大人のマネアイテム”以上に、“身近なメカ”という憧れもあると思うし、男の子特有の“機械好き心”刺激するのかもしれない。 小さい頃の我々がトランシーバーのメカっぽさに憧れたように。
その携帯電話が、子供が大好きな仮面ライダーの変身アイテムになるのだ。
しかも、変形させれば銃にもなるという目からウロコな変形機能もある。
携帯電話の形をした銃なんて、ちょっとカッコ悪い見てくれだが、そんなことはあまり関係ないのかもしれない。 変身グッズが変形すること。変形させて遊べるということ。 このことが子供にとっての関心ごとなのだ。
仮面ライダー555に変身するための携帯電話の名前は、“555フォン”という。
『仮面ライダー555』の第1話から、このおもちゃの発売予告のCMが繰り返しオンエアされている。
2月15日の発売予定なので、まだ店頭には並んでいないが、発売されたらこれは相当売れるんじゃないかと思う。
もちろん、私も買う予定だ。
いや、息子に買ってあげようかなぁと思っている。
記:2003/02/11