アフロ・キューバン/ケニー・ドーハム

      2023/08/05


Afro Cuban

「再発見」された《アフロディジア》

このアルバムに収録されているドーハム作曲の《アフロディジア》は、ジャズとラテンのリズムの要素を融合させたナンバーで、録音されてからおよそ30年後、つまり80年代にロンドンを中心におこったジャズ・ディスコ・ブームを象徴するナンバーとなった。

20数年の時を経て「再発見」されたわけだ。

美味しいホーンのアンサンブル

ジャズ好きならば、このような内容で紹介をされているレビューは、もう何度も目にされていると思うので、これ以上は書かないが、このアルバムのオイシさは、もちろんアフロキューバンの要素がジャズに融合したリズムの面白さも挙げられるが、それだけではなく、ホーン陣たちの、肉汁したたるような管楽器のアンサンブルにもある。

とくに、バリトン・サックスのセシル・ペインの参加が効いている。

アンサンブルにまろやかな厚みをつけるJ.J.ジョンソンのトロンボーンに、味わいとコクを付加するハンク・モブレイのテナーサックス。

これだけでも、かなりオイシイ音色の組み合わせなのだが、これに“ブリッ!”としたエッジと低音の要素、つまりセシル・ペインのバリトンサックスの音色が加わるからこそ、チャカポコしたアフロキューバンリズムに、重厚なホーンのアンサンブルが映えるのだと思う。

とにもかくにも、音色もおいしいこのアルバム。

目玉の《マイナーズ・ホリデイ》に我々が圧倒されるのは、決してメロディやリズムだけではないはず。

迫ってくるようなホーンの厚みもゾクゾクとした快感をもたらす大きな要素なのだ。

ジャケットのイラストも可愛いブルーノートの1535番。

スリルと快感のほど良いブレンド具合がたまらないアルバムだ。

記:2010/12/29

album data

AFRO CUBAN (Blue Note)
- Kenny Dorham

1.Afrodisia
2.Lotus Flower
3.Minor's Holiday
4.Basheer's Dream
5.K.D.'s Motion
6.La Villa
7.Venita's Dance

Kenny Dorham (tp)
Hank Mobley (ts)
Cecil Payne (bs)
J.J.Johnson (tb)
Horace Silver (p)
Percy Heath (b) #5,7
Oscar Petiford (b)
Art Blakey (ds)
Carlos Valdes (conga)
Richie Goldberg (cowbell)

#5-7
1955/01/30

#1-4
1955/03/29

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