ニュー・ソイル/ジャッキー・マクリーン
新天地・ブルーノートで頑張るぞ!
新たなる地を意味するタイトルの『ニュー・ソイル』は、一言、力作。
何も考えずに、とにかく目の前の曲を「今、この瞬間」全精力を注入してプレイに没頭するマクリーンも好きだが、自身のプレイを最大限に活かそうと、新しいジャズの潮流を取り入れ、時代を切り開こうと(時代に乗り遅れまいと)「頑張るマクリーン」も嫌いではない。
そんな頑張るマクリーンを味わえるのが『ニュー・ソイル』。
様々な不満を抱いていたプレスティッジとの縁が切れ、晴れてブルーノートと契約をすることが出来たマクリーン。
ブルーノートでなら、納得いく作品を作れる!
「5週間かけて何度もリハーサルをして練り上げた自信作」と、マクリーンが胸を張るだけのことはある。
練り上げられたアンサンブルも素晴らしいが、だからといって、アドリブの勢いが失われていることはない。
個人的には、ブルーノートの時期のウォルター・デイヴィスのピアノは、あまり好きではないのだが、リーダー、マクリーンのコントロールの元で弾かれるデイヴィスのピアノは、バランスのとれたプレイでフロントを的確にサポートする。
シルキーな音色で、楽器のコントロールは冷静だが、プレイは熱いドナルド・バードのトランペットと、マクリーンの熱気たっぷりのアルトの相性も抜群。
ピート・ラロッカとチェンバースという珍しい組み合わせのリズム隊が生み出すグルーヴも絶妙だ。
同時期にレコーディングされたブルーノートの『スウィング・スワング・スウィンギン』や『ジャッキーズ・バッグ』と比べれば、今ひとつ知名度は劣るが、充実した内容には群を抜くものがあり、もっと聴かれてしかるべき名盤。
記:2010/06/16
album data
NEW SOIL (Blue Note)
- Jackie McLean
1.Hip Strut
2.Minor Apprehension
3.Greasy
4.Sweet Cakes
5.Davis Cup
6.Formidable
Jackie McLean (as)
Donald Byrd (tp)
Walter Davis Jr. (p)
Paul Chambers (b)
Pete La Rocca (ds)
1959/05/02