ファイヴ・ミンガス/チャールス・ミンガス

圧倒的なパワー!

とにかく、熱い。
暑苦しい。
しかし、それが良い。

なにしろ、正式タイトルが、『ミンガス・ミンガス・ミンガス・ミンガス・ミンガス』だからね。
5回も繰り返し。
これを暑苦しいといわずになんと言おう。

そして、このタイトルの暑苦しさが、そのまま音楽として体現されている。

『クレヨンしんちゃん』の春日部防衛隊じゃないけれども、「ファイヤー!!!」と叫びたくなるような火の出るような演奏。

ミンガス・ミュージック特有のドロドロ感、ごった煮感に火の出るような勢いが加わった!

それはもちろん、エリック・ドルフィーやブッカー・アーヴィンの参加も大きく、彼らの火の出るような「狂演」一歩手前の「競演」が、演奏にただごとではないパワーを宿らせてしまった。

トンデモない「武闘派」な連中を束ねるミンガスおやじ(組長)の力量は大したものだ。

とにかく、熱く兇暴な勢いに満ちたトンデモない1枚が、『ファイヴ・ミンガス』なのだ。

このパワーと音圧、腹でドン!と受け止めよう。

負けるなよ!

これ聴いた後に、代表作といわれる『直立猿人』を聴くと、ぬるま湯につかったような気分にすらなってしまうほど。
もちろん『直立猿人』も名作だけど。

個人的には、やっぱりドルフィーが好きなので、彼が大活躍する《ホラ・ディキュービタス》を愛聴している。

ディキュービタス?

調べてみると、「床擦れ、褥瘡(じょくそう)」という意味らしい。
何でまた「床ずれ」をタイトルにしてしまうか。
それとも、何か深い意味があるのか。

ちなみに、冒頭から圧倒してくれる《II B.S.》は、『道化師(ザ・クラウン)』に収録されている《ハイチ人戦闘の歌》だ。
なぜかタイトルが変わっている。
しかし、パワフルでカッコいいベースは変わっていない。

タイトル違いといえば、《テーマ・フォー・レスター・ヤング》も、《グッド・バイ・ポーク・ハット》ど同じ曲だ。
この曲の表記も、なぜかタイトルが変わっている。

細かな背景の事情は分からないが、そんなこと瑣末なことじゃい!とばかりに、重厚かつパワフルなアンサンブルが、全身を揺さぶってくれる。

それにしても、ミンガスは、本当にエリントンのことを敬愛していたんだなと思う。

2曲目、3曲目に参加のチャーリー・マリアーノのアルトなんて、まるでジョニー・ホッジスではないか。

さらには、エリントンを代表するナンバー《ムード・インディゴ》も演奏しているし。

こういうところからも、活字の知識による「エリントンは偉大」だという理解ではなく、本当に音としてエリントンの凄さ、影響力を体感することが出来る。

個人的には、それまでは敬して遠ざけていたエリントンの音楽への興味の橋渡しとなってくれたアルバムでもある。

記:200/03/11

album data

MINGUS MINGUS MINGUS MINGUS MINGUS (Impulse)
– Charles Mingus

1.II B.S.
2.I X Love
3.Celia
4.Mood Indigo
5.Better Get Hit in Yo’ Soul
6.Theme for Lester Young
7.Hora Decubitus
8.Freedom"

Charles Mingus (b,p#2-3,narration#8)
Eddie Preston (tp)#1 and 4–8
Richard Williams (tp)
Rolf Ericson (tp)#2 & 3
Britt Woodman (tb)#1 and 4–8
Quentin Jackson (tb)#2 & 3
Don Butterfield (tuba)
Jerome Richardson (ss,bs,fl)
Dick Hafer (ts,cl,fl)
Charlie Mariano (as) #2 & 3
Booker Ervin (ts)#1 and 4–8
Eric Dolphy (as,fl,bcl)#1 and 4–8
Jaki Byard (p)
Jay Berliner (g) #2 & 3
Walter Perkins (ds)#1 and 4–8
Dannie Richmond (ds)#2 & 3
Bob Hammer (arr)

1963/01/20 #1 and 4–8
1963/09/20 #2 & 3

YouTube

動画でも、このアルバムのことを語っています。

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ジャズ

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